女帝・龍凰院麟音の初恋

女帝・龍凰院麟音の初恋 (一迅社文庫 か 2-1)
女帝・龍凰院麟音の初恋 (一迅社文庫 か 2-1)風見 周

一迅社 2008-08-20
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ストーリー

月見里悠太(やまなしゆうた)はおっぱい星人である。
とにかくおっぱいが大好きで、女性と言えばおっぱい、おっぱいといえばおっぱいという性的嗜好をもった変態である。今日も今日とて「おっぱい!おっぱい!」と叫ぶのを止めない程度には変態だった。
彼は今年の夏休みを海の家でのバイトをして過ごす事を決めており、夏休みの全てをおっぱいに捧げるつもりでいた・・・。しかし、気がつくとどこかのお屋敷で目が覚め、夏休みもあと数日で終わるという事態に巻き込まれていた。
しかもここ一ヶ月の記憶が全くない! 悠太が目が覚めたのは龍凰院の屋敷・・・彼の通う聖綾学園において「学園の女帝」と呼ばれる少女・・・龍凰院麟音(りゅうおういんりんね)の住まう屋敷だった。
状況を聞けば、麟音も、屋敷の関係者もここ一ヶ月の記憶が無いという・・・しかし麟音の日記によれば「私と悠太はこの夏休みに恋人になった」というのだ・・・!
失われた一ヶ月の間に何があったのか? とにかく夏休み終了までに記憶を取り戻さないと悠太は抹殺されてしまうらしい! しかし悠太にはそれが本当の事とは信じられなかった・・・何故なら麟音は「貧乳」だったからだ!
・・・という露骨にラブコメ色を全面に押し出した作品なんですが、うーん、微妙だったぜ・・・。

いや

読めない程つまらないかといわれればそんなことはないんですけどね。
でも夢中になって物語を追いかけるつもりになる程面白いか? と言われればかなり疑問な作品だったりしますね。
なんと言いますか・・・本編第二章の「龍凰院麟音のヒミツ」までを読み終わった段階で、もうラストまでの展開の予想が殆どついてしまうんですよね・・・。多少の予想違いはもちろん起きるでしょうけど・・・。

それでも

キャラクターに魅力があれば楽しめるような気がしますが、こちらも結構微妙です。
主人公はとにかく「変態おっぱい星人」でありまして、

女の子を見る場合において、最も重要な部分に注目した。
——おっぱいだ。

こんな塩梅です。ついでにヒロインの入浴シーンを覗きながらも

「だって俺、貧乳には興味ねぇし。悪かったな、ゆっくり風呂に入ってくれ。肩までちゃんと浸かるんだぞ。耳の後ろも洗えよ」

という塩梅です。
・・・ちょっと個人的にはキャラクターの性格パラメーターが尖りすぎているように思いましたが、まあそういうのが好きなら楽しめるのかなあ・・・?

ヒロインは

傲慢な長刀標準装備の貧乳娘ですが、妙におおらかな所があったり、幼くて可愛いところがあったりします。
上のシーンで主人公に裸を見られたときも、

「乙女のハダカを見ておいて、なんだそのリアクションは! もっと喜ぶなり頬を染めるなりすべきであろう!?」

なんて反応を返しています。
しかし秘密を抱える身でもありまして・・・その秘密を主人公に握られてしまう事によって状況は一転します。どんな秘密かというと——

タイトル——私のカレは無敵超人♡
ペンネーム——龍凰院・C・麟音

まああまり突っ込まない方がよい類の秘密ですね・・・。まあこんなものを書いてしまうくらいですから(一迅社文庫に応募するつもりだったみたいですが・・・一迅社文庫アイリスか?)そっち方面の妄想は激しいです。

「いいか? 恋というのは、どのような傷害をも乗り越える力を持っているのだッ!!」

という感じです。
色々と規制の激しい家で育った関係で逆に妄想だけ炸裂したみたいです。可愛いと思うか・・・? と言われたらまあ可愛いんですが・・・。微妙なんですよ。

何故かというと

メインキャラ全員が言うなれば「原色で彩色されたキャラクターだから」とか言えそうですね。
ライトノベルキャラクター絵の具」とかあったら、それぞれが絵の具のどれかの色に当てはまりそうな感じなんですね。全然混ぜてないチューブから出したそのままの色って感じです。
個性的ではっきりした性格といえばそれなりに褒めている感じですが、底が浅いとも言えそうですね。
まあとにかく、絵の具一つでヒロインを描いて、主人公をありがちな優柔不断タイプではなく変態ノリの少年にした、と言えばすっきりはっきり分かりそうですね。・・・電撃文庫の「れでぃ×ばと!」あたりのキャラクター作りをもうちょっと極端にした感じ・・・? とか思って読み進めました。
・・・が、あとがきまで読んでびっくり! 本当に「れでぃ×ばと!」の作者の上月司と同じ仕事場で本書いてるって書いてあるじゃん!? 上月司氏の影響の有無とか分かりませんけど・・・まあそういう本です。

総合

星2つかなあ・・・?
コテコテのえっちっぽいイベントやこっ恥ずかしいイベント目白押しの話なので「れでぃ×ばと!」がもの凄く好きな人ならこの本も楽しめる可能性がありますが、逆に言えば「れでぃ×ばと!」タイプの話がもの凄く好きではない人にはちょっと辛いんではないでしょうか。かくいう私がそうですし。
派手な顔見せ(カラーイラストを見開きで使ってます!)だけして殆ど活躍しない某セルニアみたいなキャラクターも出てきますので多分2巻を予定しているんだとは思いますが、私はいいや・・・。よっぽどこの後ネットとかでの評判がよければ買うかも知れないけどね・・・。

感想リンク