ラッキーチャンス！（３）

ラッキーチャンス!〈3〉 (電撃文庫)

ストーリー：あまり変えてないけど

外神雅人（とがみまさと）君は”ごえん使い”という霊能力を持つものの、幸運が致命的に欠落した若者である。
しかし彼のもとを一人の神さまが訪れる。その名はキチ。キチは元疫病神であったのだがこの度めでたく福の神に転職する事になり、日本一不運な少年の雅人を幸福にするべくやって来たのだ。
キチはマサトを幸せにするべく福の神としての経験が浅いながらも頑張る！　しかしキチは元・疫病神・・・そんなキチに危険が無いかどうかを特命霊的捜査官である天草沙代が調査にやってくる。
天草沙代はマサトに喧嘩を売ったり、キチをつっついたりと色々しまくった挙げ句にキチの負の面である”疫病神”を少しだけ目覚めさせてしまったりしたのだが、マサトの機転でキチは今まで通りの福の神に戻る事が出来たのだった。
しかし「それは良かったはい調査終了！」とならないところがお役所のお硬いトコロ。もう一つの確認事項”二人はヤッちゃったりしてるか？”を確認するべくマサトとキチのそばをうろつく天草沙代・・・。
そんなこんなで遂に３巻です。

なんだか分かりませんが

「いかにもライトノベル」という感じの作品を書かせたら有沢まみずの右に出るものがいないんじゃないかという感じがしますね。
真っ直ぐで、明るくて、それで少しシリアスで、まあちょっとエッチで・・・というそれぞれの配合加減が絶妙です。まさに軽食を食べる感じでサラサラと読めてしまって、それでいて面白おかしい。うーむ、これは見事な仕事ぶりですよな・・・。

そうそう

今回も新キャラが出てきまして、その名もトト。
無口で猛烈にマサトを慕う娘ですが、前作の「いぬかみっ！」とかを考えるとこの露骨なキャラも単なるテコ入れではなく何かの大事な役割が用意されているに違いない！　と思えてくるところが不思議です。だって河童にだって見せ場があったもんな・・・。
まあそんな感じで登場するトトですが、キチのライバルですね。主人公がモノノケに好かれやすいという性格はもう伝統なのかも・・・。

それに加えて

キチがマサトを一心に慕う女の子として可愛いのはもう折り紙付きですが、今回特にスパークしているのは天草沙代だったりします。
２巻では彼女の悪いところが多くピックアップされてどうにもマイナスの印象が勝ってしまっていましたが、この３巻ではそのマイナスイメージを払拭するような姿を沢山見せてくれます。
プライドの鎧を少しだけ脱いで、マサトの本当の心に少しだけ触れて、そしてマサトを一人の霊能者として認める・・・というヒロインとして最低限必要な手順を踏む事が出来たと言えば分かるでしょうか。
前作でもちょっと象徴的に書かれていた。

色んな意味で。

が、

色んな意味で！

という感じになりまして、一気に暗いイメージではなくて、なんともピンクがかって見える様になったのは多分私の気のせいではないと思う・・・。

あ、もちろん

今回は活躍の機会は少ないですが、マサトの恋する相手である二ノ宮良子も頑張っています。
２巻ではデート、今回はお弁当を自作してしまったりします。うーむ、You達付き合っちゃいなyo！　という感じですが、まあマサト君色々とモテモテなので、障害は多そうです・・・強烈変態兄貴もいるし・・・が！　応援はしている！　私は泥沼のような恋愛模様を応援している！
それからマサト絡みではありませんが、今回「ストーカノジョ」という恐るべき娘も登場します。爆笑必死なので是非是非読んで確認して下さい。いや、多分悪い娘ではない、のだけど、怖っ！

総合

星４つかな？
星の数こそ２巻より下げていますが、これはつまらなくなったというよりは読み始めの頃の刺激が（私という読者の脳内で読み慣れた事によって）安定状態に入ったため、という感じです。２巻と同じ様に楽しめるのは間違いないですね。
それにしても主役から端役までキャラクターを立てるのが上手い作者ですね。１巻の時には印象にあまり残らなかったキャラクター達もちょこちょこと登場するし続け、少ない活躍シーンながらイメージを上手く積み重ねることに成功していて、印象がガッチリと固まってきたという感じです。
うーん、とにかく４巻も期待して待つ！
イラストのQP:flapper氏は個人的に好きな絵師さんですが、表紙のキチのパンチラというかパンモロ・・・その股間の微妙なプックリ感の偏執狂的な書き込みに氏の変態性が滲み出ているような気がします。下絵の段階ではなんか書いてはイケナイトコロまで描かれているんではないかい？　とか妄想したら、私の脳は勝手に果ての無い旅に出て行ってしまいました。まだ帰ってきません。

感想リンク