とらドラ!

とらドラ!1 (電撃文庫)

とらドラ!1 (電撃文庫)

前書き

作品に内容が無いと言えば全くないのに、今一番作品が出るのが楽しみな作家・竹宮ゆゆこ
なんというか、この人の書く青春ラブコメは素晴らしい。これぞまさしくラノベ的青春! ラノベ的ラブ! ラノベ的コメディ! あらゆる天然的要素を内包しつつ突進する作者、それが竹宮ゆゆこ
何しろパンパンに緊張感をはらんだ自らの腹肉に「夢がつまっているッ!」と断言する強者。「とらドラ!」はそんなたけゆゆが「わたしたちの田村くん」の次に発表した最新シリーズです。

ストーリー

最強の虎と無敵の龍(違う)逢坂大河高須竜児の恋と戦いの日々を描いた作品です。ちなみに「逢坂大河」は小柄ながらも電柱を傾ける程の暴力をその身に宿した通称「手乗りタイガー」、「高須竜児」は凶悪な目つきで人が殺せそうな実は温和な男。
この凸凹コンビが繰り広げる、美しくもあほらしく、そして時々イイ感じの記録。この二人はひょんな事からある目的を達成するために共闘する事になるのだけれど、それは以下のような感じ。

「か、返すから! だから、落ち着いてくれ! 中身は見ていない!」
「・・・返すだけじゃ、」
地を這うように、低い声。
「だめなのよ・・・あんたは、あの手紙の存在を、知ってしまったんだから・・・」
ぶぅん、と巨大な木刀が、大河の頭上で優雅に踊り、
「死んで!」

このように引用場所を間違えるとこの作品は完全にクライムものっぽいですがあくまで未遂です(殺る気はあったってことか!)。まあそんな事情からお互いの秘密を握る事になるのです。

まあ大筋として

こんな所から始まるのですが、主役の二人以外に魅力的(笑える)なキャラクターが多いのも本書の特徴です。実は個人的な好みから言えば、端役のキャラが非常にお気に入りです。
まずは高須竜児のペット・インコちゃん。最高にブサイクで、最新刊ではただ寝ているだけでグロテスクと表現される究極のインコ型の多分鳥です。
もう一人は逢坂大河/高須竜児のクラス担任である女性教諭・恋ケ窪ゆり(29)。括弧内の数字は彼女のある個人情報なのですが、悲しい事に追いつめられつつある彼女を象徴する数字でもあります。何とは言いません。日本には相手の気持ちを慮る(知っていても言っちゃイケナイことってあるよね?)という美しい文化がありますのでこれ以上はコメントしません。
まあこうした個性的なキャラクターに囲まれつつ彼らの戦いは進行して行くのですが・・・描写が最高に秀逸です。にやにや笑いが止まらない文章を書かせたら多分たけゆゆ(ゆゆこ)の右に出るものはいません。かろうじてヤマグチノボルが「ゼロの使い魔」で萌え爆弾を大量に発射してなんとか比肩するといった状況でしょうか。
しかしながらたけゆゆはまだまだ色々な武器を隠し持っているようですので、これからの展開もまだまだ楽しみです。
ああ、早く4巻が出て欲しい!読んでない人が羨ましい!だってこれから「とらドラ!1 (電撃文庫)」シリーズを読めるんだもの!そう思わせる作品。文句なしの星5つです。2〜3巻についてもせっかくなので別の機会に感想を書こうと思います。