<本の姫>は謳う(4)
- 作者: 多崎礼,山本ヤマト
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2008/09
- メディア: 新書
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ストーリー
力のある「文字(スペル)」を求めて旅する少年・アンガス・ケネスの旅は終わりに近づいていた。そして舞台は風雲急を告げるアンガスのもう一つの故郷とも言える町・バニストンへ。
しかしバニストンの町はかつての姿を失っていた。レッドによってもたらされた文字が、町の姿を変えてしまったのだ・・・そして「希望」を見に宿したアンガスの苦闘は加速していく。
そしてまたもう一つ、遙か昔のアザゼルの物語も続いていく。絶望が世界に振りまかれようとする時、選び取るのは果たして何か? そしてそれを選び出すのは一体誰か?
精密、緻密、精細——最早どれだけ言葉を尽くしても表現できない程の圧倒的な世界で語られる、ファンタジーノベルの——堂々の最終巻です。
やばい
これはやばい。
この本を読み終わったのは本当につい先ほどなのですが、最終ページ近くをめくる時は手が震えました。本当に震えたんです。なんで震えているのか、いま自分の中にわき起こっている気持ちが一体何なのか? 正直分かりません。
本当に陳腐な二文字の言葉が一つだけ思い浮かびましたけど・・・言いたくありません。もったいなくてそんな言葉でこの物語を形容したいと思いません。
とにかく多くの人にこのシリーズを読んで欲しいと——いま心の底から思っています。
本当に
壮絶というか・・・こんな話を作り出せる人かいることが信じられないというか、そんな感じです。
実は私今日結構な感じで風邪をひいていて、こうしている今現在どんどこと頭が痛いんですが、それでも書かなければならないのです。この感想を書かないといけないのです。
理由なんか分かりません。別に分からなくても良いです。ただひたすらに今書いています。頭が痛いです。寒気もします。でも書かずにはいられません——この本は、人をそうさせる本です。まるで背中を蹴られているようです。
書け、書け、書け——アンガスが、アザゼルが、いや登場してきた全ての人物が、いやそれこそ「文字」一つ一つがそう急き立てるのです。
とにかく
最高の完成度を持った物語であることは保証します。
いや私が保証したってなんの意味もないかも知れませんが・・・それでも保証します。とにかく読んで欲しいです。今すぐでなくても良いです。古本屋で見かけたら手に取るとかでも構わないのかも知れません。
何故なら、<本の姫>は決して逃げないからです。ずっとここにいます。いつまでも貴方がそのページを捲るのを待っていてくれます。そして開いたなら——伸び伸びと天へと伸びゆく声で謳ってくれるはずです。
本の姫が謳いだしたら・・・きっと気がついたら貴方も謳っているはずです。その果てしない希望の歌を。