ロウきゅーぶ!

ロウきゅーぶ! (電撃文庫)
ロウきゅーぶ! (電撃文庫)蒼山 サグ

アスキーメディアワークス 2009-02
売り上げランキング : 6344

おすすめ平均 star
starとっても買いづらいけど
starロリコン? 然にあらず、これは一人の少年がバスケへの情熱を取り戻す物語
starロリ○ンとてぃんくるファンは必見

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ストーリー

長谷川昴は、高校入学とほぼ同時にバスケットボールへ向ける情熱の発揮先を失ってしまった。
それは彼のせいではなかったし、体の調子が悪いとかでもなかった。その理由は・・・所属する高校のバスケ部が、一年間という長い期間の休部宣言を学校から下されてしまったからだった。先輩生徒の、不祥事によって。
そのために自分の中にある情熱を「無かったもの」のように振る舞っていた昴だったが、ひょんなことから「ある学校」のバスケのコーチを頼まれてしまった。その学校とは——なんと小学校! しかも女子バスケット部!
ふわふわ、ぽわぽわ、ぷくぷく、とそんな効果音が似合いそうな少女たち。一体どれだけ真面目にバスケをやる気があるもんだか・・・と考えていた昴だったが、彼は見てしまったのだ。小学生の青い果実たちが、

『お帰りなさいませ! ご主人様!』

とメイド服を着て彼を出迎える姿を・・・じゃなかった、小学生の一人の少女の手から放たれる、美しいシュートの放物線を——。
ヒロインが全員小学生という、特定の嗜好を持った読者をピンポイントで撃墜しに来たと思われる舞台設定ながら、いやいや、なかなかどうして読ませてくれるじゃないか!? という電撃小説「銀賞」の一冊です。

貴卿らに訊く!

ロリコンか?
小学生の女の子(ふくらみかけ)でアレか?
そういうアレな素養を持っている人ははい回れ右〜。シッシッ!
その爛れた視線で汚れ無き少女達が汚れるわ! ・・・と言いたくなるくらいにはストレートにスポーツしてます。つまりこの本はロリコンの皮を被ったスポ根ものです。
・・・いやだからといってその、可愛らしさが皆無かと言われると、そりゃー、ま、ちょびっとだけアレがアレなんだけれども。ほら、なんていうかな、子猫や子犬がいくら必死にひっかいたり吠えたりしても、可愛いものは可愛いじゃないですか。で、そういうものを見ると脳みそから出るじゃないですか、汁が。βエンドルフィンとかな感じの快楽物質が。
まあそういう楽しみ方なら許せるんじゃないか、そんな風に自分を正当化する私です。

いや

冗談はこの位にしてですね、面白いんですよこの本。
主人公で語り部はあくまで期待の高校生バスケプレーヤーだった(部活が休部のため過去形)昴ですが、実際にコートを走り回るのは少女達で、昴はあくまでそのコーチ役に徹する展開になるんですね。
でもそれが実に良い感じに機能しています。ほとんどの少女がバスケの素人同然だった「お遊び」から、手に汗握る真剣勝負が出来るまでの「スポーツ」へ変化していく過程も楽しければ、主人公でありつつもちょっとやさぐれてしまっている昴が彼女たちを真剣に指導するようになるまでの過程、そして昴自身が持つバスケに対する思いの変化、どれ一つとっても不足無く描かれています。

ただまあ

なんというかイラストだけ見ているとこれがまた実にオイシイ・・・いやいやけしからん作りになっていまして。
スパッツ姿やら体操服姿やら果てはチームの少女全員そろっての入浴シーンまで用意されているという実に愉快・・・いや不愉快な作りに激しく憤慨したのは言うまでもありません。
いえ、確かに私の手元にあるこの本のそういったページには付箋紙が貼ってありますが、これはあくまで参考資料として活用するためのアイテムであって、そのページを永遠なものにしようなどというつもりはさらさらなく、ましてやスキャナーで取り込んで(うぃいいぃいいいぃいん)画像を加工などするはずもありません。

いやいや

さらに冗談はこの位にしてですね、見事なバランス感覚と言えるんじゃないでしょうか。
こういったキャラクターの配置やら、昨今の大きなお友達性的嗜好を考えるに、そういう(つまりアレな)方向に持っていくのはある意味簡単なんじゃないかななんて思うのですが、そっちに大きくはブレないんですね。
確かに少女たちは可愛らしい。でもそれ以上に——バスケが面白い! 私のバスケに対する認識と言えばせいぜい「スラムダンク」を走り読みした程度のものなのですが、それでも存分に楽しめてしまうのです。
ポイントガード? 知らん。センター? ・・・真ん中? そんな感じのどうしようもない素養しか持っていない私でも楽しめてしまうのです。いやはや、バスケってこんなに楽しそうなスポーツなの? なんて思ったりしちゃったんだから、仕方ないやね。

総合

うーん、星5つにしちゃおうかなあ・・・。
大賞の「アクセル・ワールド」とはまた違った意味で真っ直ぐ面白いですね。敢えて全然違う漫画とか例えに出しちゃいますけど、ボクシングやったことなくても「はじめの一歩」は面白い、そんな感じなんです。
共感して楽しむ類の話では無いかも知れません。そもそも小学生の少女に真の意味で共感できるのは小学生の少女のみでしょうし、読者層に小学生の少女がそう多いとも思えない・・・どころか、多分メインの読者は脂ぎってホルモン臭プンプンの野郎共なはずで、そして多分作者も似たようなもんじゃないかと勝手に推測するわけです。共感しようがありません。
でも、楽しい! いい汗かいたような爽快感! いや〜たまには右手以外にもスポーツさせてみないかい!?(下品ですまん) なんて言いたくなる一冊でした。うん、続き・・・出て欲しいな・・・。

感想リンク

・・・何気に巡回先の感想サイト系でこの本がかなりの確率で取り上げられているんですが、やっぱりアレですかね、その・・・この本に仕掛けられたぶっとい釣り針にまんまと釣られた人が多かったってことでしょーかね・・・。