刀語 第六話 双刀・鎚

刀語 第六話 双刀・鎚(ソウトウ・カナヅチ) (講談社BOX)

刀語 第六話 双刀・鎚(ソウトウ・カナヅチ) (講談社BOX)

ストーリー

刀などとは思えないような5本目の刀・鎧を入手した奇策師・とがめと、鑢七花(やすりしちか)の二人は、何故か雪山で遭難しかかっていた。
まあなんというか刀集めの旅には違いないのであったが、とにかく蝦夷で猛烈な吹雪に出くわしていた。仕方がないと言えば仕方がないのだが、この吹雪ばかりの山に双刀・鎚があるというのだ。しかし「ある」という情報はあるものの、それ以上の情報は全くないと言えるような状態だったので、とにかく出向いた二人だったが、そこで待ち受けていたのは二人の予想を超えた事態だった。
凍空こなゆきと名乗る少女との出会いがそのまま刀集めに繋がる第6巻、七花の初めての負傷は一体どのような形でもたらされるのか!?

いきなり遭難しかかってます

とにかくというか、なんというか奇策士・とがめは本当にどうしようもなくバカだと思います。ついでに言えばそのバカに所有されている鑢七花はさらに輪をかけたバカだと思います
今回は一歩間違えれば読者も予想しない辺りでこの刀語という話自体のENDマークが出そうになってんじゃねーか!

「来るんじゃなかったーつっっ!」

・・・毎年毎年、雪山で人が遭難する理由が良く分かる話ですね。走馬灯に火を付けてる場合じゃない。

「わたしが死んだら、そなたひとりで『ちぇりお』を気合いを入れるための掛け声として、日本中にはやらせてくれ……」

そんな遺言でいいのか!?

おバカな展開ですけど・・・

今回も相変わらずのとがめと七花という事と、あっちこっちに話が飛んでるので今イチ緊張感に欠けるのは事実ですが、ゆっくりと確実に何らかの伏線が張られていっているのは間違いない展開ですね。次の刀の事とか、まにわにの事とか、尾張の人とか、十二本目の刀が実はアレだとか
まあそういうことを差し置いてもなんだかここまである意味「とっても普通!」に来ているので、逆に不気味です。心底不気味ですね
特に今回は敵が敵という事もありますが・・・あの西尾維新がこのまま話を「いかにも普通」な調子で書き続けるだろうか? という疑惑がどうしても拭いきれません。
特にこの5、6巻が比較的大人しい展開だったので余計です。4巻でやらかしてくれた実績もありますし、正直不気味です。過去作で必要とあればアレな少女とかアレな少年とかを容赦なくミンチにしてきた作家ですからね。油断出来ません。

今回は

まにわにが頑張ってくれたお陰で一定の緊張感がありましたが、いなければどうなっていた事やら・・・という作りなので、次の7巻が逆にコワいです。
敵がはっきりしている事もそうですが、6巻まで来た事で完全にこの話の折り返し点に着いてしまったって事ですしね。

総合

5、6巻は似たような展開だったからか、この本一冊の満足感としては今イチ。
予想を大きく超えるような事も無く、表面的にはラブコメみたいな展開でしたが・・・しかし、しかしですね、今後の事を考えると逆に怖い気持になった6巻でした。
評価を下げたのに、次の話への期待感が逆に強まっているという奇妙な気持ちになっています。巻末の予告の件もありますし・・・どうなるかが心配です。