SH@PPLE(4)

SH@PPLE―しゃっぷる―(4) (富士見ファンタジア文庫)

SH@PPLE―しゃっぷる―(4) (富士見ファンタジア文庫)

ストーリー

淡谷雪国(♂)(あわやゆきぐに)は一目惚れをした相手に近づきたいという一心から、双子の
淡谷舞姫(♀)(あわやまいひめ)は、息苦しい学校生活から抜け出したいという一心から、変装してお互いの学校に行くという「入れ替わりの暴挙」にでていた。
しかしこの入れ替わり、結果として雪国は青美女学院(舞姫の学校)での生活を改善させてしまったり、舞姫は空舟二中(雪国の学校)の面々と仲良くなってしまったりして、予想以上にいい方向に働いたりしてしまったのだった。
そして今、それぞれの学校がそれぞれの立場から地元で行われるお祭り・「人力リバーフェスタ」に参加することになり、雪国も舞姫もおあれやこれや大忙し。多くの人の思惑も混じり、さらに色恋沙汰も混じり、ついでに雪国と舞姫の入れ替わりを知って脅しをかけてくる謎のX氏まで登場となると、これは一筋縄では行かないことになってきて・・・?
という感じで、遂にやってきたお祭り本番、さて、物語の行方は? という4巻です。

なんつーかな

この4巻まで読んでなんとなく形になってきたんですけど、これは言わば少女漫画を読んでいるときの違和感に似ているんですな。
話の筋についてはいかにも少年向けのライトノベルっぽいですから少女漫画的という事はないんですけど・・・しかし、コマ割りが少女漫画的なんじゃないでしょうか。
小説でコマ割りと言われても私以外の人は一体なんのことかサッパリ分からないと思いますけど、とにかく私は

という説で納得しました。
なんといいますか、少年漫画ばっかり読んでいると、まれに目にする少女漫画のコマ割りの不思議さに

一体どういう順で読んでいけばいいのか分からない〜?

とかって気分になりませんか? え? ならない?
私はなるんですが、つまりそういう読む上で必要なリズム感とでも言いますか、視線の流し方が他の少年向けライトノベルと違う。そんな風に思います。

そのせいで

話がどうも良く頭に入ってこない感じがするんですよね。
入れ替わりがあったり、あっちの学校こっちの学校、あの組織この組織と場面転換が多いのもその混乱に拍車をかけているような気がしますが、それ以上に時々

右から左に読んでいく

という通常の本の読み方では対応できないシーンがあるように感じます。それが持ち味と言えるんでしょうが――私にはちょい苦しいところでもありますね。

ただ

作品そのものはキャラクターも良く書けていますし、恋の話も断然盛り上がってきていますし、謎のX氏の暗躍もあるし、と色々楽しませてくれることは確かです。

  • 雪国と舞姫は頑張る少年少女という感じでストレートに好感が持てますし
  • 一本気なところもまた可愛らしい駿河もいじらしいですし
  • 高慢ちきだけれどもそれだけでは終わらない蝶間林典子(胡蝶の君)も魅力的ですし
  • 今回表紙を飾っている古葉鳥子も乙女チックで悪くない

つまり、お薦めできる部分が多いって事です。
でも上で書いたような理由から、どうしてももう一つ没頭しきれない・・・これは残念ですね。

総合

星・・・3つ?
実際には3.5位な感じですが、やっぱり私も元少年、どうしたって少年向け(オレオレ定義ですけど)の作品の方が読みやすいのです。
つーか逆に考えれば少女向けの作品の中にもリズム感が合う作品があるって事なんでしょうね。何点かかいつまんで読んで見たことはあるんですけど、しっくり来たことはなかったんでそれ以上の探索を諦めていたんですが・・・いや、ま、他に食指を伸ばすのは時間のある時にしようか・・・。
とにかくこの物語ですが、今回謎の一端は解かれることになりますし(X氏が誰かって事ですが)、雪国も(いや舞姫含む他のキャラクター全てですが)「人力リバーフェスタ」開催に合わせて色々な一歩を踏み出したし、この先には少し違った展開が待っているのかな? と感じた4巻でしたが・・・はて、5巻はどうしたもんだか・・・。
話の筋は嫌いじゃないけど、読みづらいというこの本、どう扱ったもんだか自分でも困ってます。うん。

感想リンク