終わる世界、終わらない夏休み

2冊で上下巻構成の作品なので、購入する場合は2冊同時が理想です。

ストーリー

7/7に世界は滅びるらしい。という事が世間で囁かれ始めて、街から人の姿があらかた消えてしまった所から話が始まります。主人公芹沢和也は授業が無くなっても学校に通い続ける(ただし前向きな思考の果てではない)生徒。そして、世界が滅亡する直前の7/4に、もう一人変わらず学校に通い続ける生徒大舞都亜美にあることを誘われる。「世界を救う方法を探しに行こう」と。特にする事もない彼らは積極的とも言いがたいのですが、世界を救う方法を模索し始める・・・。それにもう一人の同級生・桜井深優が加わって・・・。という話。

SF? ファンタジー? いや恋愛ものか?

展開はSF的ですが、ファンタジー要素が強いです。つまり色々な出来事が起こるのですが、それを論理的に説明してくれる解説役が存在しない(登場人物にも、地の文にも)という意味においてファンタジックです。
一番シンプルなのは、恋愛もの(交流もの?)として読む事ではないでしょうか。主人公の芹沢和也と大舞都亜美の世界終末コミュニケーション。これが一番分かりやすい捉え方だと思います。世界の終末を目の前にして、彼らはいかにして人との繋がりを意識するようになったか、という内容です。

キャラクター

芹沢和也は悲観的、虚無的な所のある少年ですね。しかし、あまりすねてはいないので意外と「暗くていやだな」とか思いませんでした。どちらかと言えば平均的な10代の少年という感じで考えてもらっていいのではないでしょうか。意外に素直でいい奴ではないかと思います。大舞都亜美は楽観主義ですね。この対比が話を盛り上げてくれます。桜井深優は、思慮深いが地味です、しかし大人でもあります。リアリストですね。
他にもキャラクターは出てきますが、どのキャラクターも性格的な描写の破綻が少なくて「え、これは無理があるんじゃ」と言った事はありませんでした。堅実な描写だと思います。

結論:ちょっと好みから外れた・・・

星3つでしょうか。展開や構成は良いと思います、2冊ともするすると読んでしまいました。まあ楽しめます。しかしこの話のオチの付け方はあまり好みとは言いがたかったので星2つ減らしてます。ちょっと説明がなさ過ぎかと・・・。
そう言えば展開がどこかのゲームに似ているらしいですが(あとがき参照)私はなんのゲームかすらわかりませんでした。それでも内容が微妙。ちょっと作者の脳内で完結してしまっている感じが2巻のラストの方にもの凄くしましたので、その辺り気を抜かずにもうひと頑張りしてほしかった。