SH@PPLE(2)

SH@PPLE―しゃっぷる―(2) (富士見ファンタジア文庫)

SH@PPLE―しゃっぷる―(2) (富士見ファンタジア文庫)

ストーリー

淡谷雪国(♂)(あわやゆきぐに)は一目惚れをした相手に近づきたい一心だった。
双子の淡谷舞姫(♀)(あわやまいひめ)は閉塞的な環境から逃げ出したい一心だった。
両者の利害が一致した結果、双子でそっくりな彼と彼女はお互いがお互いに変装して、学校を交換してしまったのだった。そうして過ごすうちに立場の違いから見えてくるものもあったりして、なにか妙な展開に。
結果的に色々と良い方向に話は進んでいったのだけど、雪国の恋は前途多難だった。相手は駿河(いするがみつ)。近づけた事で判った事もあったのだけど、雪国に懸想するお嬢様が現れたり、蜜は蜜で急速に親密になってしまった舞姫(中身は雪国)との関係に戸惑ったりして(性別的な意味で)混乱は増加傾向。
しかもこの2巻では何故か縦ロールお嬢様・蝶間林典子/一駿河蜜/舞姫(やっぱり中身は雪国)で温泉地に泊まりがけていく事になってしまったりして・・・。
蜜とさらに進んだ関係になるために正体を明かそうとし、あわよくば大人の階段まで上がれればなあ・・・などと期待に震える雪国。そんな雪国を不審の目で見る舞姫・・・果たして雪国は蜜に自分の正体を明かす事が出来るのか? というか大丈夫なのか温泉は?
性別転換もの(あるいは女装もの?)が苦手な私でも何故か安心して読めるシリーズ2巻です。

うん

1巻の感想を書いた時にもちょっと触れたけど、私は♂⇔♀交換系の話が苦手なんです。
でもこの話は読めるんですね。なんででしょう? ・・・って、この話はトランスセクシャル的萌えを追求しているように見えないからなんですよね。
雪国は女装したからと言って中身に大きな変化もありませんし、それほど女装自体に抵抗がないんですね。当然恥ずかしがったりもしません(バレない限りは)。女装というよりは・・・変装? ですかね。舞姫も同じです。それが結果として少女の格好だったり少年の格好だったりしただけという感じなのです。
うん、意外と健康的でしょ? これならお子様でも安心して食べられます。

しかし

ブコメとしての出来は良くてですね・・・。

  • 雪国(♂)→蜜(♀)

は読者からすると普通の男女交際なんですが、登場人物の蜜からすると

  • 舞姫(♀)→蜜(♀)

となる訳で、あれ、これはヤバイという感じになるわけです。
しかも、

  • 蜜(♀)→舞姫(実は雪国♂)

というラインも生まれつつあってですね。つまり蜜は自分の中に生まれた感情(♀⇔♀に思える)に戸惑いまくって・・・いやあその辺りの混乱が実に楽しいんですわな。
ついでに言えば

  • 典子(♀)→雪国(♂)

のラインもあるんですが、言い寄っている最中の肝心の中身は、

  • 典子(♀)→雪国(実は舞姫♀)

という事になってしまっていてもうグチャグチャです。
感想を書いている私も正確に本の内容が伝わっているかどうか自信がなくなってきました。えーっと、書いてある事、分かりますか〜?

という訳で

性別転換ものな割りには温泉お色気シーンなどもばっちり取り揃えておりまして、みどころ満点です。
野郎軍団に忍び込んでいる舞姫も実はやっぱり美少女なので、こう、なんといいますか、生唾を飲み込みたくなる展開に一枚噛んでいたりして、そちらも見所がありますねえ・・・。今回は上でも書いている通り温泉での一幕なのでそういう方向で色々とキャラクターがばっちり脱いでくれます。
でもなんですかねこのプチエロス。エロスというよりはプリティーか? うん、なんだか分かりませんがエロいというよりはカワイイです。全裸のイラスト付きでもカワイイという感じが先に来ますねぇ。作者が女性だという事が一役買っているのかもしれません。

総合

星3.5位だけど、四捨五入して4つ。
妙に楽しかったかな? 結構おすすめのシリーズではないでしょうか。
今回は学校絡みの大きなトラブルはありませんのでちょっと舞姫の活躍シーンが少ないですが、それでも雪国サイドとリンクして色々と楽しませてくれます。別荘地でのひととき・・・恋する相手と一つ屋根の下・・・どころか一つベッドの中・・・オトナの階段・・・はち切れんばかりのメロン、プリン、うしちち・・・ああ、温泉ってステキ。
イラストは確かえっちい絵を書いている人だったと思いますけど、本文がサワヤカ(?)なので相殺しあって(?)程よいイメージで纏まっている所も見逃せないですね。面白い化学反応、面白い相乗効果ですよ?

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