彼女は戦争妖精(2)

彼女は戦争妖精2 (ファミ通文庫)

彼女は戦争妖精2 (ファミ通文庫)

ストーリー

クリスタベルという名前の「戦う力を人に与える」不思議な少女と、どちらかと言えば寡黙で冷静な少年・宮本伊織が奇妙な同居生活を始めてからしばらくの時間が過ぎていた。
クリスタベルは相変わらず健啖家ぶり&お子様ぶりを発揮し続けていて伊織の手を焼いていたのだが、そんな彼らの暮らしに一つの転機が訪れる。
伊織は大路常葉(おおじときわ)という校内で有名な一人の美人で有名な女生徒に呼び出しをされたのだった。そしてその常葉もまた――クリスタベルと同じ力をもった少女を保護していたのだった。そしてそこから新たに巻き起こる戦いの気配・・・伊織とクリスタベルは人の命をやりとりする世界にまた足を踏み入れていくことになる。
不思議な力を持った少女妖精と、それとともに戦いに巻き込まれていくことになる人々を描いた現代ファンタジーの2巻です。

ううん・・・

クリスタベルはいかにも純真無垢な子供として。伊織は知的でしっかりしている高校生として良く書けていると思うんですが・・・それ以上の魅力がないんだなあ・・・。
人物描写に過不足は無いような気もするんですけど、なんと言いますか・・・全体的に「若さ」が足りてない、そんな気がします。いやクリスタベルは本当に小さな女の子な訳ですし、今回登場してくる新キャラクター達もみんな年若いはずなんですけど、何故か若さの瑞々しさというものが一向に感じられないのです。
新しく出てくるリリオーヌも可愛いんですがねえ・・・。

語り口や

物語の進め方については安定感があって良いんですが、その分突進力に欠けるという印象が強い作品になっていますね。
読んでいてつまらないという印象を受けることはありませんでしたが、同時に人に勧めたくなるほどの面白さもないような気がします。結構美味しいテコ入れをしているのにねえ・・・。
私は良く読んでいる最中にポストイットを使って印象的な部分に印を付けるようにしているんですが、この本にはそういう部分が少なかったように感じます。悪くはないけど決して主役にはなれない感じですね。

あ、

それから何気に気になったのが主人公である伊織の「戦う動機の弱さ」ですね。
彼はキャラクターとしては良く書けている印象がするのに、何故かその部分だけが妙な空白地帯のように見えます。ムリヤリ・・・という訳ではないのでしょうが、滑らかな語り口についつい騙されてしまうけど、実はもの凄く不自然なんじゃ・・・。
どう考えても命のやりとりをする戦いに自分から足を突っ込んでいくようなキャラクターじゃないんですよねえ・・・。伊織が命を賭けて泥臭い戦いに踏み込んでいく理由らしき理由が見あたらないんですよね。
もちろんか弱い少女でもあるクリスタベルを守ることや、友人を守るというのは動機としては悪くはないですが、本当にそれだけで人間って生き死にをやりとりする所に自ら進んでいくものでしょうか? 生き死にってそんなに軽いものだったかな・・・?
読み終わった今になってなんだか変な違和感がムクムクと頭をもたげています。その辺り、違和感を覚えた人他にもいませんかね? ・・・感想サイトのリンクをこれから辿ってみよう・・・。

総合

星・・・3つですね。
あ〜なんというか感想をもの凄く書きづらい作品に仕上がっています。いい意味ではなくて悪い意味で。
この2巻のラストシーンは明らかに3巻を想定している引きなんですが、次の話が出る頃にはきっとこの話がどんな作品だったか忘れているに違いないので、私はこの2巻で読むのをストップしようと思います。
正直に言って、一番印象に残ったのが表紙絵を含むカラーイラストだったというのが悲しいところですね。とにかく本文の何もかもが「平均で手堅くまとまっているけど、それ以上ではない」という事になるんじゃないかと思います。
まあ箸休めみたいな本だと割り切って読むのは悪くないかも知れませんが、ライトノベルの出版数が増えてきた昨今、イラストが良くなければ簡単に埋もれてしまいそうだな・・・なんて感じがしました。

感想リンク