量産型はダテじゃない!(3)
量産型はダテじゃない!3 (富士見ファンタジア文庫 180-3) | |
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また書影がねえよ・・・。
ストーリー
——時はアルタイル星暦3421年。第一次UD戦争の最中の事。
「UD」とは戦闘用に作られたヒューマノイド「アルティメットドール」の事を指している。そしてこの世界では人と機械知性体とのいつ果てるとも知れない戦争が続いていた。
しかしその戦争は現状一段落状態になっており、人の暮らす街・アインフラントでもカーニバルが開催される事になっていた。根を詰め過ぎというのもどうかという内容で仲間たちに諭され、あるいは挑発され、または騙されてカーニバルに参加する事になったヘキサ。そしてそんな彼女を守るためにカーニバルに同行するシュナイダーとナンブ。
カーニバルについつい心ときめいてしまうヘキサだったが、同行するシュナイダーの表情は冴えない。彼は人知れず悩み続けていた。
「私は……壊れているのだろうか」
感情の発露が上手く行かず、自分の存在に疑問を感じるシュナイダー・・・しかしそんな彼の状態を敵が待つ訳も無く、水面下ではヘキサの誘拐計画が着々と進行していたのだった・・・。
ありゃりゃ
確かにシュナイダーは見事な当て馬です。当て馬でしたとも。
まあそんな可哀想な彼に今回はスポットライトが当たる感じではあるんですが、うーむ・・・何というんでしょうか、シュナイダーは「空気が読めない」んですねえ・・・と感じてしまった一冊でした。
正確には「この本の基本の空気から浮いている」ですかね? 別に悪くはないんですけど、なんだろうねえこの無色透明感。皮肉な事にシュナイダーが活躍すればするだけこの本の魅力がスポイルされる感じもします。
この本の魅力の基本はナンブのど根性なのですが、シュナイダーが活躍すれば活躍する程、ど根性色が薄れて薄味になっていくような気がします。まあ今後どうなって行くかは分かりませんので今の所ですが・・・。
その反面
ナンブは相変わらず濃いです。
「……どう思う、ナンブ君」
「……靴下が、いただけないでござる」
「やはり君もそう思うか」
「狙ってか狙わずか、あのドレスはスカートの丈が短いでござる。あの長さではクルーソックスでは絶対領域に届かない……かといって、サイハイソックスではきえてしまうでござる。微妙なラインではござるが、やはりあそこはオーバーニーであるべきかと」
一体なんのために存在しているんだナンブ。というかなんで絶対領域とか知っているんだナンブ。おまえのメインメモリにはそんな概念を入れておく余裕はあるのかオイ。
しかし、心を亡くして(忙しいのか?)いたシュナイダーを奮い立たせるのはやっぱりナンブだったりします。やっぱり主人公ですね。
で
今回もちょっと精神を病み気味のヒロインが今回も活躍してくれます。
それは——檻の床一面に書かれた掘り文字だった。
『ナンブ。ナンブ。どこ。どこ』
『置いていかれた。置いてった。置いてかないで。寂しい。寂しいよ』
『あの女許すまじ。引っ掻いてやる。引っ掻いてやる。引っ張ってやる』
あのアンリミテッド鉱石付き妄執メカ・グロリアスです。まさしくこの話のヒロインであり、ナンブの歪んだヒロイズムを矯正できるとしたら彼女(?)しかいないでしょう。
総合
星3つかな・・・。着々と星の数が下がり続けている感じがなんとも心配です。
全体的によく動いてくれる話なのだけど、やっぱりシュナイダーがパッとしないんですよね・・・。倒されても、倒されなくても、当て馬でも、当て馬でなくとも、彼が活躍すればするだけ私がこの本に感じた魅力が無くなっていく・・・。
マズくはないけどあくまで彼はミネラルウォーターみたいにどう考えてもメインディッシュになってはいけないキャラクターなのかな・・・とかちょっと悲しく思いました。私は別にシュナイダーというキャラクターが嫌いという訳じゃないんですよ? 好きにも嫌いにもなりようがないという感じでしょうか。だからなおさら悲しいのですね。
うーむ、個人的には何か間違った方向に進んでいるのではないかと思い始めたこのシリーズ、どうしたら良いんでしょうねえ・・・。