みずたまぱにっく。(2)

あーやっぱりTSものには耐性がないなあ・・・としみじみ感じた一冊。
私は、

「男とは?」

と訊かれたら、

「汚染獣」

と即答するような人間だからしてハイ。

ストーリー

水田マシロ(みずたましろ)は超おハイソ学校に特待生として通う中学2年生。超庶民でジャージに頭にタオルというルックスが特徴である。
バイトは学校で禁止されているのですが、家系を助けるために学校と交渉。バイトを開始したのですが、そのバイトの内容は学生寮・涼橋寮でのお手伝いさんだった。
とにかく真面目かつ真剣なマシロはお手伝いさんとして働き始めるのであったが、寮の住人が問題であった。そこには4人の人物が暮らしていたのだったが、その娘達は実は・・・というお話。

時々・・・

ページあたりの文字数がやたら少ないので、一文字あたりの単価が気になってしまった本でした(けちくせー!)。
後なんだろう・・・TSものに耐性がないというのは上に書いた通りだけど、キャラクター表現にも今イチ馴染めない。マシロの独り語りですら時々なじめない。

うずうず。
うずうず。
うずうず。
水田マシロ。十三歳。中二。好奇心旺盛。うずうずティーンネイジャー。
「……んー……」
少しなら。
ちょびっとならよくね?

・・・うーん、微妙・・・。「よくね?」って某掲示板の書き込みじゃないんだから。
とはいいつつもこう言う言い回しを積極的に取り入れたり出来るのがこの作家の人気の秘密なのかも。読みやすい事は読みやすい。

ついでに言えば

メインキャラで目立ちまくっている跡見忍(あとみしのぶ)のキャラクターがかなりのNGかなあ。
もう変態と言うか、言い回しの訳が分からない所にユーモアを感じられないというか、はた迷惑というか、隣の核地雷というか、次の行動が予測出来ない所とか、周囲をひたすら巻き込む系のキャラクターという辺りが受け付けないなあ。
跡見忍というキャラクターの持っている側面――一気に距離を縮めて懐に入り込んでしまう感じ――がとってもイヤな感じがする私はハリネズミ。ついでに言えば喋り方もイヤ。
今回もう一人メインを張っている鳴海千尋(なるみちひろ)についてはそうでもなかった。落ち着いているからという事もあるけど、人との距離感が理解出来るというか・・・。

でもまあ

やっぱり一番分からないのは寮暮らしの4人がなんで姿形がアレしているのかという事と、なんでお互いの距離感が異常に近くてナニの匂いすらするんだという事かなあ・・・。会議と称する風呂場会なんてもう完全に鳥肌もんの奇怪さ。なんだこれ。
やっぱりその根っこの部分・・・つまりトランスセクシャルな部分が乗り越えられないのでどうしても読んでいて気持ち悪いタイミングがあるな。

そうはいいつつも

お嬢様(?)過ぎて食べた事のなかったスパゲッティナポリタンを千尋や忍が初めて口にした時の反応は「良かった」と感じてしまったことも確か。
見た目で「ウマいはずが無い」と思いつつも口に運んでみたら・・・というくだり。

スパゲッティナポリタン。
それは銀河なのでした。
そう。
未知の味覚との遭遇に、今、千尋の背後には銀河が広がっていた。


――こ、こんな奇々怪々な姿をしているのに、なんたる美味!!


銀河でドラゴンがゴーゴー火を噴いています。

結局、スパゲッティナポリタンは、あまりのできのよさに、
「今日からこれを『スパゲッティましろたん』と呼ぶことにしますっ!」
と忍によって、あらたな称号を得た。

いや・・・いいんだけどさ・・・この文字数・・・この表現で・・・飯が食えるってすごいというか、なんだか長谷敏司とか桜庭一樹とかと違う意味で才能があるのか、なんだか・・・妙な嫉妬心が・・・。なんなんでしょうねこの作者。

総合

星2つなのかなあ・・・。
出来はともかく色々な意味で相性が悪すぎる感じ。リズム感といい表現といい一定の手法を確立しているという感じはしみじみするのだけど、それがもうどうしようもなく合わない。「しにがみのバラッド。」の時にもそれは感じたので1巻で絶賛脱落している訳ですが、コメディ路線ならいけるかと思ったらやっぱりこの2巻で脱落しそうです。
七草氏の書くイラストは可愛らしくて好きなんですけどね。カラーイラストに限りますけど・・・。