ミステリクロノ

ミステリクロノ (電撃文庫)

ミステリクロノ (電撃文庫)

ストーリー

遥海慧(はるみけい)は、何の変哲も無い・・・一応そのように見える学生。特徴といえば柔らかい髪質のために寝癖が良く付くくらいのとりたてて特別な所はない少年。強いて言えば、同年代の学生よりも冷静だろうという位だろうか。
そんな彼の家は小さな神社の管理人をしており、彼は祖父との二人暮らしであったのだが、偶然と言うか、ストーリー的に起こるべきにして起こったというか・・・彼の家の管理する神社の拝殿で、震える一人の少女を発見したのだった。
彼女は自らを「天使である」といい、そして名を「阿部真里(あべまりあ)」と名乗った。彼女は不思議な衣装を見に纏い、そして不思議な注射器を持っていた。その注射器には——普通の人間が持ち得ない機能——時間を巻き戻す機能があったのだった。
トリックスターズシリーズの作者による新シリーズです。

うーん

私はどうもミステリと相性が悪くてですね。苦手なんですよ、ミステリ。実はトリックスターズシリーズとかも読んでるんですけどね。
なんというか謎解き全般が苦手と言っていいかも知れません。普通の殺人事件ものとかだといきなりラストのページをめくって「あ、コイツが犯人か」とかやりたくなってしまうんですね。
つーか読書しながら合理的な解答を求めるとかもうなんか超人技のような感じすらします。というか合理的な思考そのものが苦手なので、小学校の算数の成績は大抵2でした。だから苦手なものは数学ではなくて算数です。でももう30歳過ぎました。人間なんとかなるもんですね。

閑話休題

まあ私の脳の問題についてはいいとして、ミステリクロノですが、局地的なタイムリープを物語内に仕ルールとして仕込んだミステリと言えるのじゃないかなとか思います。まあミステリの定義に付いては別の人がきっとやってくれると思いますので良いとして、やっぱりミステリと付くからにはそのタイムリープにはルールがあります。

  1. 謎の注射器の名前はクロノグラフと呼ばれるアイテムの中の一つで、リザレクターと呼ばれるものである。
  2. リザレクターの作り出す効果はリ・トリガーと呼ばれる別のアイテムによって消す事が出来る。
  3. リザレクターは「時間回帰」の機能を持っており、注射された場合最大30日間対象の時間を巻き戻す事が出来る。
  4. リザレクターを特定の対象に一度使うと、次に使うには戻った時間の分だけ時間が経過しないと使用出来ない。

などなどです。まあ具体的には本編を確認してもらうとしてですね、こんなルールがあります。

キャラクターですが

ヒロインの阿部真里亜ですが、身体は大人、心は子供という某バーロー少年の真逆を突っ走る少女でありまして、特定の趣味を持った人には堪らないキャラクターである可能性があります。子供過ぎて日本語自体もかなり怪しいレベルでしか喋れません。

「あたしは、人間、なんか、いやだ、人間の、こと、なんか、わからない。わかりたく、ない。っく、あたし、は、天使が、いい。天使は、死なない。天使は、永遠だ」

とかなんとか言いつつビービー泣いたり、トイレの存在を知らなかったり、スッポンポンで風呂から飛び出したりと・・・いやあ、保護した少年がマトモな倫理観の持ち主で良かったね〜と言いたくなる様な無知かつ無垢さです。
子供故に一度懐くと後が大変でして・・・。

「遥海くんはこれからもあなたと一緒よ」
「い、いっしょ?」
「そう、だから寂しくない」
「ひぐ……、さび、しい?」泣きじゃくりながら真里亜は言う。「さび、しい、なのか? この、むね、が、きゅう、きゅう、ってするの、さび、しい、なのか?」

保護欲がそそられますね!

主人公ほか

うーん、主人公の周りを固めるキャラクターはそれ程悪くは無いんですが、主人公がちょっと人間味に欠ける所があるように感じましたね。
冷静すぎると言うか・・・。彼はこの物語において探偵役も務める事になるので冷静さや知性というものが欠けては困るのは分かるんですが、やっぱり冷静沈着すぎるように感じてしまいました。
目の前の出来事に対しておどおどしたり、慌てたりしないという・・・私なら大興奮の挙げ句の果てに喜びの失禁とかするかも知れないというような状況をさらりと描写されて流されてしまったりすると「アレー?」とか思います。・・・いや単に私が変態だからとかかも知れませんけど!

総合

うーん、星3つ?
ミステリ好きな人の評価を知りたい所なので、これから感想サイトを巡ってその辺りを見てみたいと思いますが・・・うーん、どう評価されてるんでしょうね。上でちっとも触れていませんが、物語内で起きる事件についてはまあこんな感じか・・・位の印象でした。
面白いつまらないはともかくとして、私みたいな人は絶対知的ゲームとかに参加してはイケナイ、と感じた一冊です。という訳でこの作品の本当の魅力を知りたい人は他の感想サイトを巡ってみるのがきっと吉です。私馬鹿ですいません。あめ玉は途中でガマン出来ずに噛んでしまう人です。
イラストは甘塩コメコ氏ですね。カラーイラストの出来、本編イラストの出来、ともに良いと思いました。特に本編の白黒イラスト1枚目は・・・うーん、頭から食べても良いですか? という感じの可愛い仕上がりになっています。

感想リンク

booklines.net  まいじゃー推進委員会!  灰色未成年  鍵の壊れた部屋で見る夢  Shamrock’s Cafe  秋山真琴の積読崩し  MOMENTS  積読を重ねる日々
・・・という訳で巡ってみました。
ミステリ者のsindenさんや、kirisakinekoさんの評価が高い所を見ると、ミステリ好きには堪らない作品となっていそうですね。
本件と全然関係ないですが「MOMENTS」さんは覗くたびにサイトデザインが変わっていて驚きです。イカす。