エンシェント・ホワイト

神曲奏界ポリフォニカ エンシェント・ホワイト 神曲奏界ポリフォニカシリーズ (GA文庫 た 1-5)
神曲奏界ポリフォニカ エンシェント・ホワイト 神曲奏界ポリフォニカシリーズ (GA文庫 た 1-5)高殿円  凪 かすみ

ソフトバンククリエイティブ 2008-09-16
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ストーリー

一年の時間を「精霊島」にて神曲楽士となるべく過ごしたスノウドロップ(スノウ)達は、そろって2年生へと進級した。新しい入学生を迎えてまた賑やかになる精霊島。
そして新たに近づいてくる学園祭。もちろん精霊島における学園祭は「精霊をもてなすこと」。スノウドロップ達は出し物に何をやるか悩んだ挙げ句、「音楽カフェ」というのを考え出す。
新入生のナノポニートを仲間に加え、カフェの準備に奔走するスノウドロップ達だったが、会場として確保した場所にはなにか曰くがありそうな気配が・・・?
作者の人の産休を挟んで出版されたホワイトシリーズの第5弾! オマケの短編もついてるよ!

久しぶりの

ホワイトシリーズで嬉しいですね〜。
だた、一つ残念なのがイラストレーターがきなこひろ氏から別の方に変わってしまったと言うことです。新しいイラストレーターの凪かすみ氏の絵が、きなこひろ氏より下手とか言うつもりは全くないのですが、やっぱり慣れ親しんだ絵とは変わってしまっているので妙に悲しいです。
あと、なんで本編中のスノウドロップ達がカフェで使うことになったメイド服とかの絵が無いんでしょう!? 

「やっぱりスノウにはよく似合います。あなたをイメージして決めたかいがありました。はあはあ」

プリムローズお嬢様も興奮するスノウのメイド服姿・・・もちろん今回はプリムローズもメイド服を着ますし、精霊のヒースや同級生のジョッシュも、さらにはブランカも給仕服に着替えます。・・・とくにジョッシュのその姿はあのリシュリーが物陰で鼻血を吹き出す似合いっぷりらしい・・・だのに〜な〜ぜ〜♪ イラストがない!?
ヒースやジョッシュの給仕服姿が絵になっていたら、きっと腐女子層もこの作品のファンとして取り込めただろうに・・・。

ところで

本編の方は特に何事もない新学期の一こまという感じで進んでいくんですが、相変わらずプリムローズは黒いし、ブランカは無意識にセクハラ発言をスノウにするし、賑やかそのものです。

「ああ、そうとも。オレはスノウのものだからな。契約を交わした特別な関係なんだ。契約もできないただの人間のお前はかわいそうだな、プリムローズ」
「まあ、たかが犬の分際で偉そうに言いますこと。たしか学院内はペット禁止のはずですから、今度から見つけたら放り出すように報告しておかなければ」

さらには新登場のナノポニートもちょっと怪しいところがある少女だったりして、ついでにはブランカも何やら色々思うところがあるらしくて、緊張感は余りないけれども中々に盛り上げつつ話を進めてくれます。
もちろんリシュリーのストーキングも続いていますしね・・・晴れ時々落雷という感じでしょうか。つまり今までのホワイトシリーズと同じように楽しませてくれると言うことです。
ただ、一点だけ注意して欲しいのがこの話が「前編」だってことですね。話が決着しないまま途中で終わっていますので、それだけは覚悟してください。

ただし

その代わりについている短編「私の美しい雪」の出来がとても良いです。
この話は、プリムローズ視点で語られる、幼い頃の自分の話から始まり、スノウドロップとの出会い、そしていかにしてスノウに思いを深く寄せるようになったか、というあたりが語られます。
プリムローズはご存じ「黒い」キャラクターですが、この短編を読んでもらえれば、その「黒さ」は人間らしさの証でもある・・・という事が納得してもらえると思います。裏表の無い、薄っぺらいキャラクターなんかに感情移入なんて出来ないですしね〜。

総合

安心して面白い。星4つですね。
ちょい役ではありますが、ミノティアスも出てくるし、ももまんも出てくるし、その割にはこの「ホワイト」世界の謎に迫るようなエピソードも語られることになりますし、読んでいてうきうきしてきますね。
まあ残念だったのが上でも書いたとおり「前編だった」という事ですが・・・まあこれは黙って続きが出るのを待ちましょう。作者の人は現在怪獣と格闘中ですし、その怪獣と格闘することが如何に大変なことか知っている私としては、どうか身体を壊さないように無理をしないで欲しいなあと思うものです。うん。

感想リンク