寝る前の一時 vol30

色々と偶然が重なって早く家に帰ることの出来たある日のお話。

「ふーぅ、ただいまー」(俺)
「え、え、あーっ! おかえりぃっ! 早い! いやーんっ! すごい早いねっ! 今日はどうしたのっ!?」(奧さん)
「いやなんか特別な理由がある訳でもないんだけど、こういう日もあるってことかなー」(俺)
「そう! まあ理由はなんでもいいけどね! 早く、早く! 入って入って!」(奧さん)

靴を脱ぐ間、玄関で腕を引っ張られる俺。

「暑かったでしょ!? お風呂入ったら!? ほら、入って入って!」(奧さん)
「え? ああ、そうする」(俺)

すぐさま風呂に入れられる俺。なんで職場ってシャワーの一つも用意されていないんだろうとか思ったり。

「ご飯急いでだけど作ったから! でも下拵えはちゃんとしてあったから手抜きじゃないよ! ほら、食べて食べて!」(奧さん)
「え? うん、おいしい」(俺)

流れるように晩ご飯を食べる俺。夏バテ対策のためスタミナが付きそうな食材があちこちに。こういう気遣いは嬉しいよね。

「たまにはビールとか飲む……? 今日みたいな日はいい気持ちで飲めるんじゃない……? どう? 飲む? 飲んで飲んで?」(奧さん)
「え? うーん、まあ飲んでみる……か? んん?」(俺)

基本的にお酒飲む習慣が無い俺に、珍しくお酒を勧めてくる奧さん。飲むと眠くなるんだけどまあ……いいか……?

「ほら、はやくぅ…… あ…… あ…… 入れて入れて……? あ、あーっ……! はぁっ……」(奧さん)
「………………」(俺)

そーか、ここに至るための布石を綺麗に踏まされてきたって事なのね? とかぼんやり思いましたとさ。いや、不満は全くないです!


……フィクションだという事にしておくと心穏やかに過ごせるんじゃないかと思います。さあ、読んで読んで!