ベン・トー(5)北海道産炭火焼き秋鮭弁当285円

ストーリー

煌めく青春の夏の日々もいつしか終わりゆく・・・という訳で無情にも夏は終わった。
夏合宿を経てパワーアップした感のあるハーフプライサー同好会の面々は、夏前と同じようにスーパーマーケットに集い、そして半額弁当を求める戦いに身を投じていた。そういう意味では全く変わり映えのしない毎日が帰ってきたと言えるわけだが・・・、少しばかり違う所ももちろんあったのだった。
何しろ今回はちょっとばかしシリアスなのだ! シリアス故に我らがヒーローである導師ヨー・サトウが何度もイラストに描かれてしまうという状況・・・と言えば分かって頂けるだろうか。なんか初めてちゃんと顔が描かれたんじゃないかって気がするよ!
しかも新たな登場人物として美しき初恋の相手なども登場してしまったりして、一気に弁当争奪戦は色めいてくるのか!? どうなんだ!? 
あ、白粉の奴だけは変わって欲しいのに変わらないです。いい加減肛門に執着するのはヤメたらどうなんだ・・・。

ちょっと

びっくりした展開だったなあ・・・!
序盤こそ佐藤の両親(ダディ&マミィ)とかが得体の知れないエピソードをまき散らしているお陰で今まで通りという感じで展開するのですが、そこから一歩離れると想像以上にまともな青春ドラマが展開されてしまったりして、ちょっとした驚きを感じるのではないでしょうかね。
どうにもムズムズするようなシーンなんかがちょくちょく出てきたりして、読んでいる最中、

「本当にこの本は『筋肉刑事』・・・じゃなかった『ベン・トー』なのか?」

と真剣に考えたくらいですから。いやその位には全体的にマジなんですよね。もちろんやらかしている事はスーパーの弁当コーナーでのあり得ない超常バトルな訳ですが、それにしたって熱いし真剣過ぎるわけですよ。なんだかここで勝ち残ったら予選突破で甲子園か国立かという感じでして、全ベン連とかの組織が既に出来ているんじゃないかという位にマジな訳ですよ。

しかも

今回のニューカマーが「狼」じゃないというのも大きいですよね。
「狼」どころか「弁当争奪戦なんて意味分かんない」というスタンスのキャラクターですからして、そうなると話の展開もいつもとは変わってくるわけですね。そりゃ作者の人の筆もノリにノったでしょうよ。
その証拠に、本を買ったら試しに244ページを開いてみたまえよ。こんなにびっしりと文字がぶち込まれたライトノベル、久しぶりに読んだ。見開きで見ても文字の印刷されていないところが、

  • 改行後の余白:12文字
  • 改行後の字下げ:2文字

合計14文字分しか余白がないという情報集積っぷりです。作者の人はなんか反省するといいと思う。俺はウハウハして読んじゃうけどな! というか文字数が多いとどっちかというと興奮する方なので全く困らないけどな!
文字数が多いのはこのページに限った話じゃないですけどね・・・作者の人の脳みそのスパークっぷりが作風から読み取れるところがなんとも言えず良い味を出しています。・・・隠し味ですけどね。

まあ正直言って

今回の展開は今までとちょっと違う感じなのでこれはもう「ファンの人なら読んでみて!」というしかない感じなんですが、ある意味で予想を裏切る展開が待っていると断言してしまっていいのじゃないかと思うのです。
なんですが、こう、あれ、ほら、こ、こ、恋? 恋的なものがあったり無かったりするわけですよ。しかも筋肉とかとは関係ない普通の男女のソレですよ。・・・まあそういう匂いは今までもちょこちょことしていましたけど、今回ほどストレートにラヴ方向に舵を切った事はないと思うんですよね・・・大抵は佐藤が馬鹿なので色々と台無しになる事ばかりでしたからして。
作品コンセプトとしては「原点回帰」という事らしいんですが、原点回帰し過ぎて『ベン・トー ZERO』を書いてしまったんと違うか? とか思ったりしました。まあ面白かったんでいいですけど。
それから原点回帰の副産物か、この本は空腹の時には読んではいけない本と化しています。食前に使用しますと、なんか副作用でおっぱいとかぱんつとかを目の当たりにするより悶々とします。こんな時思います。私のような人間でも「食欲>性欲」なのだ、と。生物として正しく生きている事が確認できて良かったです。

総合

4巻と全然違う作品に仕上がっているのに面白いじゃあないか・・・という訳で星5つ。
強いて言えば今回はお色気成分と変態成分がちょっと足りなかった感じがあるので、次ではその辺りを20%増量でお願いしたいところではあります。俺はスラムダンクを読みたいわけじゃねえからし。が、これはこれで悪くないというのも本音です。
しかし今回の新キャラ広部蘭は今後どこかでまた話に絡んでくるのかなぁ? そしてまた青春空間を発生させるのかなぁ? そんでもって槍水先輩にまたフカフカしてもらったりする展開があるのかなぁ? あるいは著莪に慰めてもらったりするのかなぁ? そんでもって白粉に匂いを蒐集されたりするのかなぁ? あせびちゃんがもっと話に絡んでこないかなぁ? オルトロス姉妹は実に面白いキャラクターだなあ萌え。という訳なので作者は可及的速やかに(A.S.A.P.)6巻を書き上げるといいと思う。
・・・つーかまたぱんつが見えそうで見えねえ表紙イラストだよ! スカートがそんな都合良くデルタに覆い被さるなんて確率的に低すぎるんだよこの野郎! とか思ったりはしました。でも絵師の柴乃櫂人氏は何気にいい仕事していると思うね! 白黒イラストに魅力を感じる絵師にハズレ無し、という訳で今後とも注目していきたいです。

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