多次元交差点でお茶づけを
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眠れないので真夜中に更新です〜。
ストーリー
私立時狭間学園に通う少女・宇田川まひるは守銭奴・・・というかお金にきっちりしている性格で有名だった。今日も今日とて倹約のためにパンの耳をかじってカロリーを確保している。とにかくお金のことならまひるに相談すればベストアンサーを出してくれるという評判の少女だった訳なのだが、どうしても彼女の手に追えない少年が一人だけいた。
その名を夜野原ミサキ。昼行灯・オブ・昼行灯とも言える存在で、授業中というか昼間は100%寝ている。怒鳴っても殴っても目を覚まさない強者。まひるは彼が修学旅行の積み立てを未納な事に腹を立て、彼からなんとしても集金をしようと行動するのだが、調べれば調べる程このミサキという少年の存在はおかしい。
寝ていても決して赤くならない成績に加え、住所が学校と同じ番地だったのだ。そんな彼を不審に思ったまひるは夜の彼を尾行することにし、彼が学校の地下室の扉の向こうに消えたのを確認したところでその後を追ったのだった。
その先は・・・トンネルならぬ扉を抜けると雪国だった。位のノリで異次元でした。
という変な勢いで始まるSF(?)作品の1巻です。といいつつも2巻、出るかなあ・・・?
いや
2巻が出るかどうか心配はしていますけど、そんなにつまらなかったという訳でもありません。
とにかく主人公である宇田川まひるは非常に分かりやすい性格をしていまして、彼女のケチっぷりはいっそ見習いたい位のものです。いや、一社会人として。
「補助金! 損失補填! 自助努力もしないで天からのお金に頼るなんて言語道断! そのお金だって税金とかそーゆー公的資金から出てるんでしょ!? みんなから集めたお金を無駄遣いする能無しは死! 即殺!」
・・・えーっと、日本中の公的機関の人間に聞かせたい言葉であります。あと銀行とか。
でもまあ流石にそれだけではキャラクターとして弱いので、その「ケチ」になった動機やら彼女が心の中で何を感じているのかという所はかなりな所まで細かく書かれます。うん、これはいいです。
でも
もう一人の主人公と言える夜野原ミサキについては殆ど訳が分からないという感じです。というか彼の存在がこの作品をSFから不条理SFに片足突っ込ませている原因になっているような気がします。
昼間は寝ている。しかし夜になると完全覚醒して性格も一変。実は異次元空間の向こう側にある「多次元交差点上に建っている宿泊施設・THE HOTEL TOKIHAZAMA」の支配人だったりします。
ちなみに昼のミサキはこんな感じで——。
「……話。……夜。……ホテルで」
寝ぼけでまともに言語中枢が機能していない関係で誤解を招くような発言など当たり前です。が、夜の支配人姿になった時は——。
「おお! その制服! その制服には見覚えがありますよ! えーと……そう! 推測するに、あなたは時狭間学園の生徒の一員! そうですね、見知らぬお客人!」
異常なまでにハキハキしております。昼夜逆転の二重人格とでも言いましょうか。あるいはこっちが地なのか、分かりませんが。
とにかく
「THE HOTEL TOKIHAZAMA」は複数の平行世界が交差する交点上に存在していまして、謎の平行世界人達が観光客として訪れる場所です。ワニ型生命体やジェル型生命体や鉱物生命体などなど・・・そんな所で夜野原ミサキが支配人をやっているのは色々と訳があるのですが・・・中々にシリアスな理由だったりします。
結局彼に依頼される形でまひるは「THE HOTEL TOKIHAZAMA」の従業員として働く事になってしまい、そこで巻き起こる数々のドタバタが描かれて行く事になります。
もちろん従業員は他にもいまして、ココという幼女姿のベテラン従業員と、ルビィという猫耳ダメ従業員がいたりします。
総合
うーん、星3つかな〜。
とりあえず次が出たら買ってみようとは思います。短編の積み重ねで話が出来上がっていますので読みやすい事は間違いありませんし、話の作り方によってはもっと面白くなって行くような気がします。
描写も安定したレベルを保っているとも思えますので、今後は支配人かつ昼行灯のミサキ少年の魅力をもうちょっと引き出してくれるともっと面白く読めるんじゃないかな〜なんて思います。
まあそういう意味では重要なサブキャラのココとルビィも微妙にキャラ的に弱いんですけどね・・・今後に期待したい所ですね、その辺は。