やってきたよ、ドルイドさん!
- 作者: 志瑞祐,絶叫
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2008/10
- メディア: 文庫
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ストーリー
一口に東京といっても、広い。
まさに日本の中心とも言える繁華街がある一方で、西へ西へと進んでいけば、山ばかりの奥多摩が存在する。そして、私立森野学園はそんな東京の田舎に存在したのだった。趣ある校舎、広い校庭、可愛い制服・・・そしてそれを補って余りある田舎感。そんな学校に白川夏穂は通っていた。彼女はちょっと委員長体質なだけのなんの変哲もない中学生である。
そんな彼女の通う学園に、一人の転入生がやってきた。金髪碧眼かつ美少女の見事な外国人である彼女の名前は、ホリン・シャレイリア。何故か学校に大量の野生動物を引き連れて登校した彼女は、アイルランドの由緒正しいドルイドだったのだ!
自然に溶け込み、動物と語り、誓約を元にした魔術を使う彼女がやってきたことによって巻き起こる数々のトラブルは、夏穂の日常をドルイド色に染め抜いて——?
なんか新人賞の佳作らしいですが・・・うん、なるほど。
いや
なんで「なるほど」って感じなのかというと、面白いことは面白いんですが・・・って書きたくなるような感じの面白さです。
なんというか・・・面白いんですけどもう一つ足りないというか、これという必殺技がないというか、そんな印象を受けました。じゃあつまらないかというとそんなこともなくて・・・うん、選考委員の人が「佳作」にしたのが分かる気がします。
ちなみに
ヒロインのシャレイリアは某セイバー(コメディタッチの)になんとなく似ていて・・・
「これほど美味なものは口にしたことがない」
彼女はぽつりとつぶやいた。
「あ、ほんと」
「ああ。故郷の森では、もっぱら木の樹液を舐めて飢えをしのいでいたものだ」
遠い目をして、しみじみとつぶやくシャレイリア。
あんたはカブトムシか。
「ごちそうといえば、ミツバチと格闘して手に入れる蜂蜜だった」
クマの○ーさんか!
ちなみにつっこんでいるのは本作の語り部である主人公の夏穂です。
基本的に
こんな感じで話が進むんですね。
天然入っているけど真面目ではた迷惑なドルイドのシャレイリアと、つっこみつつもシャレイリアの可愛らしさにちょっとメロッとしてしまっている夏穂という感じです。
・・・いや、百合という感じではなくて・・・なんというの? こう、ぷくぷくの桜色ほっぺたがあったなら、誰でもつんつんとしてみたくなるじゃないですか。で、シャレイリアにはそういう魅力を発散しているタイプというか、女性にまで訴求力のある可愛らしさがあるというか・・・うん、そんな感じです。
そーですねー
キャラクターの描写は結構良くて、それぞれの登場人物がなかなか魅力的に書かれます。
上で引用したシャレイリアと夏穂もいいですが、他の端役の人たちも良い感じにキャラクターが立っていて、ほとんど登場しないけど何故かその身が心配な体育の村岡先生とか・・・。何故かろくでもない目にしかあわないクラスメイトの須田くんとか・・・。なかなか面白いです。うん。
端役まで良い感じなので、この作者ひともっと作家経験を積めばもっと面白いものが書けるんじゃないかという気がしましたね。伸びしろがありそうな印象を受けました。
でも
現状ではもう一つ足りないんですよね。なんなんですかねえ・・・。
キャラクターも悪くないし、物語の盛り上げ方もそう悪くないと思うのに、なんでパッとしないのかなあ・・・としみじみ考えた結果、多分パロディネタが多すぎるせいかなあ? という結論に至りました。
パロディは楽しいんですけど、やっぱりオリジナルで楽しいのが一番なんですよね。有名アニメのセリフを持ち出したり、某漫画のキャラクターを匂わせたりするのはいいですが、やっぱり読者としては今まで使っていなかった脳みそを活性化させてくれるような新しい楽しさを提供して欲しいからかなと。
ほら、田中ロミオとか西尾維新とか、パロディとかを多用しなくても一つ一つの文章が面白いでしょう? ああいうところを目指して欲しいな〜なんて思いました。