鬼切り夜鳥子(4)聖邪が街にやってくる!!

鬼切り夜鳥子4 聖邪が街にやってくる!! (ファミ通文庫)
鬼切り夜鳥子4 聖邪が街にやってくる!! (ファミ通文庫)桝田省治  佐嶋 真実

エンターブレイン 2008-12-26
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・・・感想ブログを巡っていなければ出版に気がつかなかったろうなあという4巻です。うーん、チェックしてなかった。

ストーリー

桂木駒子(かつらぎこまこ)の体には奇妙な同居人がいる。
その名を「夜鳥子(ヌエコ)」。全身に「式」として使役する数々の妖怪を入れ墨の形で宿す、鬼切りとして遙か昔に生きた駒子の遠い先祖。駒子は彼女と関わりを持つことになってから、奇々怪々な出来事に何度も巻き込まれることになって大迷惑だったのだが・・・ここの所、その夜鳥子はおとなしい。
しかし実際の所それを歓迎している駒子であった。なんとも微妙な関係な状態にあるボーイフレンドである久遠久(通称Q)との距離を一気に縮めるべく、駒子は聖夜を前にしてある大胆な計画を練っていて、それを夜鳥子に邪魔されたくなかったのである。
そもそも夜鳥子は夜鳥子で、やはり遠い昔の僧侶・求道の生まれ変わりであるQの事を憎からず思っているようなそぶりがあって・・・とにかく奇妙な三角関係に悩みたくなかったのだ。
そんな思惑をそれぞれ持ちながらも、聖夜の夜は近づいてくる・・・しかし、それといっしょにトラブルも一緒にやってきたのだった。

「妊娠したみたいなんですよぉ」

同級生で頼りになる少女の三ツ橋からのとんでもない告白から始まる今回の騒ぎは、どういう形で決着するのか? という4巻です。

あらすじには

「完結編、開幕」という書かれ方をしていますが、つまりその微妙な書き方の通りこの4巻一冊でシリーズ完結ということではないようです。つまり、完結編はどうやら上下巻構成になるようで、この話は上巻という事ですね。
個人的には大好きと言えるシリーズなので、この一冊で終わらない事実を歓迎したいところですね。というかこの本のシリーズの作者である桝田省治を全面的に信用しているところがある、と言った方がいいかも知れません。
ちゃんと完結させてくれるだろうし、それはきっと面白いだろうし、そして読了感もいいに決まっている・・・という無根拠ですけど重要な信用です。うん、なんでか分かりませんけど、今までの作風からそんな風に思うんですね。

ところで

本編の方ですが、一言でいうと・・・。

恋に浮かれてる少女の姿ってエエな〜!

です。
いや、年齢に関係ないのかも知れませんけど、とにかく浮ついている姿というものは可愛らしいものですし、それが可憐な少女であればなおさらですわな。で、駒子がこれにバッチリ当てはまっちゃうのです。
なんといいますか、「決戦」に備えて可愛らしい下着を買ってしまったりとか、ちょっとHな夢を見てしまったりとか・・・なんか初々しくてイイナア・・・とオヂサンの私はしみじみ思ってしまうのです。なんか自分も青春が帰ってくるような気がしますね、ってそんな爺さんでもないけどさ。
序章のタイトルからして「淫らな夢」ですからねえ・・・。汚れを知らない少女の見るHな夢ってだけで、私の妄想力は400%越えしまして、グイグイと物語に引き込まれてしまうのでした。

とにかく

浮かれ気分なオープニングですが、冒頭でも述べた通り三ツ橋の衝撃妊娠告白から話はどんどん怪しげな方向にずれていきます。
妊娠するとなると、つまりそこに至るまでのあれやこれやがあるはずですが・・・あのGカップ才女の三ツ橋が一体誰と!? この野郎相手を殺してやる! ・・・という感じですが、事は人間絡みの話ではなかったりします。
(そういえば駒子と久のカップルは腹立たしくないなあ・・・。なんでかなあ・・・。)

「アレレ? オヤオヤ? この人、獣くさいですよ♡」

お気楽極楽な三ツ橋の反応からしてどう考えても普通の出来事ではない訳ですが・・・。まあ獣とか妖怪っぽいものとか(式神の玉と虎ににも)で発情しちゃう三ツ橋ですから、もう何でもありなんでしょうけどね・・・。

ともかく

話は動き出して、今回も妖怪変化大盛りで話は進みます。
それだけではありません。完結編と言うこともあってか、今まで登場してきたキャラクターが総員登場する勢いで話を盛り上げてくれます。聖夜の街は大騒ぎ! はた迷惑にも程がありますが、敵は妖怪、クリスマスもなにもあったものではありません。
駒子にしてみれば、妖怪が騒ぎを起こすのは許せないし、かといってイブの計画が崩れるのも絶対に嫌だし・・・という訳で、今回も東奔西走することになります。もちろん、夜鳥子と一緒に、です。
ただし今回はQの活躍シーンが少ないのが残念ですね。Qは出ずっぱりですが、彼のかわりに前世の求道が活躍しているからですが・・しかしあとがきによると次の5巻ではQが活躍するシーンを用意しているみたいなので、それを期待して待ちましょう。

総合

星4つですね。
まあ前編と言うこともありますし、ラストシーンがアレなので「この後どうなるんだ!?」という気分で悶々とする関係で星を減らしています。
でも4つ星ですから楽しんで読んだのは事実ですね。うーん、やっぱり好きなんだなこのシリーズ・・・でも完結しちゃうのか・・・ま、終わりよければ全てよしですから、どんな完結の瞬間を用意しているのかを楽しみにしたいですね。
ところで、やっぱり触れておかなくてはいけないのがイラスト担当の佐嶋真実氏の絵ですね。時に淫靡に、時に清純に、時に妖しげに、時に絢爛にイラストを描いて物語を盛り上げてくれています。
今回の表紙は玉と虎と一緒にいる三ツ橋ですが、表紙を飾る理由になっているくらいに本編でも活躍してくれます。ま、獣趣味なのはご愛敬? ってことで・・・。

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