殺×愛3—きるらぶ THREE—

殺×愛3 ―きるらぶ THREE― (富士見ファンタジア文庫)
殺×愛3 ―きるらぶ THREE― (富士見ファンタジア文庫)風見 周

富士見書房 2006-05-20
売り上げランキング : 194099

おすすめ平均 star
star色々と進展が…!

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ストーリー

椎堂密の前に現れた謎の存在・アダム。彼が密に対してある要求をしてくる。
「『今日の午後10時から夜明けまでの時間、街を守れるか』というゲームをしましょう。あなたの持ち駒はあの対天使兵器、私は天使をくりだします。ゲームから降りる場合はサクヤを殺しなさい」
椎堂密はゲームに乗る。もちろんサクヤと一緒に。町中に出現する天使と戦いながら目的のために走る密とサクヤ・・・彼らは街を守りきる事が出来るのか。そしてアダムの目的とは?
密のいう「あの人」の正体も明らかになりそうな第3巻(4巻?)です。

話毎、章毎に

快/不快の振幅が大きすぎて読んでいて疲れる・・・というのが正直な所。
話そのものの展開は安定して一定以上の水準を保っているので読むのには困らないし、テンポもよいのだけど、とにかく主人公の独り語りが心地よかったり、不愉快だったり・・・。
シリアスに、真っ正面に生きている時は全くイヤな感じがしないのだけど、一度”分からないフリ”モードに入ると不快感が凄いです。

くそっ……。どうして、サクヤの言葉が嬉しいんだ? なんで僕は、彼女の行動に、こんなに喜びを感じてるんだよ?

どうして裏切ったような気分なんだ……?
どうして罪悪感を感じてるんだ……?
どうして、胸が痛いんだよ……?

えーっと、読者に聞くな。いえ、そういう作風だってだけですけどつい突っ込んでしまいました。
彼の微妙な心境(?)が語られる部分なんだけど、ちょっとあまりにも露骨すぎて露悪趣味みたいに感じるな。逆に本心が隠しても出てしまっているようなシーンの、

「ごめんね。もう時間切れだ」

これはよかったな。
たった一言ですが、前後の文面含めて読んで行くと彼の内心が行間から伝わってくるようです。

それとは別に

サクヤを含めた少女達は自分語りが無い分、分かりやすそうでいて分かり難い所があるようで、際どい所のバランスで謎があって、安心して読んでいられるという感じです。
サクヤは相変わらず幼いという感じがありますが、それでも相手(密)を思いやるように成長している感じがありますし、いいですね。
今回はアクション中心の展開だったので来夏や微などの活躍シーンはほとんど無かったんですが、ちょっとの登場シーンでも十分インパクトがありますね(とくに妹の微とにゃみちゃん)。

総合

星3つ。
なんとなくやっと進展したような、しないような密とサクヤの関係ですが・・・次はどうなるんでしょうね。
というか、少女マンガ的な展開にいい加減イライラしてきましたよ、残念ながら。バカな少年は許せるけど、利口なフリする少年は嫌いだな。嘘つき少年は許せるけど、素直じゃない少年は嫌いだな。
独り語りの作風のせいで、変に悟った事を口にしている時はひたすら密くんのオナニーを見せられている気分になってしまったよ・・・それ以外(密くんが必死だったりみっともなかったりする所)は感情移入がしやすくて、楽しく読めるのだけどな・・・。これは、俺がモテない男だからかもしれんけどな!

余談

よく考えてみると、この作品ってもの凄く可愛い少女が沢山出てくるんですけど、主人公がアレなので少女の可愛らしさを楽しめてません。うーん、残念。