いつか、こいまち!

いつか、こいまち! (電撃文庫)

いつか、こいまち! (電撃文庫)

それにしても最近のamazonの書影の無さ加減は酷くないか!? 誰が悪いんだコレ!?

ストーリー

親の仕事の都合でニューヨークと日本の田舎町の2択を迫られた一ノ瀬真哉(いちのせしんや)は、親戚の叔母のいる日本の田舎を選ぶ事に。
とにかく新しい環境に馴染むべく田舎の学校に通い出した真哉だったが、転校初日から隣の席の女の子に掌低をオデコに喰らわされてしまう。
だからって別に昏倒した訳でも怪我をした訳でもないのだが、なにやら怪しげなものを頭の中に仕込まれてしまったらしく、普通の人には見えないはずの「折り紙」が見えるようになってしまったのだった。
その折り紙の名前は「懸想紙」、そしてそれを使っているのは掌低を喰らわせた少女・神楽甘楽(かぐらかんら)。彼女は実は恋の神さまで、人の恋の成就を助ける仕事があるのだという。
なんだかかなり変な性質の甘楽に振り回される真哉。まあ甘楽は悪い子ではないのだけど・・・? というほのぼのラブコメの1巻です。

なんつーか・・・

書き上げるのに作者が苦労した姿がなんとなく思い浮かぶというか・・・以前のシリーズの「ひかりのまち」を読んでいて、余りにも作風が違うからそんな風に思うだけですかね?
こういっちゃ悪いんですが、全体的にキャラクターが弱いんですよね・・・。いえ、描写が悪いという事ではなくて、いかにもライトノベル的なぶっ飛び感がキャラクター全員に足りないのです。なんというか小さくまとまってしまっているというか、荒削りな感じがないというか、ダイナミックさが足りないというか、普通って言うか・・・。

どのキャラクターも

印象や感触は悪くないのですが、読み終わると直ぐに印象が薄れてしまうような所があって・・・。
まあヒロインの甘楽ちゃんは結構いいですが。

『んーと……魚でも獲ろうかと思って』
素手で?」
『……う、うん』
スクール水着に着替えて? 大体、いつ着替えたの?」
『ふっふっふー。実は朝から制服の下に着てきたのだ。準備いいでしょ?』
「朝から魚を獲ろうと思ってたわけ?」
『んーまあ……それもあるんだけど、ホントは体も洗おうと思ったんだ。最近、家のお風呂が壊れちゃったから』
「川で!?」

ライトノベル的にはマズくない感じのヒロインですが、主人公の真哉くん・・・君は致命的にツッコミ力が足りない
他のキャラクターである同級生の樒莉奈(しきみりな)、やっぱり同級生の菱川潤、居候先の望月早苗(もちづきさなえ)、望月泉奈(もちづきせんな)姉妹もどこかしら弱いです。強いて言えば早苗が王道的な妹キャラで分かりやすい感じでしょうか。

恋を中心にした

話のはずなのに、分かりやすい恋模様が一つしかないのがちょい辛い所ですね。
まあ「ちょっと気になる」という関係はあちこちにあるんですが、明確に「恋」となるとやっぱり一つだけでしょうか・・・。まあそれを中心に話が進む事になります。その展開はとても優しい雰囲気があって好きですが、インパクトは足りないですね。
うーむ、でも恋に関するドロドロがあんまり無いのもこの話の持ち味かなあ・・・。

総合

とりあえず星3つ? でも読みにくいとかキライとかがないので今の所星2つにはならない感じ?
種まきというか、今後話を広げて行くための要素は沢山ありそうなので2巻が出たらとりあえず買ってみようかな位には思いました。でもラストのオチはやっぱり弱いと思ったなあ・・・なんというか拍子抜けと言えば一番分かりやすいかも知れません。
そこそこ売れてもらって次が出ると良いですが・・・これで「さらバイ!」だったら悲しいですもんねえ。
あ、イラストは作品のイメージと合っていていい感じですね。可愛らしくてホッとする、そんな感じです。

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