黄昏色の詠使い(4)踊る世界、イヴの調律

踊る世界、イヴの調律 (富士見ファンタジア文庫 174-4 黄昏色の詠使い 4)
踊る世界、イヴの調律 (富士見ファンタジア文庫 174-4 黄昏色の詠使い 4)細音 啓

富士見書房 2007-11
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ストーリー

ネイトクルーエル、そしてエイダ達が通うトレミア・アカデミーを灰色名詠を使うミシュダルと名乗る何者かが襲撃してからしばらくの時間が経過し、アカデミーの夏休みも終わり、通常の授業が開始されていた。しかし、クルーエルの体調がすぐれない。彼女は名詠の才能を開花させるにつれ、その体を原因不明の熱病で病みつつあった。
続けざまに発生する異常事態に虹色名詠士・カインツを含む知的集団イ短調達は積極的に行動を開始する。彼らはアカデミーに新たに研究者を一人、戦力として一人の人物を送り込む。それにあわせてやはり発生するトラブル。その災厄の中心に存在しているのは・・・クルーエル。そしてどうやらネイトらしいのだった。
5色の名詠全てに関連すると思われる「原初の色」そして夜色にまつわる謎が世界に新たな謎を持ち込む、シリーズ4巻。

むぅ

つまらなくはない。
つまらなくはないのだけど、正直「続きがもの凄く読みたい!」という気持ちにさせる何かが無いというか・・・この4巻において主人公(?)のネイトの活躍がようやく書かれたりするんですけどね〜。それでも微妙にイマイチに感じちゃうんだなあ。その辺りの理由ははっきりしないのだけど、個人的には多分「汗臭さ」とか「泥臭さ」を感じないからじゃないかなあとか思います。
いや、なんといいますか、清潔なんですよね。清廉潔白というか・・・清浄とか、うん、そんな言葉がピッタリ来る作品なんですけど、この4巻になって「白河の清きに魚も住みかねて もとの濁りの田沼恋しき」じゃないですけど、読者である私は「ドロドロとした何か」とか欠乏症になってきてしまいました。

世界観も

非常に独特かつ、ちゃんと作り込まれている感じがあるのだけど、現時点では意味不明というか・・・「え? それとこれ、具体的に何が違うの?」という感じになってしまって、頭の中が読書中に「???」という感じになってしまいました。
灰色? 5色? 夜色? 虹色? ネタバレ避けるので書かないけど(?)色? えーっと何が例外で何が例外じゃないの? 例外である事はどの位あり得ない事なの? ん? ん? んんんん? という意味不明感とでも言えば良いでしょうか。
前の感想で、

今後これ以上色が増えたりしたらやんなっちゃうかも。

なんて自分で書いていますが、違うと言われれば違うんですが・・・うーん、微妙。

話の展開は

クルーエルが倒れてしまった事によってより緊迫感が出てきましたね。
それと同時にネイトとクルーエルの関係も妙に近づいたりしていますが、やっぱり唐突すぎると言うか・・・分からん・・・なんというか女性が読んだら分かるんでしょうかね、この感じ。

「ねえ、今わたしがそれをお願いしたら、キミはなんて答えてくれる?」

相変わらず積極的なクルーエルに無自覚なネイトのコンビは中々なのですが、どうもストンと自分の心のどこかにはまりきらないもどかしさを感じますね。うん、読者の私が汚れてるから駄目って感じか。

総合

ついに星2つになっちゃった。
どうやら世間的に評判はよろしいようなので、これはもう相性の問題ですね。青春には希望も必要だけど、欲望/渇望/絶望も不可欠だろう! となんとなく思っている私には、この物語は清浄過ぎます。
ネイトは性別不明感が漂ってますしねぇ・・・いや、こういう少年が嫌いという訳ではないんですけど、周囲のキャラクターも「立派かつ清潔で見事」となると、灰汁の無さにヨゴレの私は食い足りなさ全開です。個人的にはもっとクドくしてよ! と言いたい所ですが、この物語の持ち味はこの清潔さですから、どうにもなりませんねえ・・・。

感想リンク

booklines.net  Alles ist im Wandel  灰色未成年  MOMENTS  今日もだらだら、読書日記。

ふふふ・・・巡回している感想サイトの皆さんはほとんど高評価の模様。やはりヨゴレには魅力が分からない本だってことか!?