とある魔術の禁書目録(7)

とある魔術の禁書目録(インデックス)〈7〉 (電撃文庫)
とある魔術の禁書目録(インデックス)〈7〉 (電撃文庫)鎌池 和馬

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表紙いいですねこれ。ちなみに二人とも新キャラです。小さくて不敵に笑っているのがアニェーゼ=サンクティス、大きくてちょっと色っぽい感じの方がオルソラ=アクィナスです。・・・ってまた表紙画像がねえじゃねえかこの野郎! 倫理規定に引っかかっているとでもいうのか!
ちくしょう、仕方が無い。とりあえず両方ともローマ正教の信徒なのですが、まあ作中では色々立場があるようでごちゃごちゃとしています。

出だしはイギリス清教の最大主教<めちゃくちゃ髪の毛長いぞ>ローラ=スチュアートの登場と共に始まります。何考えているのか分からないアヤシイ奴です。可愛いですけどひょっとしたら悪の大親分の可能性もありますので今後の要注意人物一号です。どの位アヤシイかと言うと、水槽の中でひっくり返っている人と同じ位アヤシイです。

で、場面変わって話が動き出すのはすっとぼけシスター<人の話聞いてない>オルソラ<我らが流血大王>上条当麻が出くわす辺りからです。まあ背後で蠢く不気味な影やら陰謀やら(オルソラは暗号解読のエキスパートで、その能力から追われている立場)があるとはいえ、それにしてもまたかよおい。当麻は本当にいつもいつも血だるまになる運命なんだな。今回も入院するのかしないのか。はっきり言って賭けが成立しない程の入院率なので、まあどうでもいいんですけど。大体なんだ入院率って。

今回は新しい登場人物が結構な感じで目白押しです。オルソラや、ローマ正教所属のシスター<なんでそんなにロリボディなんだ>アニェーゼもそうですが、天草式十字凄教に所属する<髪の毛ボンボン>建宮斎字など、変な奴ばかりです。そもそも天草式十字凄教自体がかなり変な集団なので、物凄く目立ちますが。

この7巻、魔術的な設定話とかになるとまたしてもアレな感じが物凄くしますが、面白いです。全体で1,2を争う展開の良さではないでしょうか。敵役の狂った感じといい、味方の戦いぶりといい、当麻の相変わらずな馬鹿で無鉄砲だけど憎めない血だるま特攻体質が「悪くないね!」という気分になります。ちょっと熱くなります。ああ、毎回毎回血だるまだけどやっぱり主人公なんだなーと見直してみたり。

<喰っちゃ寝>インデックスは今回も端役風味なんですけど、6巻で証明した通りに意外と戦える少女ですので、今回も見所があったりします。ただの妖怪喰っちゃ寝じゃなかったんだな・・・!

ところで、この7巻は今までよりはっきりと教義や思想のぶつかり合いの話になります。今までもそんな感じはありましたが、よりその傾向が強いです。また宗教同士の醜い勢力争いの話でもあります。ぱっと見ただけで3つの宗教組織が登場しますしね。

登場する人たちは一部の例外を除き「人のためによかれと思って」頑張ったりしている訳ですが(6巻でもそうでしたね)、立場が違うと見方が変わる、当然正義だって善だって星の数程あるって事になります。そうなりゃ当然自分の正義をかけての争いになるので、最終的には力ずく、となるとやっぱり毎度の「当麻流血事件」となるわけです。まさしく現代の宗教戦争の縮図とでも言いましょうか。・・・みんな仲良くしてくれ。

まあ、人間は自分にとって都合の良い幻想に流されるのを好む性質があるから宗教なんてものが出来たんでしょうし、さらに魔術なんて都合の良い幻想そのものでしょう。対して当麻の持つのは幻想殺し。この物語で当麻と宗教という幻想が衝突するのは避けられなかったでしょう。あらゆる奇跡を否定する力なんですから。そうなるとそのうち超能力サイドとも全面衝突とか待ってそうです。

ところで、あらゆる人の持つ幻想を破壊した先にあるのは何でしょうか? 作者がそこまで考えているかどうか知りませんが、ちょっと興味のある話ですね。・・・なんてちょっと考えてみる7巻。十分楽しませてくれたので星5つあげます。

(おまけ)
神様を信じることで救われた人間と、害された人間を比較したら天秤はどちらに傾くんでしょうか? ・・・真面目に調べて「害された人間の方が多い!」なんて発表したら首に賞金がかかりそうな現代が怖い・・・!