ケモノガリ
- 作者: 東出祐一郎,品川宏樹(GAINAX)
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/07/17
- メディア: 文庫
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ストーリー
歴史の深い闇の中で、誰かが言った。狩りをしたいと。
鹿でもない。狐でもない。狼でもない。もっと、もっと高等でもっと狩るに足るもっと狩りが楽しめる生き物を狩りたいと。・・・歴史はその欲望に”クラブ”という名前を与えた。暗くおぞましい欲望を満たすだけの選ばれた人間だけが所属することの出来る”クラブ”。
それは闇に潜みながらひたすらに狩りを続けていた。最も高等で最も狩りをするに楽しめる獲物——人間を相手に。
そして何も知らない日本の学生がその”クラブ”の標的にされた。修学旅行を楽しんでいたはずの彼らに圧倒的優位な立場からハンター達の残虐な殺戮の手が伸び、次から次へとクラスメイト達が無残な屍と化していく中、今まで決して目立っていなかった一人の生徒が”何か”に目覚めた。
自らの置かれた危機的状況に本能が反応したのか、誰よりも冷静に、そして獰猛にハンター達に抵抗を開始した。少年の名前は赤神楼樹(あかがみろうき)。彼の中で目覚めた”何か”とは、「殺人」の才能——! 彼はその力を持って、人狩りのハンター達と壮絶な死闘を開始する・・・。
「あやかしびと」などのシナリオを手がけた東出祐一郎氏の小説デビュー作となる作品です。
ゲームの方で
なかなかに楽しませてもらったので作者買いをしてみたのですが・・・うーん、久しぶりに血なまぐささ全開の物語を読めたのはなかなか気分が良かったですね。
とにかく死ぬ。どんどん死ぬ。おおよそあり得ないような方法でクラスメイト達が殺されていきます。何しろオープニングからして一人の少女が惨殺されるシーンからスタートするのです。何かと遠慮しがちなところがあるライトノベルで呵責ない虐殺を描いてくれたのは良い気分でした。
全体的にガガガ文庫は今までのライトノベルが何処かで守っていた一線を意図的に越えた作品を出してきているような気がしますね。多分この話は電撃文庫とかでは出せなかったでしょう。多分ですけど。
で、話の方ですが
主人公である赤神楼樹を中心に語られるひたすら殺し合いの続くアクションものとなっています。
彼はわずかに生き残ったクラスメイトや幼なじみの少女を護りながら自分の中で目覚めた才能を存分に発揮していくことになります。斬り殺し撃ち殺し・・・敵から奪ったグルカナイフを片手に、人を狩るハンターを殺しまくっていきます。
・・・うん。まあ血みどろ感とかアクションについてはあまり不満は無いのですが、やっぱり気になるのは主人公の”才能”に余りにも説得力が無いところでしょうか。
殺しの才能があるという所まではまあ良いとしても、体力や技能という点でどうしたって劣ると思うのですが、その辺りについての説明が弱いのがどうしても気になりますね・・・。
そこを除けば
なかなかに良くできた作品でした。
全体の流れというか、読みやすさというか・・・ある意味でアクションと血みどろを楽しむのに余分だと思われる部分を思い切ってそぎ落とした作品作りには結構好感を持ちましたね。ただちょっとそぎ落としすぎてリアリティの欠落が気になる訳ですけどね・・・。
でも全体として見た場合にはなんとか許容範囲内に収まっているような気もします。うーん、もう少しだけリアリティをあればプッシュするつもりにもなったんですが、もう一つ、でしょうかね。