誰かのリビングデッド(2)
誰かのリビングデッド〈2〉愛情 (C・NOVELSファンタジア)
- 作者: 海原育人,芳住和之
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2008/09/01
- メディア: 新書
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ストーリー
畑から掘り出された元気で不死身なリビングデッドのデルの主人を捜して、プラスとナムは、ほとんど当てずっぽうとも思える計画性がほとんどない旅に出ていた。
とにかく魔法使いに片っ端からあって、デルの主人を捜そうという訳だが・・・旅に出てから半年が経過しても、目に見えた結果は得られていなかった。金も無いので路銀を稼ぐための働き口を探しながらのノロノロした旅。今日も野宿か・・・とベッドを恋しく思うプラス一行だったが、降って湧いたトラブルが一つの偶然の再会を連れてくる。
それはオールトという一人の若者。何を隠そう彼こそ、プラスが以前魔法使いの召使いをやっていたときに兄のように慕っていた若者だった。しかしそのオールト、どうも一筋縄ではいかない人物らしく、しかも街を収める魔法使いの一人が失踪したことによってプラスたちは妙なトラブルに巻き込まれることになり・・・。
魔法使いとリビングデッド、変な組み合わせで語られるファンタジー作品の2巻です。
全体的に見て
1巻よりシリアス度が上がってますね。
いや、相変わらずナムなどはテンションがド高めで元気いっぱいのためパッと見そんな感じがしないのも事実なんですが、今回デルに関するちょっと悲しい過去が明らかになるために、元気な死体がちょっと元気な死体にランクダウンしてしまうので、その関係でですが。
でも話の方は相変わらず面白いですね。読み始めるとついつい続きが気になって、気がついたら読了しているというのは面白と感じる本の特徴の一つですねえ。
ところで
今回初登場となるプラスの兄(?)のオールトですが、極めつけの変態です。
で、どんな変態かというあたりを本文を引用してみたいとか思ったんですが・・・うーん止めておきます。なんというか、もったいないというか、そんな感じなんでして。とにかく彼が他のライトノベルではちょっと見かけない感じの特殊な変態で、それがちょっと怖いというか笑えるというか、簡単には言えない気分にさせてくれますね。
うん、極まった変態って、ちょっと寒気がしますなあ・・・。
あ、
そういえばこの作者、女性みたいですね。
どーりで、というか、やっぱり、というべきか分かりませんが・・・なんとなくそんな感じがしていたのでどうやらその通りらしいことが分かって個人的には嬉しいです。なんというんですかね、この作者の書く女性には男性作家の書く女性特有の「都合の良さ」や「媚びた感じ」や「不自然な色気」がないからなんですよね。
前シリーズの「ドラゴンキラーあります」のリリィも男性の思い通りに動いてくれない女性でしたが、例えば本作のヒロイン(??)のナムなんて、もうある意味ライトノベルにあるまじき少女ですよ。口数はやたらに多い、下品な言葉使い、しょっちゅう無駄に興奮している、喧嘩っ早い・・・とにかく面倒くさい少女ですしねえ。でもそこに妙なリアリティを感じるんですが。
だからといって男性キャラクターが書けないという訳でも無いですから・・・うーん上手い作家というのはこういう人を言うのかも知れません。
総合
星4つ。
上の感想では本編の内容に全くと言っていいほど触れていないことに気がつきましたが、まー別に誰が特に困るという訳でも無し、いいかな〜なんて思ったりしたりして。うんうん、確かに読みながらこんなこと考えた。ちなみに3巻で完結らしいです。
この間コメント欄で指摘されて気がついたんですが、私はこの作者が物語に織り込む主義主張が好きらしいですね。色々とうるさい親父やら面倒な女性やらが出てきますが、彼らが口走る言葉がいちいちイカしてるように感じます。欲望に忠実で、その実誠実という、一風変わった印象を与えてくれる言葉が本編内には散見されます。なんとなくいちいち頷いて読んでしまいました。
そうえば裏表紙の謎の骨ヘルメット生命体がなんと今回2体に増えております。数が増えて可愛らしさがパワーアップしている感じなので、どこかに画像があったらデスクトップの背景とかにしたいですねぇ・・・。変な趣味? そっかなあ・・・この骨ヘルメット可愛くないかなあ・・・。