9S(3)、9S(4)

9S(ナインエス) III 〈3〉 (電撃文庫)
9S(ナインエス) III 〈3〉 (電撃文庫)山本 ヤマト

アスキー・メディアワークス 2004-05
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おすすめ平均 star
starおもしろいけど...
star3、4巻はあわせて買いましょう
star計算され尽くした完全小説

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9S(ナインエス)〈4〉 (電撃文庫)
9S(ナインエス)〈4〉 (電撃文庫)葉山 透

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starやってくれました
star期待通りの傑作!!
star4巻目

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ストーリー

レプトネーターの事件からまだ数週間の時間しか経過していないある日、ADEMでは一人の男が静かに暴走し始めていた。
木梨孝。ADEM保有するLAFIセカンドの責任者であった男。彼は、スフィアラボ事件において傷つけられた自らのプライドを回復すべく、回収されたLAFIファーストに禁断の直接コンタクトを試みる。峰島由宇よりも優れた自らを証明するために。
そして悲劇は起こった。木梨はLAFIとの直接コンタクトに耐え切れなかったばかりか、肉体そのものに変異を来たし始める。怪物と化した木梨が向かおうとする先は・・・。そしてそれを追う形でADEMを抜け出す峰島由宇——怒涛の急展開をみせる「9S」3巻、4巻を紹介します。

「9S」は

これまで一冊、1話形式をとっていましたが、今回はシリーズ初の上下巻構成を取っています。ですので1、2巻を読まれて「9S」の世界を気に入られた方は、3、4巻の同時購入をおすすめします。
今回は今までの展開と異なるところがいくつかあります。列挙してみましょう。

  1. 目的を持って自らADEMの管理下を離れる峰島由宇
  2. 巻き込まれるのではなく、自分から事件に足を踏み入れ、禍神の血と向き合おうとする坂上闘真
  3. 真目家の管理下で発生する事件に否応無く巻き込まれる真目麻耶と怜
  4. LC部隊から一歩進んだアドバンスドLC部隊の活躍

などでしょうか。特に由宇と闘真の主体性のある動きが目立ち出したエピソードでもあります。

そして

前作に登場したミネルヴァの生き残り「マジシャン」の強力な術を使用しての侵攻と、暗躍する面々。真目家の長兄真目勝司の謎の行動。また、ついに表舞台に本格的に姿を現し始めた真目家現当主・真目不坐。そして峰島勇次郎の影。深遠に巧妙な仕組みを以て封印された「天国の門」とは何か?これが9Sの3、4巻の概要です。

やはり

というかなんというか、今回も熱いバトルが展開されます。新しく加わるアドバンスドLC部隊の面々ももちろんですが、なにより一番の目玉は、ほぼ禍神の血を操り始めたと言っても良い闘真が由宇との直接対決を求める所でしょうか。
それともう一つの目玉としては、地下に峰島の遺産をそのまま使用して封印された「天国の門」をどのようにして取り出すのか?この謎の解明も大きなテーマとなります。

キャラクターの

話で言えば、少しずつ、少しずつですが、お互いに怯えあう犬同士が徐々に寒さに耐えかねて近づくように縮まる由宇と闘真の距離感も実に微妙でいい感じです。闘真の件を間に挟んでの由宇と麻耶のやり取りも面白いですね。
アドバンストLC部隊のあきらとかとかの新キャラもいい味を出しています。それと「やっぱりやってくれたか!」と思った登場人物は(以下ネタバレ反転)由宇のノートパソコン・LAFIサードに入り込んで由宇の参謀のような位置づけで活躍することになる風間ですね。まじめなようでコミカルなところが面白いです。1巻の敵役とは思えない変貌。もともとこういった人間性(コンピュータ性?)だったのかも知れませんが・・・。ADEM八代と萩原は相変わらず真面目なのか不真面目なのか、有能なのか無能なのか分からない(有能なんでしょうけど)辺りを行ったり来たりしていますし。登場キャラが増えるにしたがってますますこのシリーズは魅力的になっているように感じます。
今までと変わらず、この3、4巻も間違いなくおすすめです。個人的に大好きなシリーズなのでもちろん星5つですね。