世界平和は一家団欒のあとに(5)

世界平和は一家団欒のあとに 5 (5) (電撃文庫 は 9-5)
世界平和は一家団欒のあとに 5 (5) (電撃文庫 は 9-5)橋本 和也

アスキー・メディアワークス 2008-07-10
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ストーリー

星弓一家はそろいもそろって超常的な能力を持った一家で、父ちゃん勇者、母ちゃん魔法使い、長女魔法使い、次女は超人、三女は回復役、次男は剛力・・・などとかなりの感じで普通の人間を超越している。とにかくこの世界からは「正義の一家」という役割を与えられているらしい。
そんな星弓一家だったが、今回その土台を揺るがす出来事が発生してしまう。勇者であるところの父ちゃん・星弓耕作は夜の勇者王という感じで女遊びをブイブイ言わせており、それを妻の志乃に見つかっては折檻されるという日々を繰り返していたのだが、遂に夫の余りの放蕩ぶりに志乃がキレてしまった!

「実家に帰らせていただきます」

母ちゃん、あなたの実家は行くことも帰ることもままならない異世界では!? と子供達は思ったりしたのだけども、とにかく母の志乃は家出をしてしまった・・・。最初こそ余裕のあった一家だったが、それが二週間の長きに渡るにつれ兵站の乱れから人心は荒廃し、星弓家の内部はモヒカン族の支配する世紀末状態となってしまっていた・・・。
遂に母ちゃんが主役の話が回ってきた! 一家の土台を支える母がいなくなったとき、家族はとても脆い! この危機に残された星弓一家はどう対処するのか――? そして立場が異常に弱くなった父・耕作の命は――?
という適当な空気を漂わせてお送りする家族メインの異色ライトノベルの、気がついたら5巻です。

今回

クローズアップされる母ちゃんですが、以前ちょっと語られているとおり実は異世界の元お姫様です。
魔法を使えたりする一種の超人ですが、基本的に夫・耕作にメロメロなだけの良き妻、良き母、ですね。親父の方は以前メインに据えられているので改めて言うような事は何もないですが、基本は根性の座ったナイスガイです。
この夫婦って、そうですねえ・・・「ゼロの使い魔」のルイズとサイトがこっちに帰ってきて結婚して20数年も経ったらこんな感じかも知れませんが・・・どうなんでしょうね。意外と外れてないような気もしません?

爺さん登場

「実家」という事で里帰りな訳ですが、そこでなんだかとんでもない爺いで元ヤクザの親分・大三郎が出てきます。
まあこの爺さんにしてこの息子、この孫達ありという感じでしょうか。ヤダなあこんな電撃ネットワークの誰かみたいな爺さん・・・。でもなにやら異常なまでのハイパワーで物語のスパイスとなってくれます。
大物なのか小物なのかイマイチ分からない人ですが、面白い人物であることは確かですね。息子の耕作には力で適わないのですが・・・。

「ぐあああっ!? なんという強さじゃあぁ――――――っ!」
「ああ、お義父さんっ!」

心配する台詞を口にしたのは嫁の志乃ですが・・・まあこの二人は仲は良いようです。嫁と舅・・・こじれるとこれはこれで面倒ですからねえ・・・。

「なにあの強さ!? ずるくない!? ワシ、あいつキライッ!」
「ほらほら、お義父さん泣かないで」
「あんなやつ明日お腹痛くなればいいんじゃ!」

あなたの実の息子でしょうがそれ・・・。
まあ、ここだけみると情けない爺さんのように見えますが、実際の所かなり気合いの入った爺さんです。なんだかんだ言って化け物じみた強さの耕作に立ち向かう根性があるだけでも凄いわけですから・・・。

ああ、

今回も一応主人公は長男の軋人くんですが、まあなんとも分かりやすい性格だこと! というか1巻の時からまるで成長というものが見られないような気がするんですが、気のせいか? でも、

「おじいさんが、ただ首を振るだけなら子どもでもできるって」
「じゃあ俺が子どもなんだろうよ」

即座にそんな風に言い返せる反骨精神は好きですね。でもまあ、もうちょっとしゃっきりして欲しいところですが・・・いやこのままだと本当に柚島の尻に敷かれる可能性大なので。
・・・多分その女は気がついたらいつも隣にいて(他の女が寄らないように)、気がついたら部屋でご飯(肉じゃがなど)とか作ってしまって、気がついたら既成事実(この際もう何でも良いけど)を作ってしまうような女だぞ! 気をつけろ! いや、それが幸せって可能性もあるけどさ・・・!
とにかうこのままだと軋人くんが父ちゃんを超えるのは難しそうだからなあ・・・まあ超えて良いのか悪いのかって問題は残りますが、とにかく彼には今後とも弛まぬ精進を期待したい所です。

総合

星3つかな?
つまんなくは無いですけど、私の望んでいる何かがこの物語には無い・・・! と前々から思っているところがありまして、それが評価を下げる原因になっています。いや、何かが有りすぎるのか?
自分の育った家族構成的に、私には幾つかこの話の中に「知りたくともとも知ることの出来ない感情」というのがありまして、それが原因かも知れませんね。姉には素直に負けるとか、妹には逆らわないとか・・・。
兄弟がいなければ兄弟がいる人の気持ちは分かりにくいですし、姉妹がいなければやっぱりその姉妹に対しての気持ちは分かりにくいですからね。父と母はまあ、ともかくとして。
大家族に生まれてたらこの話から受ける印象は変わってたのかなあ? なんだか損したような気持ちになってきた・・・。

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