ハカナさんがきた!(3)北の巻

ハカナさんがきた! 北の巻 (HJ文庫 お 2-1-3)

ハカナさんがきた! 北の巻 (HJ文庫 お 2-1-3)

ストーリー

羽座間恭一(はざまきょういち)と謎の女・ハカナとの同居生活もなんとなく形になり始め、幾つかの事件を経て家族らしくなって来た。
そしてさらに恭一は自分に備わった不思議な力——アナザーと呼ばれるそこらじゅうにある霊的物質に干渉し、ファントマと呼ばれるモノを作り出す能力——と、ハカナの存在が一体なんであるのかを、親代わりとも言える美樹本家の人達に告白することにした。そこには美樹本巌という力強い父とも言える存在がいたからこそ出来た事でもあった。
そして恭一は、ハカナを取り巻く謎をさらに一歩解明するべく、謎の中枢とも言える天賀の研究施設のある浜多という土地を訪れる事にした。ただし、美樹本家の人間もそろって、というか・・・海水浴場が多いのでなんというか半分リゾートで。
残念ながら最終巻となってしまった3巻です。

うーん

もったいない・・・という感じがまず最初に来ますね。
物語的には一応の解決を見るものの、露骨に打ち切り感がありますからねえ・・・色々物語の膨らませようもあったと思うんですが、惜しい。惜しいとしか言いようがないですね。
ラノベにしては珍しく家族の繋がりが前面に押し出された作品だったので、そういう意味でも惜しいという感じが強いのです。さらにはこの巻では色々と幼女フラグなども立ったりしますので、そういう意味でも惜しいです。

「……ナナも、……すき」

こんな感じで、無口幼女の告白とか!

強いて言えば

やはり家族の絆の部分と、ラブコメ部分が上手く噛み合なかった所が問題なのかも知れませんね。
個人的には他のキャラクターの視点で物語が語られる場面が多ければ、主人公の気持ちと、他の登場人物の気持ちのすれ違いとか、近づいたり離れたりする感じが出せたのかなあ・・・でもそれはそれでどうだろうなあ・・・みたいな難しいことを考えてしまって、なんとも変な気分です。応援している作品だとそんな考えてもしょうがない事を考えてしまうので、なんとも・・・。

本当に

これからの物語なのにという印象ですね。
起承転結で言えば、「承」位じゃなかろうかという感じがします。
色々と仕込まれていたネタなんかも出てきますし、その上で次の話に期待したくなってしまうんですが、打ち切りかよ・・・というヘコミ感が何もかもを洗い流してしまうという読了感。うーん、続きを書かせてやってくんねえかな〜。
話の展開は1、2巻と比べて急展開で詰め込んだ感じがありますけど、十分についていける感じだったので一読者としては「じゃー、次もこんな感じでお願いします〜」って言いたくなるんですけどね。

「大丈夫だよ恭一!……私、そんなことくらいで恭一を嫌ったりしないから!」

といった美樹本由宇の言葉とか、

「ひょっとしたら、お前のことをすごく好きになるかもしれない」
「はぁッ!?」

屁をするヒロインの微妙な発言とか。今後の事を考えると美味しいのになあ・・・。

総合

星3つかな・・・。
次も読みたいのに読めない、そのショボーン感が星の数にも露骨に出ちゃってますな。
美樹本一家と恭一の関係、そしてハカナに訪れた変化とか・・・ああ、これからじゃん! という感じです。次だよ! この話は前フリだよ! だから読ませて欲しいのに、もう続きが出ないという・・・。ああ、そういえば「トキオカシ」の時にもこんな感じをもったような気がするなあ・・・なんとも残念。

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