ストライクウィッチーズ(1)スオムスいらん子中隊がんばる

ストライクウィッチーズ―スオムスいらん子中隊がんばる (角川スニーカー文庫)
ストライクウィッチーズ―スオムスいらん子中隊がんばる (角川スニーカー文庫)上田 梯子

角川書店 2006-09-30
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おすすめ平均 star
star女は黙ってガチ百合世界
starぶっ飛んだ展開の百合ラノベ小説
starどことなく面白いんです。なぜなんだろう?

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なんかアニメもやっているみたいだし、感想を書いておくか・・・。

ストーリー

人間社会は今共通の驚異に晒されていた。
正体不明、目的不明のまま突如として現れ、侵略行動を開始した敵性体・ネウロイが出現したためである。彼らは現在既に欧州の一部を制圧しており、地上を不毛の大地へと変えてしまう。そしてさらに支配領域を増やすべく人間社会に対して攻撃を仕掛け続けていた。
敵性体・ネウロイに対して有効な攻撃が可能な存在は人間側ではウィッチのみ。つまりは魔力を持ったうら若き少女達だけである。
彼女たちは足に魔力を利用した兵装「飛行脚」を纏う事によって大空を自由に飛翔する事が出来た。故に「機械化航空歩兵」と呼ばれた。
そんな状況の中、物語は地球のある場所・北欧のスオムスにて展開する。ネウロイの侵略に対して危機感を募らせたスオムスが世界各地に対して腕利きの「機械化航空歩兵」を送ってくれるように要請したためである。
しかし・・・実際に集まったのは各地の舞台から「問題児」として爪弾きにされた少女達ばかり。戦意も低く、技能も低い彼女たちはスオムスの地でも「いらん子中隊」呼ばわりをされてしまう。
そんななかに一人送り込まれた東洋の扶桑皇国のエース級パイロット・穴拭智子は一人で苦闘することになるのだが・・・。

著者は

あのヤマグチノボルですが、きっちりしっかりと仕事をこなしているという感じですね。
どうもこの話の成り立ちというかここまでに至る経緯についてさっぱり知らない私ですが、完全オリジナルの長編ライトノベルとして安心して読むことの出来る滑り出しでした。
そうですね、簡単に言えば「説明に過不足なし」・・・という感じでしょうか。メインキャラとして登場するのは少女ばかりですが、その6名のキャラクターそれぞれが丁度良い感じにそれぞれ動き回るシーンを与えられて、上手い具合に立っています。簡単にキャラクター紹介をしてみましょう。

穴拭智子(あなぶきともこ)

扶桑皇国においてその優れた格闘戦能力から”扶桑海の巴御前”と呼ばれた腕利き。
しかしその能力の高さ故に個人技に走りすぎるきらいがあって、同僚であり良きライバルでもある加藤武子からは心配されている。激戦区であるカールスラントに赴いて戦功をあげたいと思っていたため、今回のスオムス行きには不満たらたら。
スオムスで「いらん子」と呼ばれてしまった中隊を立て直すべく、孤軍奮闘するのだが・・・。

迫水ハルカ(さこみずはるか)

智子と同じく扶桑皇国からスオムスへ向かう。ありとあらゆる戦闘能力でダメ出しをされた結果、激戦が予想されるカールスラント派遣からは外されてスオムス行きとなった。智子に非常に憧れていて・・・?

エリザベス・F・フューリング

ブリタニアにて「問題児」の烙印を押されて半ば更迭のような感じでスオムスに転属させられた少女。空戦能力は一流だが、とにかくやる気に欠けており、虚無的かつ無軌道、かつ協調性に欠ける行動が目立つ。しかしそれには何やら訳があるようだが・・・?

キャサリン・オヘア

リベリオン合衆国より送り込まれた通称「壊し屋」の少女。本人に悪気はないらしいのだが、同僚機を巻き込んで自損事故が多すぎるため、やっかい払いとばかりにスオムスに送り込まれた。陽気な性格をしているのだが、やはり今回の転属についてはそれなりに応えている模様。しかし技術が一足飛びに上がるわけもなく・・・?

ウルスラ・ハルトマン

カールスラントより送り込まれた眼鏡少女。ミーティング中ですら本を手放さず、何から何まで杓子定規なところのある融通の利かない固い性格、かつ非常に寡黙で、空気が読めない。カールスラントにおいて新型爆弾の研究を行って自分の隊を壊滅させたことがあり、それらの理由によってスオムス送りとなった。

エルマ・レイヴォネン

スオムス原産の少女で「いらん子」中隊の隊長。やる気はあるのだが気が弱く、また緊張感もないという間違っても隊長にしてはいけないような少女。世界各地から腕利きを送ってもらえると信じていたのだが、実際に送り込まれた問題児達を相手に手綱を握ることが全く出来ない。彼女は隊のリーダーになることが出来るのか?

こんな

感じですかね。
彼女たち6人があーでもない、こーでもないと衝突と和解を繰り返しながら一つの中隊として纏まっていく過程を描いたのがこの1巻ですね。
正直あまり期待をしていなかったんですが、ストーリー展開については起承転結というか食前酒からデザートまで見事なコース料理として仕上げたという感じがあって、すんなりと物語に入り込めますし、また楽しんで読むことが出来る作りになっていると思いますね。
難しく考えずに少女達の物語を追いかければ良いんじゃないかなと思います。

総合

星3.5ですけど、まあ4つかな・・・。
まあヤマグチノボルらしいお色気展開なんかもあったりしますが、普通に少女の青春ものとして読んで問題ないと思います。
世界設定も無理なく作り込まれていますし(まあ魔女ってのは結構アレですけど?)、読んでいて違和感を感じる所はあまりないんじゃないかと思います。巻頭には各キャラクターのイラストとフルネームが書かれた紹介ページがありますし、またスオムスほか、各地の国がどこの国なのかという世界地図もついています。
実在する世界地図をベースに世界観が作られていますので、各キャラクターの持っている性格設定なども読み取りやすいのではないでしょうか。扶桑皇国は日本ですし、リベリオンアメリカ、ブリタニアはイギリス、カールスラントはドイツですね。ちなみにスオムスはフィンランドです。
イラストは島田フミカネ氏ですが、いいですね。カラーイラストの色づかいもいいですし、白黒イラストもなかなかツボを押さえた絵となっているんじゃないかと思います。