ゼロの使い魔(2) 風のアルビオン
ゼロの使い魔(2) 風のアルビオン (MF文庫) | |
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最新刊の感想を
まとめた後でなんですが、遡って2巻の感想を。
さて、のっけからぶっ飛ばして感想を書いてしまった感じのある「ゼロの使い魔」ですが、途中で脱落する人も多いと聞きます。ルイズのキャラクターや魅力というのは徐々に発揮される類いのものですし、才人も2巻辺りの段階だとまだまだただの少年の域を出ず、恋の鞘当てという意味で動き回るのはどちらかと言うとキュルケ一人で、微妙に動きがありません。
ところで
2巻ですが、女王のアンリエッタは同盟のためにゲルマニアの皇帝の所に嫁ぐ事が決まったと聞かされます。アンリエッタファンにはまっこと気に入らない展開です。アンリエッタはしかし、この婚姻——政略結婚を受け入れます。全く納得はしてないようですが、それでも受け入れます。しかし、トリステインとゲルマニアとの同盟を妨害しようという動きがアルビオンに出てきます。
アンリエッタが言うには、ある事情からその「同盟を阻止するのに十分な理由」をアルビオンの一勢力であるウェールズ皇太子が持っているというのですが・・・。ルイズは内密にその秘密——アンリエッタがウェールズ皇太子宛にしたためた「手紙」を回収するようにお願いされてしまうのですが。というのが2巻のお話。
正直
この2巻は全体的に微妙です。話の展開が魔法学校から国家レベルの話に拡大するのがその主な理由ですが、どう考えても政治的な話や権力闘争、水面下の駆け引き、謀略、計略、あるいは展開そのもののリアリティ、そういった側面で考えた場合2巻は全くといって良い程読み応えがありません。暗躍するもの達の醜い部分は描かれますがあっさり風味で、うーん、RPGの悪役レベルといった子供向け悪巧みでしょうか。しかも最初の噛ませ犬的描写。
はっきり言って国と国同士の戦いやら政治やら経済やらといった要素を期待して「ゼロの使い魔」シリーズを読むのは間違いです。そうした背景の面白さを期待して読むと「なんだこのダメな本」となると思います。たとえ国と国の戦いが激化したとしても、あくまで「ゼロの使い魔」シリーズはルイズと才人、そしてその身近な人たちの話なのです。RPGの主役達(少人数)が物語の趨勢を握ってしまっているように、その他大勢は残念ながらあまり意味がありません。ですのでその他の部分に過度の期待をする事無く、主役であるルイズや才人の考えや行動に視点を集中して読むのが吉でしょう。
ところで
キャラクターの話ですが、才人は1巻で色々かっこ良い所を見せてくれたりしましたが、色々と勘違いして2巻の頭からルイズの寝込みを襲ったりします。当然受け入れてもらえる訳も無く、結局「犬」呼ばわりされてまさしく人生最下層・・・といった感じになったりする訳ですが。
そして才人の男としてのライバルに、魔法衛士隊のワルドという男が出てきます。まあ、なんというか基本的に良く出来た男です。普通の男なら間違いなく気に入らない良い男でしょうか。
そしてこの男、ルイズの婚約者でもあります。しかもルイズに求婚したりします。当然才人は気分が良くありません。ルイズは微妙にまんざらでもないような感じですし・・・才人にとってはけっこうヤサグレの2巻でしょうか。最後は締めてくれますが。
2巻のルイズはまさしく揺れる乙女心、といった感じでしょうか。まあまんざらでもなく思っているいい男に求婚されたりすれば、どんな少女でもそうなると思いますけど。そういう意味で2巻は二人にとって最初の生々しい試練といって良いと思います。ですので物語全体の爽快感といったものが1巻と比べて減退気味です。厳しいですね。
総合
この本1冊で取り上げれば、星3つ位でしょうか。
まだまだ先があるとはいえ、ルイズや才人がはっちゃけるのには、もうしばらく我慢です・・・といった本ですね。一部とても重要な事が才人とデルフリンガーの身に起きますが。
ちなみに微妙に重要なアイテムが出てきたりしますが、取りあえず心にとどめておきましょう。