ラッキーチャンス!(2)
- 作者: 有沢まみず,QP:flapper
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2008/02/10
- メディア: 文庫
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ストーリー
外神雅人(とがみまさと)君は”ごえん使い”という霊能力を持つ前途有望ではない若者である。
なぜ前途有望ではないのかというと・・・実は彼は能力ではなく猛烈に「運」がないのだ! その運の無さは日本で一番だという。そんなこんなで赤貧に喘ぎつつ、今日もガチホモっぽい校長の許しを得て、学校内にテントを張って生きていた。
しかし彼のテントには実はつい先頃一人の同居人が出来たのだ。名をキチという。キチは元疫病神であったのだがこの度めでたく福の神に転職する事になり、日本一不運な少年の雅人を幸福にするべくやって来たのだ。
キチは、
- 福の神なのに余り力がないが、その頑張りは本物。
- 外見が可愛い幼女な挙げ句人としての常識が無い。
- でも雅人の事を「だいすき!」なものだから色々とスゴい。
というような訳であっちでこっちで雅人に幸福を呼び寄せるべく努力を繰り広げ、そしてなんとなく女の子としても目覚めて来てしまったらしく・・・というドタバタラブコメの2巻です。
はい、次の人どうぞ・・・。
「はい、じゃ、そこに座って。うん、簡単な質問に幾つか答えてもらうだけだから。
じゃあ一つめ。君はロリコン? ……ん、そうか、まあ最近じゃあ珍しい事じゃないからそんなに心配しなくていいよ。
で、二つめの質問だけど。えーっと、妹属性……って言えばいいのかな?
ん? わかる? 分かるの? 妹属性で? あ、分かる?
で、ああ……そっか、君は持ってるんだその属性を……そうか。なるほどねえ……」
この小話を読んで、
俺か? とか思った奴は明日この本を買いにいけ。
どっちか片一方当てはまる奴も買って損なし。
じゃないと一日当たり5ドルくらい損をすると思う。
とにかくですね
幼女福の神のキチが腹筋が切れる程可愛いんですよ。
「マサトがひもじさで倒れるならわたしも倒れる!」
それから雅人に飛びつくように抱きついて、
「マサト、お腹すいて可哀想! わたしがいるぞ! キチも一緒にいるぞ!」
ぎゅうっと彼を抱きしめ、お腹の辺りに顔を埋める。
健気だし。しかも・・・。
「マサト、もっとこ〜、ぎゅっと!」
手をぱたぱたさせてそう要求するキチ。雅人は恐る恐る、
「こ、こう?」
「もっと優しく! もっと感情を込めて! くにゃっと輪っかのように抱っこ!」
無自覚に小悪魔な感じというか。
でもその「だいすき!」なマサトがクラスメイトの女の子と仲良くしてるのを見ると・・・福の神なのに・・・幸せを運びに来たのに・・・。
キチは大きく息を呑むように、痛みに耐えるように、首を振る。
胸が。
こんなにも苦しくなってくる……。
なぜだろう。
こんなにも。
いや〜良いですよ。イイデスヨ? とにかく可愛らしいです。
外神雅人
”ごえん”使い(”ごえん”使いとは、触媒に五円玉を使う法術みたいなもの)として優秀なだけではなく、非常に素直で好感の持てるタイプの主人公ですね。飾らないし、ルックスも悪くないし、能力もあるけどひけらかさない。いやあ、捻くれた若者も良いけどストレートな若者も良いもんですな〜。
「いや、幸せだな、と思って」
「え?」
「あ、うん。二ノ宮さんと一緒に遊べて」
二ノ宮さんというのは二ノ宮良子といって雅人のクラスメイトであり、胸の大きな可愛い女の子であり、雅人が懸想する相手でもあります。
ただ、雅人は自分を良く見せようという思いが無い分どこまでも直球です。しかし・・・好きな女の子とのデートの時に素直に相手に対する好意を全開に出来るというのは素晴らしい資質ですなあ! あの時・・・! あの時俺にもこんな素直さがあれば・・・!!
しかもコイツ*1は締めるべきところは締める少年なのだな!
「うん、僕は男の子だからね。ちょっと時には」
一拍間を空けて、
「女の子の想いに応えなきゃいけない。そう思うんだ」
ぐううううぅぅぅぅ・・・悔しいが良い若者だ・・・。
今回は
雅人君と二ノ宮良子のデートイベントがありまして、それを知ったキチが「もにょっと」した気分になったり*2、良子の兄・二ノ宮速彦(超絶変態)が出て来て暴走したり、謎の政府機関から送り込まれるウブな少女の霊能力者・天草沙代(いや〜いいですよこのキャラも)が物語をかき回した挙げ句に見せ場を作ってくれたりと、非常に安心して読める話となっています。
3つの短編で1冊になっているという作りなんですが、そのどれもが陽気な笑いに満ち満ちていて、それでいてちょっとハァハァさせてくれて、さらにはカッコいいところもあったりして・・・という贅沢な作りですな。
総合
星5つにしちゃうね、今回は!
楽しませるという意味において非常に高いレベルでまとまっていると思いました。伏線の張り方も良いし、新キャラクターの投入の仕方も良かったし、個人的にはもう何も言う事がありませんねえ。うーんまさにエンターテインメントって感じです。上では名前を出していませんがいい味を出しているキャラクターが他にも多くいて、彼らの活躍も今後期待出来るのがまた良しです。次の話も期待ですな〜。
イラストはQP:flapper氏なんですが、これがまた個人的に好みゾーンにいいタマ投げてくれるんですわ! キチが可愛いく描けているのはもちろんですが、二ノ宮良子も可愛らしいし、何より良かったのはp115の二ノ宮速彦氏を描いた一枚ですね。彼の人となりがこれで完璧に分かるというシロモノです。ああ、変態。