アスラクライン(9)KLEIN Re-MIX

アスラクライン〈9〉KLEIN Re‐MIX (電撃文庫)

アスラクライン〈9〉KLEIN Re‐MIX (電撃文庫)

ストーリー・・・というか・・・

もうこの一冊は単なる短編集と化しているので、ストーリーも何も無いような気もするんだけど・・・。
まあメインテーマとして主人公の夏目智春が毎回女装するハメになるという、一部読者がとても喜びそうなネタを扱っております。

しかしね

余りに本筋のストーリーが進まない事に本当にイライラして来た。
この本はもう正直買わなくても次の10巻を読めば良いんじゃないかと思えるような出来なんですが、短編の一本には今後のストーリーの重要な位置につけそうな操緒の姉・環緒が顔を出したりしていて・・・なんというかえげつなさを感じた9巻でした。
本筋と関係のない「外伝」とか「短編集」としてタイトルも分かりやすく変えたりして出版されていたらここまでイライラしなかったかなあなんて思います。この本はどうやら「電撃hp」に掲載された作品を載せているようですが、私のように文庫しか買わない人間からするとこれはもう単なるだまし討ちですね。
表紙のあらすじには、

特別収録、スペシャル番外編もついてます。

なんて書いてありますけど、この一冊全てが番外編と言っても過言ではありません。

ただ

短編の一つ一つの出来は悪くはなく、増えすぎてしまったと感じるキャラクター達一人一人に奥行きを与えるための作品としては十分以上に成功しているかな、なんて思います。
特に良かったのは佐伯玲子佐伯玲士郎の兄妹ですね。佐伯玲子は今回はちょっと素直になっちゃったりして、とてもいじらしい少女としての姿を垣間見せてくれます。
また、出番こそ余りありませんでしたが、第三生徒会の「会長」である刀を背負った少女の橘高冬琉(きつたかとおる)と現・科學部の部長の荽塔貴也(かがやきときや)もいい味を出していました。
さらには佐伯玲士郎(♂)→夏目智春(♂)←荽塔貴也(♂)の恋の鞘当て(あれ? ・・・全員男だね。・・・何!?)も笑えるお話です。

総合

星3つ。正直ギリギリ。
キャラクター小説として見た場合には高めで安定していて楽しく読めるんだけど、上に書いた通り本筋があまりにも薄味になりすぎてどうでも良くなって来たという感じ。
個人的には次の巻で白黒付けたいと思いますね。今回のラストシーンは意外に緊迫していますから、次の巻ではのっけからアクセル全開で話を作って欲しいです。
もし、同じようなタラタラした展開だったら・・・私は11巻を読まないでしょう。なんか余りにも本毎、あるいは一冊の前半/後半で「物語密度の違い」を感じるので「水増しされた物語」を読んでいる感じが強いです。
結果として「惰性で買っている」という印象が強くなってきましたので・・・私は次でどうするか決めようと思います。

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