創立!?三ツ星生徒会
創立!? 三ツ星生徒会1 そのとき恋3がはじまった (ファミ通文庫) | |
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ストーリー
向坂恵(さきさかめぐむ)は今まさに溺死しようとしていた。
なんだか良くわらかいけれども黒くてぶよぶよした得体の知れないものが学校のそこら中にはびこっていて、それに絡め取られたまま池にはまってしまったからだったのだが・・・。
しかし、そんな彼を助ける存在がいた。なにやらその存在はでっかい金魚の姿をしていて――まるで池のヌシのような存在だったのだが、実はそれどころではなくって、ヌシどころか人間以上――この土地を守る土地神・水穂さまなのだという!
それがきっかけで、恵は水穂に神としての力(人が沢山いて元気だと強くなるらしい)を取り戻すために、生徒を学校に沢山集める案を出すよう迫られたのだが、そこで適当に応えた
「他の学校とくっつくとか?」
を採用されてしまって、さらにはその合併学校の生徒会にも参加させられてしまうことになって、なんだか迷惑千万な学校生活を送ることに・・・。
という、ファンタジックな要素を持ち込んだ、学園ラブコメディ(?)の1巻です。
うーむ
良くまとまっていると思います・・・が、なんというか、流石巻数のところに「1」と振ってあるだけあって「種まき」の匂いがぷんぷんとする仕上がりになっていますね。
こういう本って感想を書くのに困ります。つまらなくはないし、この先面白くなりそうな気配はあるけど、これ一冊で見たらそれほど面白くないという・・・。うん、やっぱり困るな。というか最近感想書くのに困る本を立て続けに読んでいるような気がするな。
ちょっとネタバレっぽくなっちゃいますけど、サブタイトルに「そのとき恋^3が始まった」ってあると思いますが、この「恋の始まり」が本編の最後に用意されているんです。ね、全力で種まきでしょ? 一冊で全く回収されないでしょ?
展開自体は
コメディとシリアスをバランス良く配置している感じがあって安心して読めますね。多分退屈はしないんじゃないでしょうか。
でも、必死になってページを捲りたくなる本でもないんです。
キャラクターの魅力で読ませるほどキャラ小説って感じでもありませんし、かといって色恋を全面に押し出した作りにもなっていません(少なくともこの1巻では)。特に語り部になっている主人公の恵がなかなかに中庸で堅実な視点の持ち主ということもあってか、しっちゃかめっちゃかな学校内の対立構造(3つの学校が一つに合併されたという設定です)の割りには安心して読めてしまいます。
この安心感・・・悪くはないですが、逆に言えば緊張感が無いとも言えますよね。
総合
うん、星3つ。
上でも言いましたけど、するすると読めてしまいますが、実際の物語はこの本のラストシーンからやっと始まる感じですから、本当に楽しいところは次巻以降に期待するべきなんでしょうな。
一言で言えば「恋の3すくみ」とでも言いましょうか。三角関係では無いところがミソです。明らかに泥沼が広がっている感じですが、ま、池(水深50センチ)で溺死しかかるような高校生が主人公の段階で、泥沼化は約束されていたような気もしますけど。
うん、一応次が出たら読んで・・・見ようかな?