オオカミさんとスピンオフ 地蔵さんとちょっと変わった日本恋話

ストーリー(ちょっとだけ変えてるよ?)

この話の舞台は学園都市・御伽花市の御伽学園。生徒3000人を抱えるマンモス校。制服も複数種類が用意されており、どれを選ぼうと自由な挙げ句、ある程度(かなりの程度)の範囲で改造が許される自由な校風として知られる。
主人公は御伽学園学生相互扶助協会(通称「御伽銀行」)に所属するすらっとしたスタイルとツルペタを誇り直接攻撃による破壊活動を得意とする大神涼子(おおかみさん)・・・ではなくて、地蔵亜美さんと花咲仁くん。
なんやかんやあって出会った二人が、なんやかんやあって収まるべき所に収まるという感じで書かれているのが、オオカミさんシリーズのスピンオフ作品という位置づけのこの本だったりします。もちろんオオカミさんも亮士くんも出てきたりはしますが、今回はあくまで脇役ですね。地蔵さんと花咲くんの恋バナがあくまでメインディッシュであります。何気にシリーズ通算9冊目ですな。

作家の殺意を見た

これは、確実に殺りにきてますよ。
作者が読者を・・・というか書いている本人すら死にそうな感じの必殺拳を繰り出してきたかも知れません。具体的に言うと南斗水鳥拳で言えば断固相殺拳を使った(全然具体的じゃない)とかそんな感じです。ラオウでないと返し技が出せないとかそんな感じです。
とにかく「殺れるところから絨毯爆撃的に鏖殺したる」という容赦のない殺意を感じます。ちなみに、死因は多分、

「ちくしょう……畜生! 呪ってやる! 祝ってやる!」

という感じの嫉妬と羨望と祝福が入り混じった入り混じったマーブル模様の何かです。CSI(科学捜査班)だって死因の特定は、

「なんか、死んでる」

って感じになるに違いない状況です。

兎角、とにかく

実に不器用で実に一途な地蔵さんと、実に老け顔で実にオッサンな花咲くんの恋模様ですからね。
とにかく地蔵さんがヤバイですよ。色々といじらしいやらモヤモヤするやら変に興奮するやらでもうどうしたらいいのか・・・オオカミさんなんて飾りです。偉い人には分からんのですよ。というジオングもびっくりな展開です。
サービスシーンも強弱合わせて色々な弾を用意してまして、

「……花咲」
「……なんだ?」
「あの……」
「ああ」
「その……だ」
「……?」
そこで地蔵さんは真っ赤になって目をつぶり、絞り出すように言った。
「…………なっなにもしないのか?」

ほら、確実にこれは実弾入ってますよ。訓練ではないですよ実戦ですよ。殺りにきているというかヤリにきているというかヤラレにきているというか、もう私なんて言ったらいいか分かりません!だっ誰ですかこんな人間にライトノベル書かせたのは! この作品が少年兵と遭遇したら生還率1割切りますよ!? 全滅ですよ!? よく訓練された特殊部隊だってブラックホーク・ダウンですよ!?
ここはソマリアか!

総合

わかんねえけど星5つつけてしまおうか・・・。
何かこの作品に5つ星をつけるのはある種の敗北感を感じるのですが、いくら古参兵(妻帯者)の私とはいえ無傷では済まされない作品ですからして、もう仕方がないかも知れません。オオカミさんシリーズ本編でもかなりえげつない手を使ってくる作者ですが、今回は一点突破できているぶん破壊力が凄いです。これは文字の形をとった暴力と違うか?
という感じで童貞の皆さんは率先して読むと良いんじゃないかな。死ぬけど。難しいこと考えることなく彼女のいない清い体の少年は読むと良いんじゃないかな。死ぬけど。うなじ氏のイラストに釣られてモテない若者は読むと良いんじゃないかな。死ぬけど。
というか10日発売の電撃文庫の感想を月末近いこの時期に書いても、既に死屍累々という気がしますけど。どう? 死んだ?

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