ディスカバリーチャンネルの「MAN vs WILD サバイバルゲーム」がめっちゃ面白い件

最近

我が家にケーブルテレビを導入したんですよ(真性テレビっ子の奥さん対策)。
ですが正直私はテレビという奴は余り好きではない方でして、見てもニュースとかテレ東の和風総本家とか世界遺産系の特集とかどっちかと言うとマニアックな放送ばかりを喜んでみている方でして、ケーブルテレビにはほとんど期待していなかったんですよ。
でもまあせっかく入れたわけですし、お金もかかっているのでそれなりに積極的に面白い番組が無いかと思って探してはいたんですね。で、結果として映画ばっかりやってるチャンネルでやっぱりマニアックな映画を見たりとか、6時間ぶっとおしでアニメ鑑賞とか(この間の攻殻攻殻2→時かけコンボ)、動物専門チャンネルアニマルプラネット」で時折放送される白くまや皇帝ペンギンの姿を見て身悶えするくらいのものでした。
ディスカバリーチャンネルで「MAN vs WILD サバイバルゲーム」を見るまでは。

で、どんな番組なの?

という疑問が当然のように湧いてくると思うんですが、一言で言うと、

  • 人間の生存が困難な過酷な土地にサバイバル術のプロフェッショナルが突入して、その場所からの生還術をやってみせてくれるショー

という感じかなと思います。詳細についてはWikipediaの項目でも詳しいですが、イギリスで作られていて世界20カ国くらいで放送されているらしいです。まあサバイバルとか言ってもあくまでショーなので演出ももちろんあるんですが、演出込みでもやりたくない、やりたくてもできないという事を目白押しでやってくれるとんでもない番組だったりします。

ちなみに

毎回世界の僻地に突撃する人はベア・グリルスというイギリス人冒険家で、簡単に言うとSAS出身のエクストリーム馬鹿です
ところでSASってご存じですか。(Special Air Service)の頭文字を取ってSASです。イギリス陸軍の特殊部隊で、世界最強とも言われる練度を誇る組織だったりします。
訓練でも実弾とか使うのでたまに死人が出たりするし、それこそ米俵並の重い装備を背負って山岳踏破とかを本気でやっちゃったりするマッチョ全開のわりには、「数カ国語が操れないとダメ」とか「一度言われた事は知っているものとする」とかを要求される知能体力精神力の全てを兼ね備えていないとついていけないというナイスガイばっかりを集めたところです。湾岸戦争で敵地に潜入しての色々アレしたりとかをマジでやっている連中です。
つまり「リアルMASTERキートン」の巣窟ですね。

そんな

経歴を持つベア・グリルスさんはSASを除隊後、その類い希なる能力を生かして冒険家になり、紆余曲折の後にこの「MAN vs WILD サバイバルゲーム」という番組の主役を務めているという訳です。そんなベアさんは「過酷な環境に自ら赴いて冒険する」というのが好きな真性のアレでして、ある意味で男の憧れです。で、そのベアさんはこの番組でどんな所に行ってくれるのかというと・・・。

  • 砂漠
  • 北極圏
  • ジャングル
  • サバンナ
  • 無人
  • 溶岩地帯
  • 湿地帯

などなどで、いわゆる「ボーッとしてると死ぬ」場所ですね。普通の人なら間違っても遭難とかしたくない場所です。ですがこの番組ではそういうヤバイところにベアさんを放り込みます。もちろんベアさんも喜んで行きます。しかも「サバイバルゲーム」と銘打っている通り、基本的に「遭難したものとして」ゲームスタートするわけです。

遭難している

という基本設定があるので、ベアさんは非常にしょっぱい基本装備で出かけますドラクエのレベル1勇者並です。すなわち、

  • 火打ち石
  • 水筒(遠足に持っていくような普通の奴)
  • ナイフ(刃渡り15センチくらい)

という三種の神器のみという事です。まあ服装は暑いところと寒いところで違ったりしますし、マジで死んでも困るので時には他のリュックとかカップとかを持っていたりもしますが、大体これだけです。正直に言えば、

「ちょっとコンビニ行ってくる」

位の軽装です。何か勘違いしているとしか思えません。場所によっては靴すら履いていないときもあったりします。結果として某有名ゲームの蛇さんと同じように、

「装備も武器も現地調達」

という気合いの入れような訳です。SASは除隊しているので敵兵はいませんけども。

でもさあ

「あくまでサバイバルの方法を紹介するショーでしょ? 大した事なくね?」

という疑問は当然あると思います。現地にはカメラさんも音声さんも一緒に行っているわけですし(多分スタッフ全員だと結構な人数になるんじゃないでしょうかね)、現地入りする前に細かい調査なんかもやっているとの事ですので、本当に遭難状態で撮影している訳じゃありません。「実は安全なところで撮影していた」なんて事を暴露されたこともあります。
でも、そんなことはどうでもいいくらいにガチで色々やってくれてしまうのです。そのガチな要素は大まかに分けて以下の3つです。

  1. 現地の食えるものはなんでも食う。
  2. 水が無くなったら取れるところから容赦なく取る。
  3. 「こんな危険に陥ったら」という想定のもとわざわざ危険な事をする。

・・・箇条書きにするとたった3行ですが、これがもう・・・。

まず1ですが

ベアさんはとても健啖家なので何でも食います
毒のない昆虫は「貴重なタンパク源」ですし、大きな芋虫もやっぱり「貴重なタンパク源」ですし、カエルやヘビやサソリも「貴重なタンパク源」です。というかヘビなんて多分ごちそうの部類に入ります。
しかも基本生で食べます。

「火を通す? ああ、それは盆と正月だけだね!」

位の勢いで生で食べます。
「嬉しそうに捕まえ、嫌そうに食べる」と言ったのは誰だったか知りませんが、言い得て妙です。「これは食べられます」と言ったか言わないかのうちに口に放り込んでくれるという体当たりっぷりです。
さらにリアルな事に、まれに食あたりや水あたりらしきものを起こして(原因が思い当たりすぎてどれだか分からない訳ですが)下痢や嘔吐といった状態に陥ったりします。そんな時のベアさん、マジ衰弱してやつれてたりするところがまた凄いです。

そして2ですが

ベアさんも人間ですので水がないと生きられません。
酷暑や乾燥地帯での水の確保は非常に重要だというのは大体分かると思いますが、素人目にも

「それは飲んだらヤバイがな」

という水を集めて飲んだりします。まあ設定が「遭難して生死に関わる状態」という事になっているので仕方がないのかも知れませんが、もう普通のTVショーの範疇を超えてしまっているのは確かです
マジでキてる水については飲まなかったり、時間がかけられる時は煮沸消毒とかもしていますが、ベアさんが「消毒しなくても大丈夫」と判断した水については容赦なく飲みます。水が多少濁っているくらいならまだナンボかマシです。それはもう想像を絶するところから水をゲットしてしまいます。「一人水分永久機関」とか「野生動物の二次利用可」とかもあります。
恐ろしくて直接は書けませんが、これらを目撃したとき、私はこれはもうこの番組の愛好家になるしかないと思いました。だってマジなんだもん。

最後の3ですが

単純に過酷な環境から生還する、という目的だけなら「安全を確保して、救助を待つ」というのが当然なのですが、これはあくまでTV番組でありショーなので、見せ場を作らなくてはいけません(これを「やらせ」という了見の狭い人も中にはいるらしいですが)。という訳でベアさん、スタッフと相談の上で「そうすることが避けて通れない状況になったときの対処方法」をやってくれます。
これがもうシャレになってません。命綱ついてるんだよね!? ね!? ね!? と思いながらこちらは見ているのですが、どうみても命綱ありません。本当にありがとうございました、という事ばかりです。
「厳重な安全管理のもと撮影しています」というテロップが番組の最初に流れるんですが、この「厳重な安全管理」、日本とイギリスでは意味が違うらしいです。でなければ、

  • 地上数十メートルの場所まで岩壁を素手で登る
  • 氷点下の気温の中で凍った川や湖に突入する
  • 危険動物と危険な距離で遭遇する
  • 激流にライフジャケット無しで飛び込む

とかの説明がつきません。誰が言ったか「遭難のプロ」。・・・ヤなプロフェッショナルだなあ・・・。

こうした

エクストリームな要素盛りだくさんな「MAN vs WILD サバイバルゲーム」ですが、もちろん楽しみどころは他にも沢山あります。
とにかくベアさんは博識なので(それだけ下準備はきっちりやっているという事だと思いますが、SAS時代に身につけた知識かも知れません)、こうすればあり合わせのものでシェルターが作れる、こうすれば吹雪の中でも夜が越せる、この木を使えば簡単に火が起こせる、こうすれば楽にイカダが作れる、この植物は傷薬のかわりになる、こういう道具を作る事で体力の消耗を抑えられる・・・などなど、分かりやすく解説しながらやってくれます。
まあタメになるんですが・・・知ってても活用する場が無いし、活用するような状況に陥りたくないし、ということで役には立ちません。というかこの番組で教えてくれる事は「役に立ってはいけない」という類の知識だと思います。はい。
だって「この番組が役に立つ」即ち「生死に関わる状況にいる」という事ですからして。

という訳で

みなさん「ディスカバリーチャンネル」を視聴できる環境にして是非とも見てみましょう!
・・・まあ最初の1回や2回はノリについていけないかも知れませんが、なあに、気がついたらクセになっていると思います。最大の問題は日本語字幕のついたDVDが発売されていないという事なんですが、もうアホかと馬鹿かと。いいからさっさとDVDを出せ。全部買うから
・・・え? ディスカバリーチャンネルを入れるのはちょっとコスト的に無理? 英語版のDVDじゃあ買っても仕方がない? 仕方ないなあ・・・まあその、どうしても見たい人はまあ、まあその、ゴニョゴニョ・・・。