刀語 第九話 王刀・鋸

刀語〈第9話〉王刀・鋸 (講談社BOX)
刀語〈第9話〉王刀・鋸 (講談社BOX)西尾 維新

講談社 2007-09
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おすすめ平均 star
starどんどんあっさりしていくようです
starうーんうーん
star舞台の割には…?

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ストーリー

奇策師・とがめと、鑢七花(やすりしちか)は不要湖での微刀の回収を完了した。
そして次の四季崎記紀の変体刀の所在の手がかりを探してそのまま不要湖での捜索を行ったのだが、手がかりは一切無し。結局彼らは事前に真庭鳳凰から知らされていた情報の通りに出羽へと向かう。とがめにちょっとした心当たりがあるというのでそこへ向かったのだが、なんと大当たり。
出向いた先は心王一鞘流の道場。そこで二人は王刀・鋸を発見する・・・現在の所有者である・汽口慚愧(きぐちざんぎ)と共に。
な〜んか今まで活躍らしい活躍をしてこなかった(?)とがめがなんの間違いが大活躍するお話です。

今回は

敵の汽口慚愧が真人間・・・というか、非常に誇り高いと言うか、刀語の時代背景にあるまじきスポーツ精神を持っていた人物だというのが面白かったですね。これにはハッキリと意表を突かれました。
なにしろ七花が無手で戦おうとしたら、

「わたしに、防具もつけず、刀も持たぬ者を相手に剣を振るえという言うのですか——それこそ心王一鞘流を侮辱している!」

なんというかこう・・・戦国の世なら真っ先に後ろからバッサリと行かれそうなキャラクターなんですが、何となくルックスが大正時代の美人って感じなので許す。いや〜こういうのに脆いな〜俺。
で、結局七花が何故か心王一鞘流で稽古をつけてもらう展開に。なにこの超展開。流石に予測不可だったわこれは。

で、

とがめが大活躍だった、と書きましたが、今回は七花ははっきり言って役立たず状態で、

「いやー、とがめ。今日はいい話を聞いてきたぞ。それにまあ、得手不得手にかかわらず、身体を動かすのは気持ちいいもんだ。おれはなんだかあの道場に通うのが楽しくなってきたよ」

ものの見事に刃を潰されてます。なんというか・・・まあこれはこれで人間味があっていいですが。しかしまあ、それに対してのとがめの反応がまた可笑しいですね。

「じょ、情が移っただと……そなた、またも心変わりをしたと言うのか! ど、道場でふたりきりで何をしておったのだ!? わたしはそなたを信頼して、そなたをあの道場に通わせていたというのに! ええい、もうそなたの浮気性には付き合いきれぬわ!」
「……付き合いきれないのはあんたの嫉妬性だ」

なんというか、そういう常識面で七花に突っ込まれるというのって、なんか色々人として終っている気がしますね。というか「またも」ってなんだ。以前の誤解は誤解のままなんだ?
そしてさらに・・・、

「とがめ、ちょっとやばいかもしれないぞ」
「やばい? いやまあ確かに、よその流派の門下生になれというわたしの命令は理不尽だったと思うし、それで愛想をつかされても仕方のないのかもしれないけれど、わたしにはわたしなりの考え方があってだな、それを聞いてくれてもいいではないか」
「いや、その件についての話はもう終ってる」
「終ってるとはなんだ! まだ話し合いの余地は残っておるだろうが! ふたりで築いてきた関係をひとりで一方的に終らそうとはどういうつもりだ!」

もう完全に男に言いすがる未練タラタラの女性状態じゃないですか。うっわー、なんでそっち方面はそんなにイキナリ下手に出ちゃうかな〜。本物の馬鹿なんだけど・・・それが可愛いんだな。

とかなんとか

やりつつも、本番の汽口慚愧との戦いではとがめの奇策が大炸裂! いやーここまで綺麗に決めた奇策も今までに無いんじゃないですかね。とがめに1本! って感じです。七花の記憶を奪う必殺技とかも繰り出すし・・・一体君らはどういう関係なんだね? ン?

総合

と言う訳で星4つ・・・かな?
とがめの活躍が実に良かったし、おまけに可愛かったのでもうそれでいいや。
もちろん他にも例の否定姫の暗躍とか、真庭忍軍の動向とかある訳ですけど、今回はそっちは本筋ではないのでまあ各自読んで確認しような! って所です。・・・しかし、例のアレにはどうやって対抗するのかなあ・・・?
ところで、いつの間にか表紙のとがめがなんだかミニスカート以上に際どい服装になっちゃってるんですけど、良いのか? いや、良いからいいか? うん、いいか・・・いいな・・・。

感想リンク

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