狼と香辛料(8)

狼と香辛料 8 (8) (電撃文庫 は 8-8)
狼と香辛料 8 (8) (電撃文庫 は 8-8)支倉 凍砂

アスキー・メディアワークス 2008-05-10
売り上げランキング : 623

おすすめ平均 star
starネタばれはあかんから
star次が気になる出来
starこれはもうただのラノベでは無い

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ストーリー

コルという同行者を得たロレンスホロは、彼らにいっぱい喰らわせた女商人・エーブを追って港町ケルーベへ向かう。変身したホロの足を使って一足先に進んでいたエーブに追いついた彼らはケルーベでのエーブの立ち位置の微妙さや、ケルーベという街が川を挟んで北と南で対立状態に陥っている事も知る事になる。
また、奇しくも特殊な立場にいるエーブ、彼の所属する商会であるローエン商業組合、さらには「狼の骨」、それらが微妙に絡まりあってロレンス達のポジションは複雑怪奇なものとなっていき、北と南の対立の激化によって周囲は一気にきな臭い事に・・・。
シリーズ初の上下(?)巻構成で作られた旅商人ファンタジーの8巻です。

なんですけど・・・。

うーむ、パッとしなかったなあ・・・。
商人同士の「金」を間に挟んだ腹の探り合いや少しでも優位に立とうとする水面下でのやり取りなどは確かに良くできているのですが、なんだかその勢力図が複雑怪奇になりすぎて、微妙に爽快感が不足したかなあと。
コルという新しいキャラクターが増えた事は悪くないと思うんですが、ロレンスとホロの関係がなんとなく落ち着いてしまっているのもちょっと微妙なんですよね。相変わらずホロは可愛いんですけど、今回は商業ミステリー色が強過ぎて見せ場が少なかったかなあ。

今回は

5〜6巻で対立関係になっていたエーブが再登場する事になりますが、今作でもエーブは微妙なポジションで物語をかき回します。
ホロに対してのライバル女のポジションとして、あるいはケルーベの街で怪しく動く鬼札としてですね。魅力的な「悪の商人」という感じですが、どうも憎めない感じもありますね。
そして今回登場するローエン商館の主・キーマンも中々に良いです。一筋縄ではいかない感じがとても怖くて良いですね。今回はこうした一癖も二癖もある「悪人寄り」の人間がちょこちょこ出てきます。

そうそう

上の2名の「癖のありすぎる登場人物」と対比するようにコルの善良さと真面目さと正直さが良いですね。
妙に男女の関係について聡い所があるのも面白いですし、ホロとの関係もよくて見ていて微笑ましいという感じでしょうか。エーブとロレンスの関係を勘違いしてホロの前でしどろもどろになる辺りも良いですね。

総合

星3つ。今まで4〜5星だったので、初めての3つ星ですな。
上下巻という事もあってオチがつかないというのも星が下がっている理由でもあります。
とにかく今回は商業ミステリー(?)色が強くなりすぎて素直に楽しめなかったという所もあります。それとも説明が分かりにくいのかな? いや俺の頭が悪いのか? だったら馬鹿でスマン・・・。
とにかく分かんないですけど現代経済みたいに専用の言葉を使っていないので余計に話が分かりにくくなっている感じがしますね。お金の動きと権力構造に加え、それぞれの勢力、それぞれの商会、それぞれの商人の持っている意図が絡まりあう関係がストンと胃の腑に落っこちてこないというか・・・。まあファンタジー作品だから仕方がないですけど。パワーポイント的な感じで誰か図解してくれると嬉しいんだけどなあ・・・。

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