銀月のソルトレージュ(2)

銀月のソルトレージュ 2 (2) (富士見ファンタジア文庫 147-3)
銀月のソルトレージュ 2 (2) (富士見ファンタジア文庫 147-3)枯野 瑛

富士見書房 2007-03
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いやー今日は面白い本を2冊も読めて幸せな一日だったな〜。

ストーリー

主人公のリュカ・エルモントは目の細い青年で、学術院都市国家フェルツヴェンに通う学生。1巻でジネットの連れてきたトラブルに巻き込まれてから一週間が経過していた。都市内でも大量の被害者を出したものの特に変化の無い様子にリュカは、学園都市が過去から続く魔法使い達の存在や戦いについて知っている事を確信しつつありましたが、特に何が出来る訳でもなく、今までと変わらない生活を送ってたのですが・・・その日常はやはりジネットの登場で破られる事になります。
最強の魔法と言われた<ひとつめの嘘(ソルトレージュ)>にまつわる秘密の明かされる第2巻。

リュカなんですけどね

そう言えばラノベでは珍しい眼鏡主人公ですね。彼の性格とか行動原理をこんな風にアリスが表現します。

「ええもう、速攻で餌付けしてめろめろにしてやりたいくらいに珍獣です。
とにかくですね、その人は、誰かの涙を見たらその瞬間にはもううごいちゃってるんです。状況判断とかそういうの、かんっぺきに無視しちゃってるんです。最低限の生存本能とかそういうものをもうちょっと大事にしたほうがいいっていいたくなるくらいに反射的で何も考えてないんです」

んー? なにかデジャブがあるなあ・・・。

アリスは相変わらず可愛いなあ

同時にコワい少女でもあるんですけどね。なんというか、行動も可愛らしいんですけど、もの凄く女性的な感じがとっても好印象です。

「……寝てたんだよな、俺」
「はい、それはもう危険なくらいにぐっすりと」

「……お前、寝てる俺に何かしたか?」
「いいえ、何にも」
視線をそらして、妙に高い声で、アリスは答えてきた。

狙われてる・・・狙われてるよリュカ!でも、どっかで見た事のある感じだな・・・という訳でどう考えてもこの二人の関係は某stay nightの「正義の味方」と「蟲が得意で黒い人」の関係に似ております。
まああの二人よりリュカは陽気で余裕もありますし、アリスはあんまり黒くなさそうな感じですかね。でもあのゲームの日常が好きな人なら、この二人の距離感とか雰囲気とかきっと気に入るんではないでしょうか。・・・え、ワタシはあの黒い人が大好きですんで、もちろんアリスも大好きです。アリスは実に良く書かれたキャラクターですね。可愛い。

で、ジネットですけどね

これはもうポジション的にはそのまま「剣の英霊」みたいな感じです。最初からではなくて、徐々に、じょ〜じょにっ、て感じですけどね。それなりにシリアスながら、真面目過ぎて状況に追いつけないような感じとか。まあ、そんなイメージですけどね。リュカとの関係性も近いですかね。
上でもなんか別のものを引き合いに出してしまってますけど、じゃあ「この作品の登場人物にオリジナリティーが無いのか?」とかと聞かれたら「そんなことはありません」と答えますね。それぞれ細かい描写に気の効いている発言とか行動とかが多くて、キャラクターが完全にオリジナルのモノとして独立して歩き出していると感じますし、見所が満載な本だと思いますね。

なんでしょうね〜

キャラクタはメインのキャラを除いても、魅力的なキャラが多いです。特に新キャラのライアアルベールは良いですね。ちょっと間の抜けたやり取りなんかもしてくれるこの二人の新キャラですが、意外な秘密を握っていたりしてそこら辺も話に厚みを持たせてくれます。
それと、なかなか名言が多い作品でもありますね。少なくとも2〜3はピックアップ出来そうです。うーん、読んでいて時々「うまいな〜」と思う所が結構ありましたね。

結果

星4つです。
もうちょっとで星5つにしちゃっても良いかなって気分ですね。とっても雰囲気の良い話ではないでしょうか。読み辛くも無く、言葉も丁寧です。ちょっとこの話独自の設定語が出てきますが、その辺りを面倒だと思わなければ実に読みやすい話だと思います。
得能正太郎氏のイラストも相変わらずお気に入りですね。特に見開きの口絵カラーイラストが個人的にお気に入りです。