鋼殻のレギオス

鋼殻のレギオス (富士見ファンタジア文庫)

鋼殻のレギオス (富士見ファンタジア文庫)

いやあ、ファンタッジックですけどストレートな少年少女の成長物語ですね。好感触! ここの所当たりばかり引いている様な気がするなあ・・・ラッキー!
「で、その使っちゃった幸運は本当なら生活のどの辺りで使う予定の幸運だったんだい。金運? ラヴ運?」
・・・それは聞くなあ!

ストーリー

恐らくは遥か未来、人類は汚染された大地の僅かな部分にしがみついて生きる脆弱な存在として「万物の霊長」の座から落とされていた。世界は人の暮らしを否定する程汚れ、その上で「汚染獣」という奇怪な生物が跳梁跋扈する世界と成り果て、人類は自律型移動都市<レギオス>の上の僅かな世界でのみ生存を許されていた。——そんな世界が物語の舞台となります。
レギオスはそれぞれ都市毎に特色を持っており、物語の舞台となるレギオスは『園都市ツェルニ』と呼ばれる都市です。主人公のレイフォンはある理由から生まれ育ったレギオスを離れる事となり、学園都市ツェルニに学生としてやって来たのですが・・・。

剄(けい)と呼ばれる力

この世界には剄という力があって、非常に応用が効き、かつこれを効率よく操って力とし、戦って強いものは尊敬の対象となる様です。下に剄の種類を上げておきます。

  • 外力系衝剄(外に向かって内部の力を飛ばす技:波動拳系とでも言えばいいか?:武器と一体化してしようされる事が多いみたい。)
  • 内力系活剄(自分の肉体に対して使用される力の様で、筋力や持久力のアップに使われるみたい。スト2豪鬼の阿修羅閃空みたいな使われ方。例えが悪い?)
  • 念威(訓練では手に入れる事の出来ない剄。念力、と言い換えて問題ないと思う。)

こんな感じでしょうか。

闘う力とその意味、生きる力と生きる理由

その辺りの「誰でも青春時代に一度は考えそう」な部分を話の根幹に据えていますね。この辺りのアプローチ、実にライトノベル的で好感が持てます。登場するキャラクター達はそれぞれ立場の違いもあり、一癖も二癖もある連中ばかりなのですが、それでも現実でも「いつか何処かで会った事のあるような奴」の大軍です。
それが眩しかったり、不器用に見えたり、微笑ましかったり、まあ読み手によって色々あるとは思いますが。
まあ上で書いた様な難しいSFチックな設定はあるにはあるんですが、つまるところ、主人公のレイフォンを通じて描かれる色々な人々の生き方の物語・・・と言えるでしょうか。レイフォン自体が自分の「生き方模索中」の少年でもあり、時々他の人たちの生き方が眩しく見えたりするのは・・・まあ、一度は誰でも通る道(私は未だに通過中です!)って感じでいい。楽しい。

キャラも魅力的

多少ラノベ的で分かりやすい様になっている所がありますが、そこがまたちょうど良いさじ加減で、ただの記号でなくちゃんと血肉が通っている感じを受ける所に作者の安定した力量を感じました。
ヒロイン級のキャラが多いのも悪くは無いですね。結構な人数が出てきますが、上手く使いこなしたな・・・って感じがします。

総合的に

星4つ。まさに読んでラッキーでした。
もう何冊か続編が既刊の様なので、今からそれを読むのが楽しみですね。
イラストは深遊氏ですね。最近あちこちで見かけた結果「この人、キャラの書き分け得意じゃないよね・・・」なんて思わなくもないですが、絵自体には躍動感とか、雰囲気があって好きですかね。