オオカミさんと洗濯中の天女の羽衣

オオカミさんと洗濯中の天女の羽衣 (電撃文庫)

オオカミさんと洗濯中の天女の羽衣 (電撃文庫)

お話(変えてもしょーがねー)

この話の舞台は学園都市・御伽花市の御伽学園。生徒3000人を抱えるマンモス校。制服も複数種類が用意されており、どれを選ぼうと自由な挙げ句、ある程度(かなりの程度)の範囲で改造が許される自由な校風として知られる。

主人公は御伽学園学生相互扶助協会(通称「御伽銀行」)に所属するすらっとしたスタイルとツルペタを誇る直接攻撃による破壊活動を得意とする大神涼子(おおかみさん)。彼女はその姉御とも言えそうな行動から学園内で一目置かれる存在なのですが、そこに対人・対視線恐怖症の第二の主人公・森野亮士(もりのりょうし)が電撃的な愛の告白をするのだった!
森野亮士は結局その特殊な才能を買われて御伽銀行に所属。生徒達からの依頼を受けては解決し・・・というなんだか童話をモチーフにしつつ変な感じで進む安心のラブコメもの。
今回は短編4つで構成されています。

今回は

短編を紹介する感じで進めてみようかな〜なんて思います。

いきなりのおっぱい話

「ああ違います、たすきがけに」
「こうかしらん?」
そしてショルダーバッグをたすきがけにした桃ちゃんを二人の前に立たせると、雉野さんがなにやら必殺技みたいな名前を叫んだ。
「くらえ! 必殺パイスラッシュ!」
「ぐっぐおおお」
「うあああ」

おっぱい愛好家の皆様なら当然のようにご存じだと思いますがこの必殺技(書くとπ/ですが)は、巨乳の人が薄着で車の運転をしていると必然的に繰り出すことになる殺人技のことです。大きな丘の間を絞り上げる一本のシートベルトの存在によって、二つの膨らみは更に強調され、結果として見るものを調教するというアレです。・・・知ってますよね? もちろん?
ま、こんな箇所を引用するはめになるくらいですからとってもくだらないお話です。桃色光線によって私の脳髄はちょっと焼けましたが、一般的に見たらきっとくだらない話のはずです。でも何故なんでしょう? とっても魅力的な話でした!

「さて、この中に裏切り者がいる!! おっぱいは世界の宝である!! ……にもかかわらずそれを独占しようとした者がいる!! 許せるか!?」
「許せないですな」
「許せませんな」
「いやいやまったく」
「そうだろう、そうだろう。…………故にこれよりおっぱい裁判を執り行う!!」

・・・Eカップの奥さんがいる私はこの裁判に被告として呼び出されたりしないか心配です。

雪女さんの昔の恋話

雪女(ゆきめ)さんですが、森野亮士くんの住んでいる下宿持ち主である男前な女性(既婚)のことですね。ちなみに少女小説も書いています。で、今回何故かおおかみさんとか年若い女の子が集まって彼女の恋の話を聞くことになるんですが・・・。
いや〜これはときめいたわ!
なんというんですかね!? 恋はいいですね!? ・・・なんて思いながら、最後に恋をしたのはいつだろうと思いながら指折り月日を数えて、それからため息の数まで数えて、などと切ない気持ちになったのはヒミツです。

「うん、これは……これこそが恋だろう。うんうん、恋はよいものだな。だから一つお願いしてもいいか?」
「ああ、なんでも言ってみろ」
「お願いだから……あたしの恋を冷めさせないでくれ」

・・・。一生に一度でいいから言われてみたいというか、私という人間の中にもこうキュンキュンを求める気持ちが残っていたのを再発見することになったというか・・・いや〜、おっぱい、じゃなかった恋って本当にいいもんですね!

写真ほしさにストーキング?

する話ですな。いや、主人公の亮士くんが。
・・・適当にまとめるともの凄く変態ですが、まあ読んで見るとそれ程変態的な動機によって亮士君が行動したのではないと言うことが分かります。しかも同時に御伽銀行の面々(女性陣)の普段の姿を垣間見ることが出来るという作者的にも読者的にも美味しい話に仕上がっているような気がします。
何気に貴重だと思ったのはほとんどその実態が謎に包まれたまんまである魔女のマジョーリカ・ル・フェイさんの普段の姿が垣間見えたことですが・・・いや、一層謎が深まった感じもしますが・・・。台詞もあるにはあるんですが、

「ヨ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!」

(悔しい意思表示)とか、

「ヨ゛ッ!?」

(悲鳴)とか、

「ヨョ〜」

(苦痛に耐える表現)とかしか無いもんですから。
でも、あの魔女ファッションの向こう側に隠されているのはどうやら美少女らしいですよ!? ・・・まあ7巻目にして判明してもどうにもならない事実というか、フラグの一本すら立つ気配のないキャラクターなんて空気と一緒だという感じもしないでもないですが(酷い言いぐさ)。

雨宿り・・・なんだけど

亮士くんの飼い犬である二頭のワンワンが敢闘賞をもらうべき一篇ですが、とにかくラブコメディものとしては正統派なストーリー展開で、大神さんと亮士くんの距離が縮まったりする話です。

「………………よ」
「えっなんスか?」
「……嫌いじゃねーよ」

というようなやりとりが自然と発生してしまうようなイベントがあって、そして、

「わっわわわわ忘れろっ!! 昨日のオレはどうかしてたんだ!!」

ツンデレというか・・・素直じゃないのか・・・今時珍しいくらい固い貞操観念の持ち主である大神さん、流石です、という話・・・なのかなぁ? ゴロンゴロン指数で言えば雪女さんの話に譲りますが、ツンデレ味が好みな人にはこっちの方が美味しいかも知れませんな。

総合

星4つですな。もう本当に安心して手に取れるシリーズですね。
ちゃんと一冊で話がまとまるし、心のかさぶたを剥がしにかかるような展開もないし、盛り上げるべき所では盛り上げてくれるしという、コメディ作品としてもちょいエロものとしてもラブコメものとしても万人(というかイロイロ持てあまし気味な若い君)にお勧めしやすい盤石のシリーズなんじゃないかと思います。
イラストのうなじ氏も相変わらずいい仕事してるなあ・・・なんて思ってもいますが、カラーイラストの一枚がいきなり福笑いとはどういう了見でしょうか。本当に切り取って(表もあるのに!)使うことが出来るとでもお思いでしょうか。そうするとやっぱりスキャナーの出番でしょうとなる訳ですが(ウィィィイイイィイン)、でもこの本を手に取る少年少女の手元に必ずしもスキャナーがあるとも思えませんよね?
という訳で福笑いをやる場合にはその画像データのあるURLを紙面に添えてくれるとおじさんもう・れ・し・い・なっ!

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