疾走れ、撃て!(3)

疾走(はし)れ、撃て!〈3〉 (MF文庫J)
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ストーリー

世界が奇怪な生物からの侵攻を受けている現状に対して、人類はなんの新しい手も打ってこなかった訳ではない。軍は最高の技術をつぎ込んで日夜怪物達を撃退するべく新兵器の開発に勤しんでいたのだった。そしてそれは日本海軍も例外ではない。
そんな海軍の新兵器のテストにかり出された田神理宇(たがみりう)という少年と紫神虎紅という少女。二人は護衛士官と魔道士官という二人一組で行動することを命じられた特殊な軍人として陸軍に所属している。そしてその二人は特命をうけて今、海上にいた。
日本と諸外国の企みやら、陸軍と海軍の思惑や、個人個人の野望に希望、さらには少年少女の微妙な心理などの渦巻く新兵器のテストという状況に、どうしても心穏やかでいられない二人だったが、もちろんその二人以外にももっと心が穏やかでいられない人物がいた。それは二人と同じ小隊に所属し、田神理宇と付き合いが長く、また彼を心憎く思っている少女である華社ミヅキである。
このチャンスをなんとかものにして、理宇との距離を縮めたいと考えている(であろう)虎紅という存在に対してミヅキが取った手は強引とも言える一手だったのだが・・・その一手は巡り巡って実に複雑な状況を生み出すことになるのだった。
という感じでいいのかな? なんか上手く説明できないなあ・・・という軍事ファンタジー作品の2巻です。

登場人物多いですよね

多いからってつまらない訳ではないんですけど・・・軍隊物ってどうしても登場人物が増える傾向にあるよねえ・・・なんて思ったりした3巻でした。
しかも増える一方で減る気配が無いというのがまた困ったもんですね。まあ戦争状態にある状況で登場人物が減るって言うのはつまり戦死か再起不能かって感じなので、まあそういう風になってしまったキャラクターがいないというのはめでたいの事かも知れませんが。まあ別にキャラクターを殺したら殺した分だけ話が面白くなるわけでもないし・・・まあ良しとしようか。
でも登場人物多いよ! しかも登場人物一覧も無いから読んでいて途中で訳が分からなくなるよ! その辺り何とかならんもんでしょうかね? なんというか面白いのに楽しみきれないというか、そういうもどかしさを感じたりしました。

でもま

メインのキャラクター達が色々頑張ってくれているので読み進めるだけなら安心ですね。
軍事色が強いとは言えメインキャラクター達は結構しっかりライトノベルの主役級の仕事をしてくれているので、難しく考えなくても結構楽しめてしまいます。しゃぶり尽くそうとすると2、3回は読み直さないといけないような気がしますが、まあ単純にストーリーを楽しみたいというだけの適当な気持ちで臨んでも大丈夫な位、といえば伝わりますかね。
もう一歩軍隊物に足を踏み入れると読みづらい、もう一歩軍隊物から足を踏み外すと嘘くさい、という非常に際どい所をタイトロープのようにフラフラしているというバランス感覚でしょうか。なかなかその辺りは良いと思います。
まあそれもあくまでライトノベルとして、という条件がつくんですけど、いやライトノベルですしね。上手いことやってくれているのではないでしょうか。

お話の方ですが

今回は状況も状況だし、一方的に虎紅が勝利か? 悪く見積もってもAdv.虎紅は動かないか? という感じで読み進めていたんですけど、いやいや意外、タイブレークでミヅキが勝利、と言った感じでした。
私は常々、ライトノベルで登場機会は多いのに報われることが少ない”幼なじみ”という存在に頑張って欲しいと思っているんですが、結果として”幼なじみ”ミヅキを応援している私にはなかなか楽しい展開だったと言えます。頑張って「無理を通して道理を引っ込ませた」甲斐がありましたなあ・・・というところでしょうか。・・・なんだか視点がジジ臭いですが、仕方がないですね、私、中年ですから。
まあ主人公たちの恋模様はもちろん楽しいんですが、それ以外のアクションも程よく楽しませてくれますし、主人公級以外のキャラクター達の微妙な恋なんかも楽しめますし、さらには何故かお色気シーン満載だったりするので何気に贅沢な一冊かも知れません。いくら海軍で海だからって、その展開は余りにも美味しすぎるのでは・・・? なんて思ったとか思わなかったとか。

総合

星4つですかな。
まあ欠点らしきものを感じなくもないのですが、それでも最後まで読んだら結構な満足感がありました。今後もこの調子で話を続けていって欲しいですね。ラスト近くではこの話の行方を大きく左右しそうな秘密があることが示唆されていますし、ますます目が話せないといった感じです。
しかし、次の巻では登場人物一覧をお願いしたいですねえ・・・所属と階級が列挙してあるだけで随分と違うと思うんですよね。それ以前の問題として少尉と少佐ってどっちが偉いんだ(そんなところから分からんのかい)。やだっ! 裸の大将に笑われちゃう! なんちて。

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