ぼくと魔女式アポカリプス

ぼくと魔女式アポカリプス (電撃文庫)
ぼくと魔女式アポカリプス (電撃文庫)水瀬 葉月

メディアワークス 2006-02
売り上げランキング : 28081

おすすめ平均 star
starグロく、濃く、重く、想く、ゆえに感動する
star完成度は高いが、販促はしにくいだろう。
star描写が濃い!

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うわ

カテゴリが凄い並んだなあ。
久しぶりにかなり変な作品が出てきたなって感じ。大まかなカテゴリ的には学園異能とかになってしまうのだろうけど、良くも悪くもダークでエロくてグロい。ついでに考えようによっては救いもない。序盤はそれほどでもないけど、後半に進めば進む程その傾向が強い。
変態のおっさんが書いたエログロ小説のような変態的イマジネーションに満ち満ちている。えーと、ライトノベルの倫理規定(あればだけど)には引っかからないのかい? え、ひっかからない? よーしいいぞ、もっとやれ。

ただ

大人気になってもしアニメ化なんぞした日には本気で日本の将来を憂いたくなるだろうなあ・・・。主人公の前でしたくもないのに全力でオ○○ー(各自想像力で補完)をするはめになるヒロインなんてラノベでは始めて見るし。
それにこの表紙!いやあ書店で買いにくい。微妙に怠惰な表情で、淫靡で艶やかな大腿部を晒す美少女の全開M字開脚をイラストレーターが激写ですよ。これが卑猥でなくてなにを卑猥と言えば良いのか?エロ本よりラノベの方が認知度が低い分購入はエロ写真集なんかより恥ずかしい!
しかしそれでも本を持ってレジへ走れ!一般書店だろうが、レジがバイトの普通人の可愛い女の子だろうがすべて平等に価値がない!キ○○マ付いているなら根性を見せろ!ぼくと魔女式アポカリプス (電撃文庫)を堂々と買えるようになる日までは貴様らはウジ虫だ!地球上で最下等の生命体だ!
[Copyright (C) ハートマン軍曹](全体的に色々人として間違い)

・・・まあ

冗談はさておき、好みは分かれる所だろうけど「レジンキャストミルク」辺りを楽しんで読める人種ならこの作品もいけると思う。登場人物に対して容赦ない所が近い感じ。カサブタを無理やり剥がすような痛気持ちいい感じ?
ノベルだから良いけど、漫画化とかしたらグロ画像を避けて通れません。リアルに書こうとしたらスプラッタホラーですよ。だってヒロインがスプラッタホラーの住人だから。ひゃっほう!
こういう本が時々普通に並んでいるからラノベは楽しいね。全部が全部こんな本だと困るけど異端としての存在価値は大いにあると思う。だって青春にエログロはつきものだもの。命が強く輝こうとするからこそ深くなる暗渠。

ストーリーは

「いかにもモラトリアムまっただ中といった感じに世の中を見切った感じになっている少年」宵本澪が主役となって進んでいく。
大人から見ると実に不愉快な少年ですな。知識と情報リテラシだけが歪に発達して、知恵と情動をまともに機能させる気が無い斜に構えた感じ。全てが目の前に開かれている事に気がついている様で気がついておらず、自分を世界から少しだけズラす様に人に見せかける事でなんとかそのアイデンティティーを保とうとしている、強そうでその実、酷く弱い少年。
しかもその事にある程度本人も自覚的な所がまた救われない。若者の醜さをこれでもかと詰め込んだようなキャラクター。そんな少年。この辺り作者は実に上手いな。その少年が魔女・砧川冥子接触する事で事態は回転し始める。

しかし

こうやってラノベの感想なんて書いていると、とことんみんな魔法とか超能力とか好きなんだなあと思う。いや私も例外じゃないけどね?この本もこれでもかと魔法が出現する。ヒロインの砧川冥子は「自分の体を欠損させて、その欠損を魔力として」魔法を使う。だから必然的にこの本は血だらけ。さらにイラストを見てくれ。彼女は実は体が凄くいやらしい。しかも魔女姿に変身し、いわば半裸のコスプレ状態で苦痛に身をよじりながら魔法を使う。その手のマニアには堪らない展開じゃないでしょうか(多分)。
この本は、

  • 大きなお友達で、かつ夢と現実の区別がきっちりついている自覚的な変態の方
  • 残念ながら主人公の宵本澪やヒロインの砧川冥子に共感してしまうリアルタイムな若者

にお勧めしたい本です。なかば冗談めかして感想を書きましたけど、余裕を持って読めば実際面白いですよ。全体の展開としては個人的な好みから外れている感じでもあるので星は3つ。でもはまる人はもの凄くはまる本じゃないかな。