鋼殻のレギオス(4)コンフィデンシャル・コール

今回は全体的にシリアス中心の展開だったかな。

ストーリー

第17小隊に所属する一人、シャーニッドと、その過去。外部から訪れた「サリンバン教導傭兵団」とレイフォンの過去がそれぞれ交錯して展開する話です。シャーニッドがなぜ17小隊に所属しているのか? ニヤニヤ笑いをいつも浮かべていそうな彼ですが、彼の意外にシリアスな過去が明かされるとともに、レイフォンの技の「ある秘密」がグレンダン(レイフォンの故郷)が誇るサリンバン教導傭兵団の団長・ハイアによって明かされる事になります。
それに対してレイフォンは、ニーナは、フェリは、そして遠くはなれたリーリンに訪れる出来事とは? ますます加速する異世界学園アクション! ・・・って感じかな。

シャーニッドの話

今までは特に目立った行動をしてこなかった彼ですが、過去が追いついて来た事によって表舞台に立たざるを得なくなります。ニヒルな、斜に構えた彼の態度の裏に潜むシリアスな理由や、その誠実、そして今の姿が描かれて行く事になりますが、これがまた、悪く無いんですね。彼は、彼なりに、全力の誠実さを持って出来事にあたっていたけど、それでもままならない事があった・・・という事でしょうか。

ナルキの話

今回、彼女は捜査の必要性にかられて17小隊に参加する事になるのですが、そこで目の当たりにするレイフォンの実力に、自分の考えが甘いのか、あるいは弱いのか、といったアイデンティティーの揺らぎに直面する事になります。2巻の時のニーナみたいな感じですね。ナルキはニーナとは違うのでもちろん全く違う形で出来事を受け止めて行く事になるんですが、彼女の成長物語でもありますね。

リーリンの話

レイフォンから遠くはなれたグレンダンにいる彼女ですが、彼女にもある出来事と「選択」の道が示されます。悩ましい所ですね・・・。しかし、色々と面白い事になって来たのは事実ですね。彼女が今後どういった選択をするのか、目が離せません。

そしてレイフォンの話

やっぱりどこまでも付いて回る天剣授受者という名前と、その犯した罪。それを今回はサリンバン教導傭兵団のハイアが連れて来てしまいます。この話はやっぱりどこまで行っても「レイフォンがその過去と向き合って行く話」なんですよね。

総合ですけど

色々と平行していろんなキャラの話が書かれる話なんですが、混乱する事も無く、織り交ぜるエピソードも一つ一つ上手くまとまっていて、安定した面白さです。星4つ。
今回は例の泥沼恋愛模様はあまり動きが無いんですが、やはり注目株はフェリです。
・・・いや〜美味しい所をきっちりと持って行く娘ですねえ。油断すると勝手に家に入って来て朝ご飯とか作られてしまう可能性とかだってあるぞこれ。で、さらに油断すると婚姻届に印鑑押させられている可能性だってあるぞこれ。・・・キタコレ! 作者もここまで可愛くなってしまうとは思っていなかったのでは!?
深遊氏のイラストはやっぱり「奥行きのある構図」とか「いかにもラノベ的なアングル」とかが好きですね。切り取るシーンの良さも相変わらず。カラーイラストの印象も良いですね。やっぱ好きだな。