渚フォルテッシモ

渚フォルテッシモ (MF文庫 J き 2-1)
渚フォルテッシモ (MF文庫 J き 2-1)城崎 火也

メディアファクトリー 2007-06
売り上げランキング : 61111

おすすめ平均 star
star感情移入できません
star性格がフォルティッシモ
star二巻の新キャラに期待が高まる。

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ストーリー

山ノ上大地(やまのうえだいち)は学校で「変人」で通っている高校生。
彼は今日も今日とて彼を変人足らしめている趣味・UMA探しに余念がなく、深夜の学校に何か出ているという噂を聞きつけて、一人怪しげな生き物を探していたのだが・・・そこで出くわしたものは、全裸の少女だった! しかも彼女は学校で見かけた事がある完璧お嬢様で美少女で校内有名人な麻生渚(あそうなぎさ)だった。
図らずも渚の秘密を握ってしまった大地は微妙にビビりながら翌日学校に行ったのだったが、そこでさらに彼女の裏の顔を知ってしまう。完璧お嬢様とは表の顔、渚の真の姿とは・・・横暴高飛車美少女だった! そしてさらに本当にUMAが姿をはじめて、学校が不穏な事に・・・。
UMAが出たり、渚の二面性が可愛かったりと色々面白い新作ですな。

キャラクター:ありがちだけど魅力的

麻生渚(あそうなぎさ)

「タカピーお嬢様系」のキャラクターなんですが、ある意味こういうキャラがメインヒロインをやっているというのは最近では珍しいかも。
作品に登場している事はしているんだけど、メインヒロインとなると・・・例えば最近では「れでぃ×ばと!」セルニア=伊織=フレイムハート(ドリル)とかはこのタイプですな。かなり美味しいキャラなんですが、メインヒロインなのか? と言われると今の所メインの座を巡って闘争中という感じでしょうか。
そういう現状から考えると、タカピーで裏表があるお嬢様系を堂々とメインに配置するのは結構冒険かも・・・なんて思ったんだけど、これが・・・なかなか・・・いいんではない? という描写ですね。
可愛いく控えめ、成績優秀、運動活発そして礼儀ただしそうにも見えるけど、実は激しく自己顕示欲が強く、高慢ちき、暴力的でかつ豪腕というアレです。

  • 渚(お嬢様中)

「朱里さんはキュートだから、コンサートが華やかになるわね」

  • 渚(真の姿覚醒中)

「眼鏡を取ったら美少女だ〜!? 何十年前のネタだ! カンブリア紀か! ジュラ紀か! ベタ! ベタすぎるんじゃあああー!!」

・・・ちなみに両方とも同じ人物についての話です。
そんな恐ろしげな所がありつつも、大地に妙な態度を取ってしまう辺り、とても可愛いですね。

「毎日、毎日、ストレスだらけだな。今度はなんだ?」
渚に思いきり睨まれ、大地は後ずさりそうになった。
「あんたよ、あんた——!」

ストレスの正体、それはままならぬ恋

篠崎朱里(しのざきあかり)

上に名前だけ出てきたこの少女もいわゆる大人しいタイプの少女ですが、ステレオタイプながらも魅力的に書かれていますね。ちなみに小型で眼鏡してますな。うーん、ナイスミニマム。

「私って霊感とか全然ないけど、そういうのがいるかもしれないって思う」

こういう風に自分の好きな事を認めてくれる女の子って・・・良いですよね。
あまり特徴的なセリフとかは無いんですけど、それでも優しくて大人しいという感じがにじみで出ます。

話の展開:人魚は良かった

妖怪というかなんというか、名前は出てきますけど中々メインを張ることは少ないですよね。しかしそれを中心に持ってきて、セイレーンの話を絡めてみたり、本当の恋をすることで力が出せるようになるとか、中々よかったですね。
確かにそんなにもの凄く新しい話の作りではないんですけど、それでも展開に無理があまりないと思いました。ああ、奇を衒った事をしなくてもラノベは面白くなるんだなと。

総合

星4つ。ストレートで難しい所がないけど楽しいラノベですね。
UMAというか、姿を現す怪異も楽しければ、渚の二面性やツンデレ性、朱里の大人しい所やその実意外にはっきりしている所なども良く、そしてやっぱり恋の行方も面白いですね。
なぜか三角関係になっている「麻生渚ー山ノ上大地ー篠崎朱里」の三人が見ていて微笑ましいです。最後の勝利者が誰だが分かりませんが、続きが出るとしたら楽しみに待たせてもらいたいです。
イラストは桐野霞氏ですが、良いですね。マンガ的な表現が結構目立ちますが、作風とバッチリ合っているのではないでしょうか。手抜き感もないですね。お気に入りはp103の般若面の渚に、p121のラーメン屋の一枚でしょうか。

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