耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳

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ストーリー

第八高等学校という学校がある。本地民と王国民の間でゆらゆらと揺れる体制の中で、全寮制で運営させるちょっと特殊な学校であり、ある意味一種の幽閉施設のようでもあり、そしてある意味においては英才教育のための最高の学舎とも言える学校である。
で、レイチはそんな学校に親のコネで入学した妄想激しくもノンポリな新入学生。なんの変哲もない学園生活を送ろうかとも考えていたのだが、周囲の人材は変人ばかり、あるいはそれに負けじとレイチ自身が変人だったこともあって、学校生活は混乱気味。
特にシャーリック王国からやってきた王位継承者でもある耳刈ネルリが特別なキワモノということもありつつ、何故かそのネルリと縁の出来てしまったレイチは、知ってか知らずか妙なトラブルに巻き込まれていくことになって・・・?
第10回えんため大賞優秀賞受賞作、だそうですが・・・これは判断に困りますな・・・。

ま、

「面白い?」or「つまらない?」の二択でぶった切るとしたら、ざんねーん! 「どちらともいえない」という感じでしょうか。
それって二択と違うじゃんとかお思いでしょうが、きっとこの本を読んだ人ならなんとなく理解してもらえるんじゃないでしょうかね。なんというか、面白いんだけど悪ふざけが過ぎる・・・そういう所でしょうか。
ん、まあそれでも、端々の言葉をピックアップしてみれば、

「シャーリック王国王女太子、ネルリ・ドゥベツォネガ。好きな言葉は『支配』『蹂躙』『陵辱』。嫌いなものは淫らな言動である」

なんてのは印象的な台詞でしたし、あるいは

二階に上がると、円卓の上にお菓子やらジュースやらが並べられていて、それを囲んで女子たちが車座になっていた。つまり部屋の八割以上がお砂糖でできているということだ。僕はここを「美ら海」と命名し、心の波打ち際に「ありがとう」とメッセージを残した。

なんて感じの言語センスにはちょっとクラクラしたし、ほかにも

「その手鏡は僕のじゃありません!」

なんて時代を微妙に捉えたブラックなジョーク群(某「リアル鬼ごっこ」を書いた山○悠介をこき下ろしていると思われる文章もあったりする)も結構刺激的といえば刺激的でしたな。

ただ

この話、主人公のレイチの語りで話が進んでいく訳ですが、こいつが脳内で一両日中と言っていいほど余計な妄想を繰り返しているため、読むのが非常に面倒くさいですな。この話を楽しめるかどうかは、

主人公レイチの語りを楽しめるか?

で決定されるといっても過言では無いでしょう。
えー、似たような作風(?)で言えば、「嘘つきみーまー」が同系列に入るんではないでしょうかね。四六時中怪電波を受信している関係で、現実世界にノイズが走って辺りがよくみえないよ! という感じがとっても似ています。あ、そういえばトンデモ系の登場人物が普通にそこら中にいる感じは日日日の作品にも似通ったところがあるかな〜なんてことも感じましたな。
全体で見た場合の話の作りは結構好みの部類に入るんですけどねえ・・・無駄な電波まき散らしている作品、苦手なんだよね・・・。

総合

星・・・3つかなあ・・・?
「どちらともいえない」という判定結果ならこの星の数は順当というところでしょうかね。電波系作品の特徴として、まず読んで見ないことには判断できないという所がありますね。ストレートに物語を綴るタイプの作品なら読む前に情報収集してなんとなく雰囲気を掴むことも出来るんでしょうけどね・・・この本は無理じゃないかな〜? なんて思います。
ま、この話のそのまま続編が出ても私は買いませんけど、この作者が電波の受信を止めた作品を書くことが出来たらそれは読んで見たいような気もするなあ・・・と思った作品でした。うん、センスはね、ありそうってことで。

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