護くんに女神の祝福を!

護くんに女神の祝福を! (電撃文庫)

護くんに女神の祝福を! (電撃文庫)

感想を書く事の出来る本は山の様にあると言えばあるのだが、あえてこの作品で。個人的な感想を簡潔に表現すると、
俺はこの話の主人公が大嫌いだ!
主人公のイラストからして気に入らない。もっと男らしさを映像で表現せんかい!女神の様に優秀なビアトリス(人の意思に反応して奇跡を起こす物質)使いである鷹栖絢子に問答無用な程強烈に愛された挙げ句、笑顔が可愛いと表現される高校生・吉村護。希望と未来と夢に満ちあふれるその人柄、そして強力な癒し系スマイルの持ち主である彼は、ヒロイン鷹栖絢子だけでなくその他の人にも愛される将来有望な少年。そんな安心出来て可愛くて、まっすぐで、いざと言う時に頼りになり、ビアトリスにも愛される少年が主人公の恋と夢と希望の物語、である。
主人公は幼いころ遭遇したビアトリスの奇跡に強く感動し、それが元でビアトリス使いを育てる唯一の学校「東ビ大附属」に入学し、そこで<魔女ビアトリーチェ>と呼ばれる鷹栖絢子と出会う、そうしてなぜか「面白いもの大好き」的な生徒会などに巻き込まれつつ物語は進行していくわけですが。
やってられるかー!
もっと挫折しやがれ!ねじくれろ!グレろ!本物の辛酸を一度舐めやがれ!とにかくこんな青春俺は認めねー!あってたまるかこの野郎!今時の少女マンガにもこんな舐めた野郎は出てこねーぞ!一見、愛、友情、努力、勝利と四拍子そろっている様ではあるが、実は「努力」はすっぱりと抜け落ちている感じが否めない。だって主人公、素直で真っすぐな少年だからビアトリスそのものにとっても愛されてしまうんだもの。必死で努力している人間も物語の中にはいるだろうに、そういった連中をいともあっさりと追い抜いて行ってしまうんだもの。しかも抜かれた人も何となくそれを認めてしまう様な素敵な人柄なんだものって・・・てめえ、なめてんのか!
キャラ的な意味で言えばヒロインの鷹栖絢子の方がなんぼか共感出来る。ビアトリス使いの天才のために得たものも多いが、失ったものもまた多く、決して光り輝くような人生を送ってきている訳ではないから(一巻だけだとそこまでは分からないかも知れん)。だから鷹栖絢子にとっての最愛の人としての「吉村護」の存在は許せるのだけど(つまり今まで良く頑張ってきましたのでご褒美的意味合い)、吉村護そのものはどーしても許せん。
続刊ではその他さらに色々とキャラクターが出て来る訳ですが・・・まあそれは続刊の評(書くかどうかは別として)に譲るとして、とりあえずそんな感じ。いえ、既に発刊されている作品については全部読んじゃってるんですけどね。個人的に主人公が気に入らないのでNGとなってしまっているこの作品、多分どこまで読んでも個人的には気に入らないんだろーなと思う。おすすめはしない!してたまるか!しかしまあ一応読めるので星2つ。
まあ、一巻は登場人物の基本的な紹介のためのストーリーに収まっている感じとも言えないことも無いので、一冊目を読んでからその後の続刊を購入するかどうか決めた方が良いかもしれない。オススメはしないけど!
ただし、登場キャラの周藤汐音の髪型については今後もずっと追いかけてしまう様な気がする。いや、むちゃくちゃだから。