ベン・トー(6)和栗おこわ弁当310円

ベン・トー 6 和栗おこわ弁当310円 (スーパーダッシュ文庫)

ベン・トー 6 和栗おこわ弁当310円 (スーパーダッシュ文庫)

ストーリー

夏が過ぎ 風あざみ ・・・などという優しげな展開は特にないのが半額弁当争奪戦を繰り広げる狼たちの常であり、今日も今日とて半額弁当を求めてスーパーの売り場で激闘を繰り広げる懲りない面々。そのなかにはもちろん我らが主人公・佐藤洋のどうでもいい姿があった。佐藤洋、またの名を《変態》という強者である。
学校での文化祭の近づいたある日、佐藤は偶然今まで訪れたことのないスーパーを発見する。半額弁当を求める狼として本能的に弁当コーナーの下見する佐藤だったが、そこには他のスーパーには無い異様な雰囲気が漂っていた。この地をホームグラウンドとする狼の一人である山木柚子という女性が言うところによると、この時期この場所のこのスーパーは特別であり、《スルーア》という凶悪な敵が出現するのだという・・・。
しかしそんな事を恐れる佐藤ではない。狼としての本能がそうさせるのかはたまた単に馬鹿なだけなのか分からないが、とにかく半額弁当獲得に乗り出した佐藤だったが、HP同好会部長の水仙は彼に「あそこはやめておけ」という、らしくもない助言をするのだった。
そんな佐藤の決意とは別に学校生活は続くのだが、文化祭という事で学校はあちこちで浮かれ気味であり、さらには槍水の溺愛する妹の槍水末莉花が文化祭当日に来ると言うこともあって、なんだかよく分からない嵐の予感がしたりする・・・。
佐藤はどこまで馬鹿なのか、佐藤の親父と佐藤の間で過去に一体何があったのか、佐藤は一体何人の少女とフラグを立てれば気が済むのか、その割には恋愛関係のイベントが一向に進む気配がないのは何故なのか、一日ブーツに包まれた仙の履いている靴下の匂いとかに興味はないのか、というような感じの最新刊です。

作者は

多分、

「本にした時ページに余白があるとダメになっちゃうぅぅぅ!」

といった感じのアレですね。これはもう確定です。
近年のライトノベルでここまで書き込みが激しい本はそうないです。このシリーズをここまで読んできている人ならそんな作者を既に生暖かい目で見ているとは思いますが。
まあ私は文字数が多いと興奮してくる質なので一向に困りませんが、この溢れ出るパッションに付き合わなければならない編集さんとか校正さんとかは作者の人にいらついていたりするのかも知れません。大変な業を背負ってますねと思いつつも、なんだか分かりませんがこの作者に関しては同情的な気持ちが少しも湧き上がってこないのでどうでもいいです。
え? いや? もちろんファンですよ? でもなんと言いますか、こう・・・主人公の佐藤のような作者を想像してしまってですね・・・そうすると「いーじゃんどうせ変態だし」みたいな気持ちになるのです。なにこの気持ち・・・? これってひょっとして、恋・・・?(違います)

今回は

何気に真面目に半額弁当を取りに行っていまして、露骨に「お前モデルがマツコ・デラックスだろ」というキャラクターが出てきたりしますが、半額神なのであまり困りません。それ系の人なのでいつものように佐藤のケツとかが狙われたりするのですが、まあ白粉の暴挙で慣らされているので今更という感じですね。イヤなものに慣れたもんだ・・・。
それより大事なのは槍水の妹である末莉花でしょうかね? 何しろ子犬のように人なつっこい小学四年生美少女(10)という、そういう方面の人にとってはもの凄くストライクゾーンというか、キラーコンテンツな感じがひしひしとするキャラクターであり、「ドリームシスター」とかそんな商品名で売り出したら爆破的に売れまくって一年でgoogleに追い付く大企業になるんじゃないかという感じのアレです。「はいてない疑惑」なんかもあって僕らは汁が止まりません。
ちなみに私、先日感想を書いたばかりのフルメタを読んでいる最中しばしば「LD搭載機」を「LO搭載機」と空目しました。そりゃオメエ強ぇ訳だよ・・・と納得しかかったのは言うまでもありません。
・・・話が明らかに脱線しましたが、とにかくこの末莉花かなりのポテンシャルを秘めている事だけは間違いありません。少女というより妖精のような魅力、思春期を超えた女の子にはあり得ない程に近い距離感・・・作者も持ち前のフェチズムを全開にしていまして、ヨダレにまつわるエトセトラに関して言えば個人的に作者に金メダルを送りたいと思います。よくもまあそんな針の穴を通すような攻撃を成功させたもんだ・・・! と、そんな案配です。

まあ

一人で悶々としなければならない我ら読者と違って、本編の方は何気に佐藤リア充全開で話が進むんですけどね。
なんだよテメエ知り合いというか友達というかそういうのが女の子ばっかりじゃねーかよ・・・。どいつもこいつも美少女だしよぉ・・・ちょっと俺らにもおすそわけしてくんねーかァ・・・? とか言いたくなるのは私も同じです。高校生の時の文化祭なんて私のセピア色の青春の一ページにはマジックで塗りつぶされた一枚として残っているというか、そもそもそんなページが存在しないという感じなので、女の子と文化祭めぐりとかやっている佐藤に軽い殺意を覚えますネ。半額弁当争奪の方も今回かなり真面目に進みますし、何気にストレートな青春グラフティという感じなので憎しみもひとしおです。
佐藤なんてしねばいいのに。
とにかくフラグ乱立のような感じですが、個人的に好きなのは一瞬しか登場しないのにもの凄いインパクトのあるあせびちゃんでしょうか。危険物でなければ私が飼いたいところです。オルトロス姉妹もドンブリでお願いしたいのです。内本くんの気持ちもちょっとだけですが分かります。別の人の書く話でサドロリな某キャラクターに出会っていなかったらさしもの私も危なかったかも知れません。

総合

確実に星4つ、ですね。
5つ星ではないけれども、それこそ「栗おこわ弁当」のようにあっさりし過ぎず、かといってこってりしている訳でもなく、ちょうどいい感じで読者の胃袋を責め立ててくれる良い一冊だと思います。確かにマーク�のアウアーアーアーはゲーセンで筐体をグィングィンさせていた人間がやると魂が抜けてしまう出来でしたが、私はセガ派では無かったので特に困りませんでした。
しかしこの話、この後どうなっていくのかなあ・・・。半額弁当はもちろん今後も狙い続けるんでしょうが、私が気になっているのはラヴ方面の話ですよ! メインヒロインは一体だれなんです? やっぱり槍水先輩ですか!? それともサイトウ刑事ですか!? というかこの話って一種独特のユニセックス的な空気が漂っていて、佐藤と女の子たちの距離感が何とも言えず柔らかくて可愛いのが不思議ですよね。佐藤、変態なのにネ・・・しねばいいのに。
イラストは柴乃櫂人氏です。安心のグッドクオリティですね。ただ一つ心配なのが、何を間違ったのかカラーイラストに見知らぬ野郎・・・いや佐藤をデカデカと(しかもイケメン風味に)載せてしまった事についてです。これ編集会議とかちゃんと通ってますか? 佐藤ですよ? 佐藤でカラーイラスト埋めちゃっていいんですか? もっとこう、女体的なもので埋めた方が良かったんじゃないかという気がしますが、主人公だし、まあ仕方がないのか・・・? 畜生、その抱きかかえているものを俺によこせ。

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