量産型はダテじゃない!(4)

量産型はダテじゃない!4 (富士見ファンタジア文庫 や 3-1-4)
量産型はダテじゃない!4 (富士見ファンタジア文庫 や 3-1-4)柳実 冬貴

富士見書房 2008-09-20
売り上げランキング : 400


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ストーリー

——時はアルタイル星暦3421年。第一次UD戦争の最中の事。
この時代からみて既に大きく型落ち・しかも名機とも言い難いUD(アルティメットドール)のナンブは、彼を再起動させた科学者の少女・ヘキサの周りにまとわりついていた。暑苦しい家政婦のような出で立ちで。
元々戦闘用のUD(拠点防衛用)で、身体の色も緑色、「〜でござる」口調の役立たずなナンブだったが、今までヘキサはナンブに何度も助けられていたりして、二人(?)の関係は妙に複雑。
今回、ヘキサは「ある理由」からナンブに自分の護衛を願い出て、当然ナンブは喜び勇んでその依頼を受けたのだが、ヘキサにはある陰謀がせまっていた・・・。
SFなのに「根性」という奇妙な組み合わせのライトノベル、第四弾です。

あ〜

なんつーか、新しくなった富士見ファンタジアの表紙の作りでこのイラストって・・・猛烈に趣味悪いですな。
赤字に緑のナンブって・・・いや四角の枠だったから今まで気にならなかったものの、本の全面を全部覆うとなるとこれはどぎつい。本屋で見かけた時、一度手に取ったのを戻しそうになりましたから。
もうちょっとこう・・・色の組み合わせとか考える気にならんかったんか? という気がしないでもないですな。まあこれがこの話の主人公の「ナンブらしさの表現」だっていうなら仕方がないですが。

とまあ

表紙のデザインについてはこの位にして、本編ですが。
話の作りとしては「初心に帰って」という感じでヘキサとナンブの二人を中心にして基本の話が作られるわけですが・・・うーむ、ぶっちゃけ「二番煎じ」という感じは否めないですね。
確かに新しい要素なんかも話に組み込まれていて、それなりに読める話の作りをしているんですが、もうこれはどこかで・・・というか1巻で読んだ話の焼き直しという感じです。話の盛り上げ方が同じなんですよね。
その辺りになんというか、もったいなさを感じてしまったりします。ナンブというオンボロロボの魅力は根性で敵と戦うだけじゃないと思うんですよ。もののふの魂を持ったロボの魅力の引き出しは——もっと沢山あるんじゃないでしょうか。

何といいますか

読み終わってから思ったんですが、まあ少年向けの本なのでバトル展開を中心に持ってくるのは仕方がないのかな〜なんて思ったりもしますが、この話、寅さん的な展開にした方が先があるんじゃないかな〜なんて思ったりしました。
なんといっても主人公のナンブは型落ちの性能悪いメカな訳で、それが毎回毎回半死半生で戦って、そしてなんとか乗り切るというのはそのうち・・・というか既に限界が来ているんじゃないかと思うんですよね。
先が読めるというか、予想を裏切ってくれないというか・・・いや、読めないわけではないけれど、興奮はしないんですよ。セリフでも余り刺激を受けませんでしたね・・・だから今回は引用もなしです。

総合

星3つ。次があるかな? 無いかも知れないな・・・という星3つです。
だた、以前と比べて一つだけ良くなったのはあの”当て馬”シュナイダーがちゃんと活躍する場面を見せてくれたところですね。うんうん、新鋭機なんだからやればちゃんと出来る子なんですよね〜。
今回は新しくヒロインのヘキサに関する謎が出てきたりとか、ナンブそのものにも秘密があるっぽいことが示唆されたりして、幾つか伏線が張られるんですが、さて、次の話にどれだけ生かせるものだか・・・心配ですねえ・・・。
「はっちゃけSF根性もの」として読んだ場合、全体で見たらなかなかの完成度だと思うんですけど、1巻の時の楽しさはないんだよなあ・・・。