渚フォルテッシモ(3)

渚フォルテッシモ3 (MF文庫 J き 2-3)
渚フォルテッシモ3 (MF文庫 J き 2-3)桐野霞

メディアファクトリー 2008-02-21
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ストーリー

なんのへんてつもない・・・とは言い難い主人公・山ノ上大地(やまのうえだいち)は学校でかなりのUMAマニアと周囲に思われており、本人もそれを否定しない少年。
まあそういう変な趣味全開ということもあって女性受けは決して良くない青春を送っていたのだが、美少女で有名な麻生渚(あそうなぎさ)との出会いが彼の青春を楽しい方向に変化させることになる。麻生渚は・・・人魚と人間のハーフだったのだ。
学校では出来の良いお淑やかな少女の仮面を被っている渚だが、実は口も態度も悪い仮面お嬢様であり、ラーメンが大好物という庶民的な趣味も持っていたりするのだった(お嬢様のイメージを崩さないためにラーメン好きは秘密にしている)。
まあそんな感じでUMA好きが集まって同好会を作っているのだが、文化祭に向けてUMAの調査をしようという話になった。そして良いネタを探している最中にUMA研究会に一つの依頼が舞い込んでくる。山で巨大な蛇にあったというのだが・・・。
恋の鞘当ての熱くなりつつある3巻で、本命・渚、対抗・篠崎朱里のバトルというか・・・朱里の健気な感じがとてもいい3巻です。

うーん

特に何事もない3巻なんですけどね。
渚は渚で非常に分かりやすい性格で、大地のことが気にはなっているけれどもそれを認められない・・・というか自覚していないようなところがあるし、大地のほうも渚を意識しつつも相手にされていないと思っていて、今イチ自分の置かれている状況を理解していない所がなんとも言い難くラブコメです。
正直なところこの二人の距離は今回も縮まりそうで縮まらない訳ですが、今回気をはいてくれるのは眼鏡で大人しい美少女でありながら、何故か大地に明確な恋心を寄せる高校生作家の篠崎朱里ですね。

実は

このキャラはちょっとうじうじしているところがあって、今イチパッとしなかったんですが、今回その印象を改めることにしました。
彼女は今回、自分と今書いている物語のヒロインの少女を重ねます。

大人しくて、怖がりの少女。ヒロインの姿が浮かぶ。
彼女が惹かれたのは、彼の外見でもなく、彼のイメージでもない。
きっと、彼女は彼の優しさに惹かれたはずだ。
さりげない言葉や態度に見え隠れする思いやりに。
だから、きっと。
彼女は勇気を出せる。
素直にそう思えた。

小さい一歩でも、心の底から捻り出すほんのちょっとした一歩こそが「勇気」ですよね。それを今回発揮してくれたのは渚でも大地でもなく、この朱里でした。

「私の望みは私のものなの。自分で叶えてこそ、意味があるの!」

ラスト近くで言い切る彼女の姿はちょっと良かったですね。

そういう意味では

今回ヒロインの渚は食われてたなあ・・・と思ったりした3巻ですね。
渚の実の母親(完全人魚)とかも出てきて賑やかは賑やかなんで、ツンデレっぷりも加速しているんですが、今まで以上の一歩を求めるような勇気は出せてないなあ・・・というのが個人的な印象です。このままだと朱里を応援したくなっちゃうなあ。だって今回かなり頑張ったからな〜。

総合

星2つ。
うーん、微妙・・・という出来でしょうか。
ブコメUMAというネタは悪くないのですが、今イチ乗り切れないなあという感じですね。とにかく一冊辺りの内容が薄すぎるという印象です。例えば先日読んだ「ギャルゴ!!!!!」の適当なページを開いて、この「渚フォルテッシモ」の適当なページと比較してみましょう。・・・うーん、白い部分が多すぎる。
別に文字数で話の面白さが決まる訳ではないですが、流石に薄っぺらいという印象は拭えませんね。これでもうちょっとキャラクターが魅力的なら見事なんですが、文字数の少なさと比例するようにしてキャラクターの魅力も薄くなっている感じがします。
一応次までは買ってみようかと思いますが、またこんなノリだったら読むの止めるかな・・・。少女漫画的なイラストは中々好みだったりしますけどね。

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