ソードアート・オンライン(1)アインクラッド
ソードアート・オンライン〈1〉アインクラッド (電撃文庫) | |
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ストーリー
時は2022年。ゲームの世界は新しい領域に突入していた。
自らの感覚や行動を全てインタラプトして、ゲームの中での行動に置き換えることを可能にする《ナーヴギア》という端末が現れたことにより、ゲームプレイヤー達はまさに実体験のようにゲーム世界を味わい、そして行動することが出来るようになったためだ。
そしてその《ナーヴギア》を利用した一つのオンラインゲームが満を持してリリースされた。
その名を「ソードアート・オンライン」。
重層的、かつ複雑精緻に形作られた世界に多くのネットゲーマー達は狂喜乱舞し、ベータテスト段階から申し込みが殺到する異例の事態を呼び起こした。そしてキリトはたった千人という数少ないβテスターの一人だった。
そんな経緯の後、遂にサービスの正式開始がされた。サービス開始時に「ソードアート・オンライン」にダイブすることが出来たのは、幸運な1万人のゲーマー達。しかし、彼らが幸運と思えたのはゲーム開始からしばらくの間だけだった。
「これは、ゲームであっても、遊びではない」
強制ログアウト不能、ゲーム内での死が現実の死を意味する——。まさに生と死の仮想/現実世界に放り出されてしまった1万人のゲーマーの中に、やはりキリトも存在していた。生き残るにはゲームをクリアする他ないという状態の中で、過酷なオンラインゲーム世界での生存競争が始まる!
「アクセル・ワールド」で電撃大賞を獲った川原礫がネット上で公開していた小説が、電撃文庫から出版されたのがこの一冊です。
2冊目ですが
作者にとっては実質的には一冊目、みたいですね。
しかしそれでも妙な安定感というか安心感を感じてしまうのが不思議なところです。とにかく「読ませる」という部分において間違いなく突出した才能を持っているんじゃないでしょうかね。話の導入部分を作るのが非常に上手い、そんな印象を持ちます。
まったく読んだことのない作品でしたが、違和感なく物語世界に入っていくことが出来ましたね。読者にとって必要な情報を出していくのが上手いというか、必要な時に必要な情報をきっちり書いているというか・・・きっとサービス精神と自己満足のバランスが良いんじゃないかと思います。うん。
でも・・・
個人的には「アクセル・ワールド」の方が好みでしたね。
主人公のキリトはそれなりに魅力的なキャラクターであることは間違いないのですが、なんというか・・・たわんだバネが弾けるような爽快感には欠けたキャラクターですね。私は鬱屈したキャラクターだったハルユキの方が好みだったかな。
あるいは似たような作品で比較してしまうと「薔薇のマリア」の1巻辺りになるんじゃないかと思うんですが、やはりキャラクターの魅力という意味でちょっとキリトは弱いですね。淡々としているというか・・・。
あと
ちょっと難アリ、とこの2冊目で思ったのが、女性キャラクターの心の動きの描写の弱さ、でしょうか。
当然のようにヒロインであるキャラクターが出てくるんですが(名前はアスナ)、その絡み方というか、関係の出来方が、唐突? と言えばいいでしょうかね。
色々大事なところを割愛してしまっていて、結果だけ降ってきているというか。つまるところこのアスナというヒロインはキリトとあーだこーだした関係になるんですが・・・うーむ、なんというかもうちょっとその辺りでは「タメ」が欲しかったなあ・・・というのが本音ですかね。
これ実は「アクセル・ワールド」でも感じた部分だったりするんですが・・・他の部分の完成度が高い分、この一点の空白というか描写不足が妙に気になります。この作者の人、女性心理に疎いのかも・・・知れませんね・・・。
総合
盤石な星4つ。
上では何気に批判的な事を書いていますが、この話はつまらないのかい? と言われれば、いやそんなことはない面白いと即答出来る完成度を持った作品であることは間違いないです。導入ー中盤ーラストまで綺麗に高いレベルで物語を作っているなあという印象を受けました。
このシリーズも「1」と銘打たれているところをみると、まだまだ続きがあるんでしょうねきっと。ひょっとしたらWeb上でもう発表されていたりするのかも知れませんが、私は読んでいないので次の2巻も楽しみにして待つことが出来そうです。
というかそれ以前の問題として、もう20日も近いというこの時期に電撃文庫の感想を書いている段階で、なんだか私のプライベートのピンチ感が滲み出ていてイイ感じです。うん、本読んでる時間もネットやってる時間もないのよ!(って感想と関係ないですね)